【ベルギー奇想の系譜展】
art-38 【ベルギー奇想の系譜展】 Bunkamuraザ・ミュージアム
吉田博展を見て、昼食後渋谷に移動。
お次は、ベルギー奇想の系譜(ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで)展である。
15世紀から21世紀まで、ベルギーの奇想絵画を紹介する展覧会。
こうした切り口もおもしろい。
Ⅰ 15-17世紀のフランドル美術
副題にボスから・・・とあるので、ボスも来てるの?と思ったら、ボス工房とかボス派とか、模倣者とかだった。そうだよね、ボスって作品数少ないですから。
それでも、ボス工房の「トゥヌグダルスの幻視」は、ボスが存命中に描かれていたものだとのこと。もしかすると、ボスもごく一部分描いてる?
いずれにせよ、非常にボス的。
七つの大罪と罰が描かれているのだけれど、奇っ怪な生きものもいるし、気持ちの悪い光景も。でもなんかユーモラス。細かく見ていくときりがない。
聖アントニウス、聖クリストフォロスはよく描かれるが、奇妙な光景として描きやすい題材なんでしょうね。
ブリューゲルの版画もたくさん。
何度か見ている作品も多かったけれど(最近では、【ブリューゲル バベルの塔展】でも見ている)、面白いですね。
「大きな魚は小さな魚を食う」。おお!これはタラ夫(バベルの塔のマスコットキャラクター)の絵じゃないですか。
「七つの大罪」「七つの徳目」も見たばかりではあったけれど、奇妙で楽しい(というのも変だが)。
ボス、ブリューゲルの後に、テニールスやルーベンスを見ると、あまりにフツーに見えてくる。
ルーベンスの「ライオン狩り」「カバとワニ狩り」は迫力あり!
Ⅱ 19世紀末から20世紀初頭のベルギー象徴派、表現主義
まずはロップス。
ロップスは少々退廃的な雰囲気で、好きな画家とは言いがたいのだが、奇妙な絵画ではある。そして、画家の冷めた目線が少々怖い。
クノップフの作品も冷たい雰囲気が漂う。
この2人よりもワタクシの好みとしては、アンソールなのだけど、今回の絵は骸骨がモチーフのがあまりなかったのが残念。どれも色遣いはまさにアンソールなのだけど。非常にカラフル、でもどこか不気味なアンソールである。
今まで知らなかった画家ではヌンクの「運河」が気にいった。幻想的な風景画。
Ⅲ 20世紀のシュルレアリスムから現代まで
デルヴォーも好きな画家。
冷たく、無表情な女性たち。動きのない画面。実にシュールで、幻想的。
そして、ルネ・マグリット。あの「大家族」もきている。今回きている作品はほぼ日本の美術館所蔵のものだが、意外と持ってるんですね。
この章のお気に入りは、はじめて知ったブロータールスの作品。
「マウスが「ラット」と書く」、「猫へのインタビュー」(サウンド作品)。この人、猫好きだよね、きっと。
そして、トマス・ルルイの「生き残るには脳が足りない」。頭でっかちな人間への皮肉?諷刺画ならぬ諷刺彫刻のようだ。
ヤン・ファーブルの「フランダースの戦士」は素材として昆虫が使われているのだが、なんとこの人、ファーブル(昆虫記の)のひ孫とのこと。どうりで・・・
ベルギーになぜ奇想の芸術が現在まで引き継がれてきたのか?
国民性なのか風土なのか・・・
いずれにせよ、不思議な芸術を堪能できる展覧会です。
是非どうぞ。
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