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2019/10/14

【岸田劉生展】

art-39【岸田劉生展】 東京ステーションギャラリー

1910141

昨日、電車が動き始め、美術館も開館(午後2時)したところで、東京ステーションギャラリーの岸田劉生展へ。
結構な人の入りでした。

ほぼ年代順に並んでいて、作風の変化がよくわかる展示です。

第一章:「第二の誕生」まで:1907~1913
黒田清輝の元で絵を学び、画家としてスタートした頃の作品。
この頃の作品は今まであまり見たことがないかも?
十代の頃の水彩画もあったけれど、非常に繊細な感じ。
師の影響が感じられる風景画のあとの「自画像」。これはインパクトありすね。フォービズム的。風景画もいきなり鮮やかな色彩と太い輪郭に。
ゴッホに感銘を受けたらしいのだが、どちらかというとゴーギャン的とも言える。

第二章:「近代的傾向…離れ」から「クラシックの感化」まで:1913~1915
肖像画を多く描いた時代。
自宅を訪ねてきた友人たちを片っ端から描いたとか。木村荘八、バーナード・リーチ、武者小路実篤などなど・・・
しかし、なんといっても自画像の多さ!レンブラントなみ・・・
ほとんど同じ角度で同じ服装・・・が続く中、突然の変化が。
デューラーに傾倒したらしく、デューラー風の自画像へと変化しているのである。
奥さんを描いた絵も数枚あったけれど、やはりデューラーっぽい感じ。エンブレムやサインもマネしたのだろうか。
「黒き土の上に立てる女」も奥さんがモデルとのことだが、これは急に泥臭い感じ。

第三章:「実在の神秘」を超えて:1915~1918
近代美術館の常設展示でよく見る、傑作「道路と土手と塀(切通之写生)」。これは大好きな作品なのだが、この絵が描かれた20日前に描いたという「代々木附近」の展示も。こちらの作品は同じ場所を横から描いていて、
前者に映り込んでいる影・・・の電柱が描きこまれている。ここの坂、ちょっと行ってみたくなる。
「古屋君の肖像(草持てる男の肖像)」。リアルに描かれた肖像画なのだが、なぜ花?草を持たされているのか・・・
今回はじめて見て気に入ったのが「壺の上に林檎が載って在る」。描かれている壺はバーナード・リーチの壺とのことで、壺だけの絵もあるが、なぜかこちらにはリンゴが上に乗っている・・・なぜ乗せようと思ったのか(笑)
この頃、劉生は結核と診断され(誤診だったそうだが)、屋外に出ることができなくなって静物画を多く描いているのだが、これがなかなかによいのである。
セザンヌばりに林檎の絵をいろいろと描いているが、ちょっと傷みかけていたり、配置にこだわった感じもあっておもしろい。
いよいよ!「麗子肖像(麗子五歳之像)」。これがはじめて描いた麗子の絵とのことだが、非常に写実的に可愛く描かれている。

第四章:「東洋の美」への目覚め:1919~1921
麗子づくし!!
ワタクシは麗子の絵が好きで、追っかけているのだけれど、今回は今まで見たことがなかったものをたくさん見られたのがうれしい。前期に出ていたのも見たかったなあ。
麗子もはじめは、フツーのかわいらしい少女として描かれているのだが、次第にデフォルメされ、怪しげな感じに・・・
「麗子八歳洋装之図」はめずらしく洋装の麗子。こんな作品もあったんですねぇ。

第五章:「卑近美」と「写実の欠除」を巡って:1922~1926
次第に日本画へと傾倒していく劉生。こうしたイメージもあまりなかったなあ。
このパートの麗子像はだいぶ怪しい感じになっていたが、「七童図」なども、なんとなく子どもが皆麗子に見える・・・

「鯰坊主」は、浮世絵の役者絵(大首絵)。
風景画や四季の花果図などはさらさらっと描いていて力が抜けている感じ。悪くない。

第六章:「新しい余の道」へ:1926~1929
この頃よく描いたモチーフが冬瓜。
粉をふいたような感じがおもしろかったらしい。何枚か見ていると確かにおもしろくなってくるような・・・
『棋道』という囲碁の雑誌の表紙絵は、ちょっとマンガチックで楽しい。
最晩年の満州・大連を描いた風景画は、色鮮やかで、ルノワール的。
帰国後劉生は急逝しているのだが、このまま長生きすればもっともっと作風が変化したのかも・・・

見応えあります。
是非どうぞ。

1910142

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