【至上の印象派展 ビュールレ・コレクション】
art-11 【至上の印象派展 ビュールレ・コレクション】 国立新美術館
国立新美術館で開催されているビュールレ・コレクションを見に行って参りました。
ビュールレはドイツに生まれ、スイスで後半生を過ごした実業家で、富を築いたのち、美術品を収集した人物。死後、邸宅の別棟が美術館として一般公開されたものの、2008年4点の絵画が盗難事件にあい(その後すべて戻る)、結局閉館に。2020年にチューリッヒ美術館に移管される間に巡回しているもの。
これだけのコレクションを見られるのは最後の機会となるらしい。
第1章 肖像画
フランス・ハルス「男の肖像」からスタート。晩年の作品とのことだが、サラサラッと描いた感じ。
アングルは好みの画家ではないのだけど、「アングル夫人の肖像」はよかった。仲の良い夫婦だったとのことで、やさしさが感じられますね。
ルノワールが友人のシスレーを描いた肖像画は、後年のルノワール作品とはまったく違っていて、少々固い感じ。
第2章 ヨーロッパの都市
カナレットが2点きていてうれしい。どちらも細かく描かれている。ヴェネツィアの風景が美しい。どちらかというと「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、ヴェネツィア」の方がすきかな。犬も小さく描かれているし。
シニャックの点描のヴェネツィアの絵も明るくていいですね。
モネの「陽を浴びるウォータールー橋、ロンドン」。同じ題材のは何度か見ているが、このもやもや感がいかにもモネ!
マティスの「雪のサン=ミシェル橋、パリ」はマティスらしからぬ作品。
第3章 19世紀のフランス絵画
コローの「読書する少女」。コローというと風景画家のイメージだが、晩年外での写生が難しくなって室内画を描くようになったという。小品だがなかなかよい。
ドラクロワ「アポロンの凱旋」は天井画。らしいドラマチックな作品。
マネが3点あったが、一番気に入ったのは「燕」。エキゾチックな「オリエンタル風の衣装をまとった若い女」はちょっと好みでないなあ。
第4章 印象派の風景 ―マネ、モネ、ピサロ、シスレー
ピサロ、シスレー、いいですねぇ。風景画好きなワタクシとしてはこの章はうれしい。
特にピサロ。「ルーヴシエンヌの雪道」は静かで、でも暖かな光がさす感じがいい。
「会話、ルーヴシエンヌ」は妻と隣人が会話する様子が描かれているが、子供がこちらを見ていてなんかほほえましい。
マネの「ベルヴュの庭の隅」は、印象派風でめずらしい。
ヒナゲシの花が見えると思ったら・・・やはりモネ。
「ジヴェルニーのモネの庭」。花、花、花。明るい陽射しがいい。
第5章 印象派の人物 ―ドガとルノワール
ドガといえば踊り子、そして馬。定番だけれど、「リュドヴィック・ルピック伯爵とその娘たち」がおもしろい。娘の一人はしっかり描きこまれているが、伯爵ともう一人の娘がささっと描かれている。
そしてルノワール。
なんといっても、今回の目玉「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)」。ホントにかわいいというか、もっと大人びた感じの美少女。髪もドレスも美しく描かれている。
第6章 ポール・セザンヌ
セザンヌ好きとしてはうれしい章。
個人的に思い入れのある「赤いチョッキの少年」(盗難にあったものの戻った)がきてくれたのがホント、うれしい。赤い色が目立つのだが、それよりも右腕が長すぎる・・・
ちょっと変といえば、「聖アントニウスの誘惑」。アントニウスは隅に追いやられ、誘惑する女性たちが目立っているし、この体はいったい?
晩年よく題材とした庭師のヴァリエの絵もあった。未完に終わったらしく、白い部分が残っている。
第7章 フィンセント・ファン・ゴッホ
ゴッホが6点。
ヌエネン時代の「古い塔」は暗い。
「自画像」はかなり神経質な感じ。
「日没を背に種まく人」はミレーの種まく人を題材としているが、梅の木は広重の影響を受けており、おもしろいコラボ作品となっている。色は強烈。
「二人の農婦」と「花咲くマロニエの枝」は青を基調としており、特にマロニエの絵がいいなあ。ワタクシ、ゴッホの青っぽい作品が好きなのかも。アーモンドとか。
第8章 20世紀初頭のフランス絵画
青の時代より前に描かれたピカソの「ギュスターヴ・コキオの肖像」が新鮮。フツーすぎる・・・
ゴーギャンの「肘掛け椅子の上のひまわり」は2年前のゴッホとゴーギャン展でも見ているが、いろいろあったけれど、ゴッホのことを思って描いたのだろうか。後ろに見えるタヒチの海が不思議な感じなのだけど。
第9章 モダン・アート
ドランの「室内の情景(テーブル)」の色が強烈。
同じフォービズムのヴラマンクよりも。
そのヴランマンクの作品に印象が似ていたのがブラックの「レスタックの港」なのだけど(フォービズムの時代があったんでしたね)、やっぱりブラックといえはキュビズム!「ヴァイオリニスト」はまさにという作品。
ピカソ「イタリアの女」もキュビズムの範疇かな。
第10章 新たなる絵画の地平
最後に大きなモネの絵でしめくくり。これだけは撮影OK(冒頭の写真)。
大きさに圧倒される。
ビュールレ・コレクションをまとめて見られる機会です。是非どうぞ。
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