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2018/06/11

【プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画】

art-16 【プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画】 東京都美術館

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これまでプーシキン美術館展には2回行っているが、今回の展覧会は風景画に絞っての展覧会。

第1章:近代風景画の源流
かつて絵画には序列があり、歴史画、肖像画、風俗画ときて、ようやく風景画がくる。
まずは、神話や聖書の物語の背景として描かれた風景にスポットをあてた展示。
クロード・ロランの「エウロペの略奪」はゼウスが牛に化けてエウロペを略奪するというおなじみのテーマを描いているが、人物は手前に小さく描かれ、背景に雄大な景色が描かれているという点では風景画といって差し支えないかもしれない。
ジャン・フランソワ=ミレーの「ハガルの追放が描かれた風景」は旧約聖書を主題として絵だが、ミレーらしい風景が広がる。
ラジューの「狩猟後の休息」はロココっぽく、ブランコが描かれていたりするので、フラゴナールのブランコを連想した。
ヴェルネの「日の出」と「日没」は対になった作品で空と海が美しい。
廃墟の画家、ユベール・ロベールが2点。「水に囲まれた神殿」は幻想的だ。

第2章:自然への賛美
牛の画家トロワイヨンの「牧草地の牛」。トロワイヨンは風景画というより動物画のイメージだったが、これもまた風景画の範疇なのかな。コワニエとブラスカサットの「牛のいる風景」の方が気に入ったけれど。
コローが2点。「夕暮れ」の方がコローらしい絵。
クールベの「水車小屋」は、水が荒々しく描かれ迫力がある。「山の小屋」はちょっと地味。
レルミットの「刈り入れをする人」。ミレーの影響を受けた画家とのことだが、ミレーよりかなり明るい色彩だ。麦が美しい。

第3章:大都市パリの風景画
華やかなパリの絵が続く。
ルノワールの「庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰」。「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」に雰囲気が似てる・・・と思ったら、女性の服は同じらしい。
ロワールの「パリ環状鉄道の煙」は大きな絵だが、発展しつつあるパリの躍動感が伝わってくる。
マルケの2点もよかった。強烈でないフォービズムで、この色遣いが好き。

第4章:パリ近郊―身近な自然へのまなざし
目玉のモネ「草上の昼食」登場!
以前、オルセーにある、分断された「草上の昼食」は見ているのだが、こちらははじめて。マネの作品に触発されて描いたのか?まあでもあまりモネっぽくない絵である。
オルセー版の下絵として描かれたものを最終的に作品として完成させたもののようだが、正直なところオルセー版の方が好きだなあ。
モネは他に3点。この3点の方がいいですね。
積みわらもいいのだが、「白い睡蓮」が美しい。初期の頃の睡蓮で形がちゃんとある!
シスレー、そしてピサロは風景画の王道。
マティスの「ブーローニュの森」は控えめなフォービズムといったところ。ブラマンクの「小川」の方がはっきりとしている。
ピカソ「庭の家」はキュビズム。

第5章:南へ―新たな光と風景
セザンヌが3点。
ワタクシが追いかけているサント=ヴィクトワール山が2枚あった。やはり後年に描かれた方がキュビズムに限りなく近づいている感じ。もう1枚の方が穏やかな画風だ。
ドランの色彩が強烈。

第6章:海を渡って/想像の世界
ゴーガンの「マタモエ、孔雀のいる風景」はまあいつものゴーガンだが、ルソーの「馬を襲うジャガー」も風景自体はいつものルソー・・・と思ったら、ジャガーに襲われる馬が変!馬は襲われているのがわからないかのようなキョトン顔だし、足が変だし。なかなかにシュールな絵だ。
大好きなドニも1枚。ギリシャ神話を描いた「ポリュフェモス」だが、なぜか赤いドレスの女性が!妙に現代的な絵なところが不思議だ。
最後はシュールレアリスム的な作品で締めくくり。

点数は少なめですが、風景画が好きな方は楽しめるはず。
是非どうぞ。
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画家Tシャツ買っちゃいました・・・
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