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2018/08/13

【ルーヴル美術館展 肖像芸術】

art-23 【ルーヴル美術館展 肖像芸術】 国立新美術館

1808131
ルーヴル美術館展はしばしばやっているイメージで、かかさず行ってはいるのだが、肖像画はあまり得意でなく・・・
まあでも見たことのない作品もあるしと思い、出かけた。
いえでも、これは行ってよかったなと。こういう切り口の展覧会はおもしろいと思う。

プロローグ:マスク肖像の起源
エジプト新王国時代には死者が死後の世界を永遠に生きるために理想化された顔が棺に貼り付けられた。
その後時代は変わり、リアルな顔を描くようになったという。

1.記憶のための肖像
1a 自身の像を神に捧げるー信心の証としての肖像
メソポタミア、ギリシャなどの出土品。棺の中などに入れたのだろうか。

1b 古代の葬礼肖像―故人の在りし日の面影をとどめる
墓所にあった肖像彫刻の数々。ディアナ、ヘラクレス、エロスなど神話に出てくる神様などとして表している。
エンブレマ型杯も飾られていたものなのかな?ご先祖様を彫った杯で飲んだりはできないよね??これはヴェスヴィオス火山の噴火で埋まってしまったボスコアーレという街から出土したものとのことだが、きれいなまま残っている。

1c 近代の葬礼肖像―高貴さと英雄性
「ブルボン公爵夫人、次いでブーローニュおよびオーヴェルニュ伯爵夫人ジャンヌ・ド・ブルボン=ヴァンドーム(1465-1511)」が衝撃的だった。顔は骸骨のようになり、おなかの中から蛆がわいて腸が出ているという・・・
どんな高貴な人もこうなるのだ。とはいえ、あまり気持ちのいいものではないなあ。
「マラーの死」は去年も見たなと思ったのだが、これはレプリカの1つのようだ。劇的な作品。人気もあったんでしょうね。

2.権力の顔
2a 男性の権力者―伝統の力
「クドゥッル(境界石)」というのがおもしろい。土地の境界に建てられたもののようだが、彫刻がなんともいえずいいのだ。
ローマの皇帝たちの彫像はどれも威厳があるが、カラカラ帝は、癇癪持ちのような顔。
ルイ14世の絵はよくみるアレだったが、今回のはサイズが2分の1のもの。14歳の時の彫像はローマの皇帝風である。
部屋を移ると、ナポレオンづくし!どれも立派に描かれている・・・描かれすぎていると思うのだが・・・
グロの描いた「アルコレ橋のボナパルト」は若き日のナポレオンをかっこよく描いていて、ナポレオンもいたく気に入っていたという。
しかし、ダヴィッドにしろグロにしろ、ナポレオンが失脚してからは悲しい運命をたどったんだなあ。
アングルは決して好みの画家ではないのだけど、「ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル《フランス王太子、オルレアン公フェルディナン=フィリップ・ド・ブルボン=オルレアン(1810-1842)の肖像」はよいと思った。

2b 権威ある女性
カラカラ帝も怒ってるように見えたけれど、クレオパトラも。眉をひそめて何を見ているやら・・・意志の強い女性に見える彫像。

2c 精神の権威
アリストテレス、ヴォルテール、ジャン・ジャック・ルソーなど。
さすが、みな知的な彫像である。

3.コードとモード
3a 男性の権力者―伝統と刷新
ボッティチェリと工房の「赤い縁なし帽をかぶった若い男性の肖像」。はじめボッティチェリとはわからなかったけれど、顔の表現はそうかな?

3b 女性の権力者―伝統と刷新
今回の目玉、ヴェロネーゼの「《女性の肖像》、通称《美しきナーニ》」。
この女性が何者かはわかっていないそうだが、裕福な女性であることは間違いなさそう。ちょと憂いを帯びた表情がいいですね。
レンブラントの「ヴィ―ナスとキューピッド」。モデルは内縁の妻ヘンドリキェと娘のコルネリアとあって、神話画じゃなくて、家族画のよう。
マリー・アントワネットのお気に入り画家だったヴィジェ・ル・ブランの「エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人」はフランス革命で亡命したあとの作品。各国で多くの顧客を獲得したらしいが、それもわかりますね。女性を美しく描くことに関してはピカイチ!

3c 子供と家族
ゴヤの「第2代メングラーナ男爵、ルイス・マリア・デ・シストゥエ・イ・マルティネス(1788-1842)の肖像」。なんともかわらしい子供の肖像画だが、女の子ではなくて男の子である。きっと注文主には喜ばれただろうなあという出来で、さすがゴヤ!

3d 自己に向き合う芸術家‐啓蒙の世紀の3つの例
メッサーシュミット「性格表現の頭像」。うつ病を煩っていた作者が自分をモデルとした作品を創ることで病を克服しようとしたというが・・・なんてしかめ面!今回のすごい顔3名は、これとカラカラ帝とクレオパトラで決まり(笑)。
デュクルー「嘲笑の表情をした自画像」。これはおもしろい。

4.エピローグ:アルチンボルドー肖像の遊びと変容
昨年のアルチンボルド展でも見た、「春」と「秋」に再会。
何度見ても楽しいなあ。

意外にも楽しめた展覧会。是非どうぞ。

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