【ターナー 風景の詩展】
art-17 【ターナー 風景の詩展】 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館
上野から新宿へ移動、続いて見たのはターナー展。
ターナーというとテート・ブリテンを連想するが、今回はエディンバラのスコットランド国立美術館群の作品を中心として、日本の郡山市立美術館などからも出品されている。
第1章 地誌的風景画
若き日のターナーは正確に再現することを目的とした地誌的風景を描いたという。
ということで、若い頃の作品は非常にオーソドックスな風景画である。
あのもやっとした油絵の印象が強いものだから、へえと思ったのだが、繊細で緻密な水彩画が多い。
19歳の時に描いたという「マームズベリー修道院」もさすが!というできばえ。
ターナーは多くの版画も残していて、今まであまり見たことがなかったけれど、小品ながら粒ぞろい。
好きな作品は次のとおり。
「ソマーヒル、トンブリッジ」。
「コールトン・ヒルから見たエディンバラ」など。
「フトーンヘンジ、ウィルトシャー」はよくよく見ると不思議な絵。雷に打たれた羊(と人も?)が・・・
第2章 海景-海洋国家に生きて
ターナーというと海景画のイメージはありますね。
荒れた海もよく描いているけれど、大迫力!
「風下側の海辺にいる漁師たち、時化模様」のリアルさはなかなか。
「海岸で救難作業をする人々」もリアルだが、この頃になってくると、少しターナー感が出てくる(もやっとしてくる)。
「オステンデ沖の汽船」ともなると、これこそターナー。海と空の境目がなくなる。
今回、ヴィニエット=本の挿絵がたくさん出ていたが、これがなかなかいいんですね。
「ヘルゴラントの死の舟」は後ろで骸骨が踊ったりして、ブラックなおもしろさ。
「海辺の日没とホウボウ」もなんかツボにはまった。なぜホウボウが描かれてるのか?
第3章 イタリア-古代への憧れ
ターナーはローマを訪れ、景色をたくさんのスケッチブックに残している。
これまであまり見たことがなかった・・・というかもしかして印象に残らなかったのかも。
黒チョーク、青、茶、灰色のウォッシュで描いた、色のあまりない風景画がなかなかよいし、この題材は版画がよく合う気がする。
ターナーらしい作品であれば「キリスト教の黎明(エジプトへの逃避)」だろうか。
第4章 山岳-あらたな景観美をさがして
ターナーならば山より海と思っていたが、山の絵、いいですねぇ。
「スノードン山、残照」。山の向こうの残照が何とも言えない色合いで美しい。
「キルカ―ン城、クラチャン・ベン山ー真昼」には美しい虹が!
「サン・ゴタール山の峠、悪魔の橋の中央からの眺め、スイス」はダイナミックな眺めが描かれる。実際より谷を深く描いているという。
ローレライやブレゲンツを描いた作品もいい。
モヤモヤなターナー作品は少なかったですが、逆にそれがよかったかな。
是非どうぞ。
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