【リアル 最大の奇抜展】
art-13 【リアル 最大の奇抜展】 府中市美術館
毎年この時期に府中市美術館で開催される春の江戸絵画まつり。
今年のテーマはリアル!
前後期あっていつもだいたい後期しか行けないのだが、やはり今年も後期のみとなった。
1章 「リアル」の力
展覧会は、森狙仙の「群獣図巻」からスタート。狙仙というと猿のイメージだが、こ図巻にはいろいろな動物が描かれる。カワウソ?かと思うのだが、なんだかわからない動物も・・・さすがに猿は毛並などリアルだ。
狙仙の「紅葉に鹿図」もいい。
亜欧堂田善「花下遊楽図」は田善版草上の昼食といったところ。なんかのどかな雰囲気。
長谷川雪堤「浅草雪景図」は一瞬、川瀬巴水の作品を連想した。
一番おもしろかったのが片山揚谷「蜃気楼図」。ハマグリが気を吐くと楼閣のかたちが現れると言われていたらしいであるが、ハマグリは実にリアルに描かれている。
一番気に入ったのは矢野良勝「全国名所図鑑」。裏見の滝と華厳の滝の部分を見ることができたのだが、滝がリアル!
2章 「リアル」から生まれる思わぬ表現
亜欧堂田善「少女愛犬図」。西洋の銅版画の模写なのだが、まあなんてかわいくないんでしょう(笑)。わざとなのか・・・
葛飾北斎「雪中鷲図」。迫力あり。
北鼎如蓮「鯉図」はメタリックな鯉。何か変。金属製の動くおもちゃのような感じに見える。
黒田稲阜の「千匹鯉図」はデザイン的だ。
一番のお気に入りは小泉裴「鮎図」。鮎を狙う鳥がポイント。
3章 ところで「これもリアル?」
東燕斎寛志「美人瞋焔図」がおもしろい。
障子の向こうにシルエットとして写る仲良くする男女を見る女性の顔のいまいましげな表情がなんともいえない。
4章 従来の描き方や美意識との対立と調和
米田松洞「西山秋景」が楽しい。よくよく見るといろいろな物が小さく描かれており、安野光政の旅の絵本を見ているかのよう。
忍頂寺静村「菊に猫図」の猫はまったくかわいくない。天竜道人「牡丹に猫図」の猫の方はまだ少しはかわいげがある。
ちょっと気に入ったのは、淵上旭江「真景図帖」。あまりにデフォルメしすぎで中国の風景みたいになっているが・・・
5章 二人の創作者 司馬江漢と円山応挙
最後に真打ち登場!
司馬江漢というと、不思議な油彩画のイメージだが、それ以前には花鳥画や水墨画風な絵も描いていたんですね。むしろそっちの方が好きだなあ。
花鳥画はちょっと詰め込みすぎという気もするが・・・
「相州江之島児淵図」や「馬入川富士遠望図」など富士山が登場する作品いいですね。
「七里ヶ浜図」はやや抽象画っぽい。
さて、応挙。
「虎皮写生図」にびっくり。サイズ等も記されていて、熱心に記録した様子がうかがえる。
「猛虎図」はそうした写生をもとにリアルに描いたのだろうけれど、なんかやっぱり顔がかわいすぎる・・・
「鼬図」「雪中残柿猿図」は毛並みがリアルだ。
応挙といえば、ワタクシにとっては狗子図で、今回は「時雨狗子図」が出ていた。なんともいえずかわいい。
「鯉魚図」もリアル。
大迫力なのは「竜門図」だった。上っていく鯉!
おもしろい企画の展覧会でした。
是非どうぞ(5月6日で終了です)。
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