【菊川英山展(後期)】
art-49 【菊川英山展(後期)】 太田記念美術館
ふと空き時間が出来たので、終了前日に見に行ったのが、菊川英山展。
菊川英山。
あまり聞いたことのない名前だが(見たことがないわけではないけれど)、歌麿と溪斎英泉(英山の弟子)や歌川国貞の間に活躍した美人画の絵師である。
今回、没後150年を記念して、東京では実に32年ぶりの回顧展。
ということで、約200点を前後期に分け、地下も使っての展示だった。
構成は次のとおり。
第1章 肉筆画の世界
第2章 英山登場/歌麿を継ぐ絵師
第3章 花開く英山美人/雅と俗のはざま
第4章 花開く英山美人/青楼の女たち
第5章 新たな女性像と次代へのかけはし
まずは肉筆画で、これがきれいなんですね。ここで一気に引き込まれる。
続いて、若い頃の作品だが、正直なところ、歌麿のあとを継ぐ・・・と言ったら聞こえがいいけれど、かなり歌麿風で、一瞬見分けがつかないような?
気に入ったのが、江戸名所美人八景という背景に小さく名所が、手前に美人が描かれているシリーズ。基本、美人画の絵師なんでしょうけれど、風景画もフツーにいいのである。
その一枚に富岡八幡宮が・・・
定番の両国橋の風景(「両国夕涼み」という作品もあったけれど)などいいですね。
役者絵も結構描いているけれど、やっぱり美人画の方がいいかなあ。
めずらしや、「虎図」なんてのもあった。
歌麿の影響を脱し、徐々に自分の世界を確立していった英山。
歌麿が8頭身美人だったのに対し、英山は六頭身美人。黒目がちの目でかわいらしい美人画へ変化する。
とともに、とてもカラフルに。色がきれいなんですね。保存状態のよさもあるのだろうけれど、鮮やか。
こうなると着物の柄を見るのも楽しくて、細部までじっくりと・・・見たかったところだけれど、時間の制約があってそうそうゆっくり見られなかったのが残念である。
晩年はさらに作風が変化しているが(表情が硬くなる)、やはり最盛期の作品の方がいいかなあ。
晩年の英山は、国貞などの台頭で不遇だったという・・・
予想以上によくて、前期にいけなかったのが残念でした。
(すでに展覧会は20日で終了しています。)
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