【クリムト展】
art-27 【クリムト展】 東京都美術館
原宿から上野に移動、都美術館へ。
ここまで2つ見てきたウィーン世紀末芸術に関する展覧会第3弾、クリムト展である。
到着したのが4時近く。さすがにそんなに混んでないだろうと思ったのだが、なんと20分待ち!会場内も混み混みでした。
1. クリムトとその家族
まずはあの有名な猫を抱えたクリムトの写真からスタート。
家族の絵では、弟の娘「ヘレーネ・クリムトの肖像」が印象的。おかっぱの横顔だが、とても大人びてるなあ。
弟との合作の彫金作品が美しい。彫金師の家の生まれでしたね、クリムトは。
2. 修業時代と劇場装飾
若い頃の作品。
師匠のハンス・マカルトや盟友マッチュの作品も。
この頃の作風はとても古典的なのですね。正しい感じの絵。テッィツィアーノの模写もあったが、後年あんな作風に変化していくとは全然思えないのである。
クリムトではなくて、マッチュの作品「女神(ミューズ)とチェスをするレオナルド・ダ・ヴィンチ」、これ気に入った!
3. 私生活
クリムトの私生活はまったく(笑)
一生結婚はしなかったものの、少なくとも14人は子どもがいるという・・・
「葉叢の前の少女」は印象派風であるが、この絵のモデルとの間にも子どもがいたとか!いやはや。
でも、もっとも信頼していた女性は弟の妻の妹、エミーリエ・フレーゲで、当時としてはめずらしく自立した女性だったということだ。
4. ウィーンと日本 1900
そのエミーリエを描いたのが「17歳のエミーリエ・フレーゲの肖像」。美しい。額縁に梅が描かれていて、こういうところは日本的。
「女ともだち」は構図が日本的かも。
「赤子(ゆりかご)」はどこが日本的なんだろう?端布がたくさんが積まれた上に赤ん坊がいるという不思議な絵。色が結構ごちゃごちゃしている。
5. ウィーン分離派
今回のハイライト!
「ユディトⅠ」と「ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)」。
解説が後ろにあり、これなら混まないかというとそうでもなくて、見るのが大変でした。
「ユディトⅠ」はタイトルを見ないとユディトとは思えないんですね。あまりに妖しく艶めかしすぎる。ホロフェルネスはというと・・・いました、下の方に首が・・・
油彩画にはじめて金箔を用いた作品とのこと。
「ヌーダ・ヴェリタス」は「アテナ・パラス」(先日見た)の下の方に描かれている女性に似ているが・・・いろいろな寓意が込められているんですね。蛇があやしい。
この2作品もよかったのだが、「ベートーヴェン・フリーズ」の再現が素晴らしい!本物も見ているのだが、実物と変わらない。素材も再現してるんですね。騎士、ゴルゴン三姉妹、テュフェウス、天使たち・・・そして最後に接吻する男女は「接吻」に似てるなあ。
6. 風景画
クリムトの風景画は今まであまり見たことがなかったが、結構いいかも。
「アッター湖畔のカンマー城III」はほぼ点描。
「丘の見える庭の風景」となると強烈。ゴッホの影響があったそうだが・・・
晩年の色遣いにつながる感じ。
好きな画家、カール・モルが2点あったのもうれしい。
7. 肖像画
カラフルな作品続きで「オイゲニア・プリマフェージの肖像」。これまた強烈な色遣い。
「白い服の女」は背景が右は黒、左は白にわかれていて、これは何を意味してるのだろう。
8. 生命の円環
身近な人の死などもあった影響が感じられる作品たち。
「女の三世代」は老いをリアルに描いているし、「家族」は顔色の悪い親子が黒の中に浮かび上がる。これは怖い。重い。
クリムトの展覧会というと、ヴェルヴェデーレのオーストリア絵画館で見た「クリムト生誕150周年記念展」が圧倒的にすばらしかったのだけど、この展覧会も若い頃から晩年まで網羅していて見所がいろいろとありました。
是非どうぞ。
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