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2018/08/12

【没後50年 藤田嗣治展】

art-22 【没後50年 藤田嗣治展】 東京都美術館

1808121
藤田嗣治展に行って参りました。
ちょくちょくやっているようですが・・・
一番大規模だったのは12年前、近代美術館でやった展覧会かな。
今回の展覧会は、学生時代から亡くなるまでの時系列で展示されており、非常にわかりやすい。12年前も同じような構成だったけれど。

Ⅰ 風景画ー家族と風景
藤田の父親は陸軍軍医だったそうで、「父の像」はなかなかに厳めしく描かれている。実際は、画家になりたいという藤田に理解を示し、資金援助もしてくれたそうである。
「朝鮮風景」。どちらかといえば、印象派風。
まだまったく藤田嗣治的ではない。

Ⅱ はじまりのパリー第一次世界大戦をはさんで
「キュビズム風静物」。藤田もキュビズムに挑戦していたんですね。もう1枚キュビズム風の絵もあったが、それでおしまい。
パリの風景を描いた作品群は、灰色でちょっと寂しい感じがする。
人物画は、この頃交流があったモディリアーニ風あり(細長い体、アーモンド型の目!)、ローランサン風あり(色使い)・・・
まあなかなか自分の作風が定まらなかったということでしょうね。

Ⅲ 1920年代の自画像と肖像ー「時代」をまとうひとの姿
自画像が4枚。やはり好きなのは、猫が邪魔?しようとしているやつかなあ。藤田といえば猫!
「エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像」は見たのははじめてかと思うが、ゴージャス。銀箔が使用されている。猫もちゃんといる。
そのものずばり「猫」も大好きな作品。

Ⅳ 「乳白色の裸婦」の時代
これぞ藤田!のコーナー。
裸婦の絵でもやはり猫が描かれていてほしい(笑)
「タピスリーの裸婦」は、ゴヤのマハ風ポーズ。
「舞踏会の前」は仮面が描かれていて、アンソール風(交流はあったらしい)。
一番好きなのは、「五人の裸婦」かな。五感を表す五人の女性。犬が横にいる女性は嗅覚。というのはなるほどと思うが、では猫は??

Ⅴ 1930年代・旅する画家ー北米・中南米・アジア
ここで急に作風が変わる。
原色に近い色遣いで、熱気が伝わってくるよう。
かと思えば、日本に戻っての絵は、落ち着いた色遣い。

Ⅵ-1 「歴史」に直面するー二度の「大戦」との遭遇
めずらしく、「サーカスの人気者」は犬の絵。
「争闘(猫)」は何度となく見ているが、いわゆるかわいい猫ではない。戦争のさなかに描かれたと聞くとなるほどと思う。
「人魚」。これは不気味。

Ⅵ-2 「歴史」に直面するー作戦記録画へ
「アッツ島玉砕」、「サイパン島同胞臣節を全うす」などの戦争画は決して戦意高揚のための絵ではない。かなり悲惨な場面を描いていて、辛い。
これで戦争責任を問われるとは・・・

Ⅶ 戦後20年ー東京・ニューヨーク・パリ
追われるように日本を離れた藤田はその後、日本に帰ることはなく、フランスに帰化している。
有名な「カフェ」は乳白色の絵再びで、これは好き。
「ビストロ」もいい。
「私の夢」は裸婦と動物なのだけど、まるで涅槃図・・・
子どもをテーマにした作品もあったけれど、ちょっと怖い。
小さな職人たちのシリーズは結構好きだけど(今回はなし)。

Ⅷ カトリックへの道行き
晩年は洗礼を受けたこともあり、宗教色が濃くなる。
どうもこのあたりになってくると、ワタクシ的にはしっくりとこないのだが、日本的な宗教画ということになるかな。

藤田嗣治の生涯がわかる展覧会。
是非どうぞ。


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