【パリ・グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展】
art-2 【パリ・グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展】 三菱一号館美術館
上野から移動、続いて三菱一号館へ。
パリ・グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展という、全然覚えられないタイトル(笑)の展覧会を見て参りました。
三菱一号館はロートレックやヴァロットンといったコレクションが充実しており、プラスしてアムステルダムのファン・ゴッホ美術館が所蔵する19世紀末版画コレクションの一部を公開する展覧会。ゴッホ美術館、そういったコレクションもあったんですね。
はじめに:崇高(ハイ)から低俗(ロー)まで
19世紀末、版画の技術の向上とともに多くの芸術家たちが夢中となり、版画が芸術として認知されるようになると愛好家たちがコレクションするようになった。とともに、版画をはじめとしたグラフィックアートが街中のポスターや本の挿絵として使われ、広く大衆にも広まっていったのである。
第1章:庶民(ストリート)向けの版画
庶民(ストリート)向けの版画というと、宣伝の意味合いが大きいので、パッと目を惹く・・・目立つことが必要。ということで色鮮やかだったり、大胆な構図だったり、ともかく印象に残ることが重要となる。
そうした要素が全部つめこまれ、さらにそれがすばらしい芸術となっているのがロートレックの作品の数々。ミュシャと双璧ではないだろうか。
大胆な色使いと大胆な構図で、一度見ると忘れられないポスター。コレクションしたくなる気持ちがわかりますね。
一室のみ、撮影可だったのでバシバシ撮してしまいました。
しかし、ロートレックの女性像は少し毒があるというか、若干悪意を感じるんですね。デフォルメしすぎというか・・・
描かれた女性たちはどう思ったのか・・・
撮影可の作品はどれも有名だけれども、ワタクシが好きなのはブリュアンを描いたもの。
ロートレックではないけれど、スタンランのシャ・ノワールのポスターも大好き。
そのほかでは、ボナールのシャンパンのポスターもよかった。
好きな画家ドニもいい。
第2章:知的階層(エリート)向けの版画
知的階層(エリート)向けの版画は、富裕層がプライベートで楽しむもの・・・
ということでサイズが小さいものが多いのだが、時には意味深な、エロティックなものもあったりした。
その代表がヴァロットンで、今回はアンティミテが数点展示されていた。これはどういう場面だろうと一瞬考えてしまったりするのだが、ヴァロットン、黒の使い方が抜群なんですね。
ちょっとヴァロットンと似た印象を持ったのが、ラブルール。ヴァロットンとともに同じ師の元で学んだということで、ユーモアのセンスも似ていると感じた。他にも見てみたいものだ。
エッフェル塔三十六景で知られるアンリ・リヴィエールの「星への歩み」のポストカードもすてきだった。淡い色彩の中にぼんやりと浮かぶ風景が美しい。
ナビ派関連では、ドニ>ボナール>ヴィヤールなのだけど、やはりポスターやリトグラフでもその順位はかわらず。ただ、ボナールも結構いいかもと今回思いましたね。構図・・・対象の切り取り方がもっとも浮世絵的かも。
ドニは作品に暖かみがあるのがよいです。
ゴッホ美術館の浮世絵コレクションもいくつか来ていたけれど、これゴッホが実際に持っていたものなんですね。とてもよい保存状態。つくづくゴッホは浮世絵が大好きで大きな影響を受けたのだなと。
ロートレックにとどまらない展覧会。あと数日ですが是非どうぞ。
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