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2018/03/22

【パリジェンヌ展】

art-10 【パリジェンヌ展】 世田谷美術館

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雪(みぞれ)の降る中、世田谷美術館へ。
ここは駅から少し距離もあり、行こうかどうしようかちょっと迷ったのだけど、この日を逃すといけなくなりそうだったので、えいやとお出かけ。
こんな日なのでほとんど人がいないかと思いきや、案外いました・・・

昨年7月から改修工事を行い、今年1月初旬にリニューアルオープンしたとあって、キレイになってました。そして、広く感じられるような空間作りに。

第1章 パリという舞台―邸宅と劇場にみる18世紀のエレガンス
美しいドレスに美しいお茶のセット。目の保養になる。
茶器は日本の有田焼だった。
当時はやったという髪型を描いた版画が何枚かあったが、ここまでやるか!という髪型。
眠る犬?ハリネズミ?フリゲート艦まで!!
どんどんエスカレートしていったのだろうけれど、これじゃ身動きできない(笑)。

第2章 日々の生活―家庭と仕事、女性の役割
ナポレオン統治下、社会は大きく変化したものの、結婚して母となり過程を守るという伝統的な価値観がいまだ根強くあった時代だが、市民を描いた風俗画が描かれるようになった。
フラゴナールの「良き母親」は、柔らかな筆致の絵だが、母親たるものこうあるべきと考えられた理想像が描かれている。
未亡人となると生活は大変厳しかった時代。クチュール「未亡人」は暗い表情がそれを者勝手いる。
ボワイー「アイロンをかける若い女性」は庶民を描いたフツーの風俗画かと思いきや、目線などちょっと意味深な感じだ。
ドーミエの風刺画はおもしろいけれど、女性の独立、社会的進出には批判的だったことがわかる。
結局、一番気に入ったのは、ファンタン=ラトゥールの「窓辺で刺繍をする人」。

第3章 「パリジェンヌ」の確立―憧れのスタイル
ナポレオン3世の統治下。近代化が進み、女性のファッションもきらびやかに。パリの流行は遠くアメリカにも伝わったという。
ドレス製作に革新をもたらしたウォルトのドレスの展示があったが、美しいですねぇ。上品な紫色。
サージェントの「チャールズ・E・インチズ夫人」のドレスもウォルトのドレスに着想をえたものという。
この絵、視線の先にあるものがなんなのか?が気になったりするが、「マダムX」でスキャンダルとなったサージェントとしては、おとなしく上品に描いたものなのだろうか。
パリで流行したというお下げ髪で描かれているのがハントの「マルグリット」。
パリジェンヌ(というか当時の人々)の流行として、海岸への鉄道旅行がはやったということで、空のブーダン「海岸の着飾った人々」の展示もあった。ブーダンらしい絵。

第4章 芸術をとりまく環境―制作者、モデル、ミューズ
19世紀後半、印象派などの新しい勢力が台頭した時代。女性はモデルとして活躍するだけでなく、制作者としても活躍するようになった。
ここで思い浮かぶのはモリゾとカサット。
めずらしや、モリゾの静物画がきていた。「器の中の白い花」。あまり静物画を描かなかったというモリゾだが、なかなかよい。
カサットは2点。油彩はずばり印象派である。
ドガの「美術展にて」はルーブルで絵を鑑賞するカサットとその姉が描かれている。油彩でもなんだかパステル画のように見えてしまう・・・
ルノワール「アルジェリアの娘」。パリジェンヌがテーマなのになぜこの絵?と思ったら、モデルはフランス人の女性のようだ。
ピカソの作品は、ピカソがパリに出てはじめて付き合った女性「フェルナンド・オリヴィエ」の肖像画。彫刻「女性の頭部」もオリヴィエがモデル?キュビズム彫刻なので、もはや誰がモデルかわからないのだが(笑)。
しかし、この章で一番見るべき作品はマネ「街の歌い手」。約70年ぶりに修復されて公開されたとか(とすると以前見たときはくっきり見えなかったのか?)。サクランボをもぐもぐしながら酒場から出てくる女性歌手。こうした階級の女性を大きな絵に描くというのはチャレンジングなことだったんでしょうね。モデルは、「草上の昼食」や「オランピア」のモデルも務めたムーランで、酒と貧困の中で死んだと言い伝えられていたが、実は後にサロンに出品する画家として活躍したとのこと。

第5章 モダン・シーン―舞台、街角、スタジオ
パリ万国博覧会の頃、キャバレーやミュージックホールが次々開店し、歌手や踊り子の女性が活躍した。戦争が始まり、働き手をとられて女性が様々な職業へと進出、第二次世界大戦後はますます女性の活躍の場が増えている。
華やかな舞台、活気のある街角などの写真の展示などが多かったが、一番のツボは、ゲアダ・ヴィーイナのエッチング。
ゲアダといえば、映画「リリーのすべて」でアカデミー助演女優賞を受賞したアリシア・ヴィカンダーが演じた女性画家。はじめて見たかもしれない。
中でも傘の先をひっぱる猫(目つき悪し!)が描かれた画がいいなと思ったら、マスコットが売られていて、一瞬買おうかと思ったほど。

おしゃれな展覧会です。
是非どうぞ。

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