【ブリューゲル展】
art-8 【ブリューゲル展】 東京都美術館
渋谷から移動、続いて都美術館で開催されているブリューゲル展へ。
4時近くでしたが、結構な人のいりでした。
ブリューゲル一族、ピーテル・ブリューゲル1世、2世、ヤン・ブリューゲル1世まではまあわかるのだけれど、孫、ひ孫まで画家の一家なのですね。
これって誰だっけ?と混乱しそう・・・
と思ったら、これは誰なのか(父・子・孫・ひ孫)という表示があって、いいですね。わかりやすい。
今回きている作品は、個人蔵のものが多く、そのほとんどが日本初ということで貴重ですね。
1:宗教と道徳
ピーテル・ブリューゲル1世は、はじめにボス風の絵を描いていた。
今回ボスの「告解の火曜日」がきていたが、奇っ怪な生き物がやはり描かれている。引き続いて展示されていたブリューゲル1世の版画作品にも同じような奇妙な生き物が・・・
ピーテル・クックの元で修行を積んだということで、その工房の三連祭壇画の展示があった。
P・ブリューゲル1世と工房作品の宗教画が「キリストの復活」。正直なところ、あまりブリューゲルっぽくはない。
ファルケンボルフ&クレーフェの「バベルの塔」もあった(ルドルフ2世の驚異の世界展にもありましたが)。やはり、ブリューゲルの影響がみてとれますね。
2:自然へのまなざし
P・ブリューゲル1世の自然・山岳風景への関心を引き継いだのが次男のヤン・ブリューゲル1世。ヤン1世というと、花のブリューゲルのイメージが強かったのですが・・・
この風景画がすばらしい!
小さな絵が多いのだけれど、よくここまで細かく描いたなと。単眼鏡を持っていくべきだったなあ・・・
一気にヤン1世のファンになりました~
2世(ヤン1世の息子)も風景画をたくさん描いているけれど、圧倒的に1世の方がいいですね。
3:冬の風景と城砦
ピーテル1世の重要なテーマとして冬の風景があり、「雪中の狩人」とともに有名なのが「鳥の罠のある冬の風景」。
この作品をピーテル2世は何度となくコピーを描いていて、今回もその1つ「鳥罠」がきていた。
ピーテル2世は父親の模倣作を次々と作り出したが、量産作品は安くしか売れず家賃が払えないこともあったとか。一方弟のヤン1世は上流社会に作品が売れて金持ちだったという・・・
ヤン1世にも「鳥罠」あり!ヤン2世の冬の風景画もあったが、やはり1世の方がいいなと。
4:旅の風景と物語
ピーテル1世は船の絵も描いているが、それを受け継いだのがヤン1世。
今回はピーテル1世の作品は版画、ヤン1世の作品は素描がきていた。
ヤン1世の素描がまたなかなかいいんですね。とても細かい。これが油彩になっても細かい(笑)。
この章でもヤン1世に感心。
5:寓意と神話
ここまで全然ヤン2世に感心しなかったのだが・・・
寓意画はいいじゃないですか、2世。どうやら、2世の得意なのは寓意画、戦争画らしい。
ヤン1世の「ノアの箱舟への乗船」も楽しい絵だったが、ヤン2世の「地上の楽園」も気に入った。
共作の四大元素も細かく見るとおもしろい。
ヤン2世の異母弟アンブロシウスの四大元素もあったが、ヤン2世のコピー?
これはちょっとできが・・・
2世の寓意シリーズの方がもっとおもしろいですね。なるほどねと思う。
6:静物画の隆盛
静物画といえば、花のブリューゲル!ヤン1世。
なのだけど、今回の展示は2世、アンブロシウス、ヤン2世の息子であるヤン・ピーテル、アブラハムが中心。
アブラハムは花というよりは果実などの静物画が中心なのだろうか。「果物の静物がある風景」は不思議な構図の絵。
ヤン・ファン・ケッセル1世はヤン1世の孫(ヤン1世の娘の息子)の昆虫の絵がまた細かいこと。大理石に描くというのも変わっているが、なぜか?真ん中にコウモリが描かれており・・・
7:農民たちの踊り
ピーテル1世といえば農民画。
2世もまた多く描いている。
「野外での婚礼の踊り」だが、父親の作品にも同じ主題の絵がありますね。
みんな、羽目をはずして楽しそうな中、花嫁だけはなぜか悲しそう?
ブリューゲル一族がよく理解できた展覧会。予想以上にすばらしかったです。
是非どうぞ。
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