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2018/05/09

【プラド美術館展】

art-16 【プラド美術館展】 国立西洋美術館

1805091
近代美術館→三菱一号館美術館に続いて西洋美術館へ。
プラド美術館展である。
何年か前、プラド美術館は一日かけて(開館時間から閉館時間までいた)まわってじっくり見てはいるのだが、何度でも見たいですからね~

1 芸術
スタートはベラスケスの「ファン・マルティネス・モンタニェースの肖像」。ごくごく正しい肖像画。
今回の目玉はベラスケスの作品が7点もきていることなのだが、プラドのベラスケスの間のように並んでいるわけでなく、テーマごとの展示の中に1点ずつ展示されているのである。どうせなら並べてほしかった気もする。
この章で一番気に入ったのは、スルバランの「磔刑のキリストと画家」。色を落とした中、キリストが浮かび上がる。画家はスルバラン自身とも言われる。
これもきたか!とびっくりしたのはカーソの「聖ベルナルドゥスと聖母」。プラドではじめて見て衝撃を受けた絵なのだ。スペインで人気の聖人なのだけど、これが聖人?なのである。

2 知識
ベラスケスの作品は「メニッポス」。ギリシャの哲学者であるが、フツーのおじさんに描かれている(笑)。哲学者には見えない・・・
ルーベンス工房の「亡く哲学者ヘラクレイトス」の方がいいなあ。悩める哲学者という感じ。
ベレーダの「聖ヒエロニムス」。これまた悩める聖人。やせた体が痛々しい感じ。
ワタクシの好きそうな絵が見えた。絵の中の絵。左下に花のブリューゲルのような花が描かれている!と思ったら、やはりヤン・ブリューゲル他合作の絵だった。

3 神話
ベラスケス「マルス」。これがまた実に人間臭い。たるんで肌、くたびれた表情はとても神には見えない。
ティツィアーノ「音楽にくつろくヴィーナス」は画家お得意の題材。ヴィーナスというより生身の女性に見える。結婚を記念した絵という。
マルチネス「鎖につながれたディテュオス」。冥界に送られて鎖につながれ日々ハゲタカについばまれるディテュオスの苦悶の表情がリアル。
カルドゥーチョ(帰属)の「巨大な男性頭部」はあまりに大きくてビックリ!

4 宮廷
ベラスケス「狩猟服姿のフェリペ4世」。宮廷画家ベラスケスといえばやはりフェリペ4世やその家族を描いた画。まさにこの絵で気に入られ宮廷画家になったというが、あごを若干短めに描いたのがよかったのか・・・
ミランダの「甲冑姿のカルロス2世」は王の狂気がみてとれる。こんなに描いてオッケーだったのか?
もう1枚ベラスケスは矮人の少年を描いた「バリェーカスの少年」。ちょっとゴヤ的だ。

5 風景
スペインで風景画家はほとんどいなかったそう。
ん?ベラスケスの「王太子バルサタール・カルロス騎馬像」が風景画?確かに背景の風景は細かく描かれてはいるけれど、これは肖像画の範疇では?
風景画家がいなかったとはいえ、スペインでは風景画は人気でフランスやイタリアの風景画も好まれたようだ。
今回きていた風景画には廃墟っぽいものが何点かあり、中でもよかったのはロラン。

6 静物
さすがにベラスケスはなかったが、静物画は大好きなのでどれもよかったですね。
なんで、昔の静物画には逆さに吊された鳥が描かれるのであろうか・・・
ラミーレス「食用アザミ、シャコ、ブドウ、アヤメのある静物」とイエペス「卓上の二つの果物皿」が特にお気に入り。果物だけだが、一つ一つ個性がある。
ヤン・ブリューゲル「花卉」は華やか。

7 宗教
ベラスケスは「東方三博士の礼拝」。初期の作品とのことで、のちのベラスケスの作品とは若干違って固い感じ。
リベーラの「聖ペテロの解放」は光が効果的に描かれて劇的な場面が演出されている。
スタンツィオーネ「洗礼者聖ヨハネの斬首」。このテーマだとモローを連想するが、まだこれは切り落とされる前の絵なのである。右に描かれているのがサロメと王らしい。
ルーベンス「聖アンナのいる聖家族」。暖かみのある絵。
ムリーリョ「小鳥のいる聖家族」。妙に生活感がある。

ベラスケスファンの方は是非ともどうぞ。
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