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2018/11/03

【民家の画家 向井潤吉 人物交流記展】

art-31 【民家の画家 向井潤吉 人物交流記展】 世田谷美術館

1811031
民家の画家向井潤吉の足跡をたどった展覧会に行って参りました。
向井潤吉の風景画は昔から大好き。展覧会が明日までなので慌ててお出かけ。

I.1901-1936「出生から渡欧まで」
宮大工の家に京都で生まれた向井潤吉。浅井忠が設立した関西美術院で学び、上京後パリへと向かっている。
ごくごく初期の人物画がまずは展示されていたが、作風はまったく違う。安井曾太郎風でもあり、岸田劉生風でもあり。
その安井曾太郎の裸婦像、小出楢重の作品もあり。
中でも一番印象に残った向井以外の作品は、黒田重太郎「湖畔の朝」。色遣い、木々の描き方がセザンヌ風だ。
向井潤吉がパリのルーブル美術館で模写したという絵も。それぞれの画家の特徴をよくとらえた精巧な模写である。ルノワール、ミレー、デューラー・・・一番よく描かれていたのはアングルの「泉」だろうか。

II.1937-1959「戦争の時代、そして民家との出会い」
パリから帰国した向井は、戦地に赴き絵を描いている。
この頃の絵を見るのははじめてかもしれない。
「影(中国・蘇州上空にて)」は、蘇州の街を空から見る構図で、飛行機の影が映る。ダイナミックな構図だが、不穏な空気が流れているような絵。
「坑底の人々」は炭鉱で働く人々を描いており、人々の疲れ切った様子がリアルだ。
たいめいけんの初代シェフを描いたのが「ある司厨長の像」。友人だったらしい。3代目となんとなく似ているような・・・
戦争直後、長女の疎開先で描いた「雨(新潟県北魚沼郡川口村)」。その後民家を描くきっかけとなった作品らしい。

III.1960-1989「民家遍旅」
これぞ、向井潤吉!な絵の数々である。
どれがいいとは言えないですね。どれもいい。
チラシにもある「六月の田園」(岩手山)、「草原六月」(北海道)、「奥丹波の秋」、「奥多摩の秋」、「遠野の春」・・・
なんとも懐かしいような、見ていて心穏やかになれる絵ばかりだ。

向井潤吉、本や新聞小説の挿絵を結構描いているんですね。それも知らなかったなあ。これまたなかなかにいいんですね。
版画作品も。素朴でよい。

IV.世田谷の地で巡り合った人々
世田谷で交流のあった画家、彫刻家の作品。
実弟、向井良吉は彫刻家だったのですね。「蟻の城」は現代っぽいちょっとシュールな作品。彫刻家で好みなのは佐藤忠良かな。
府中美術館でよくお目にかかる牛島憲之もあった。

各所に向井潤吉のエッセイが紹介されていて、作品とリンクさせるという構成。エッセイも味わい深くて、いい展覧会でした。

この展覧会は明日で終了です。

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