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2021/02/13

【没後30年記念 笠松紫浪―最後の新版画】

art-6【没後30年記念 笠松紫浪―最後の新版画】 太田記念美術館(オンライン)

なかなか美術館にも気軽に足を運べない昨今。
太田記念美術館の展覧会がオンライン観賞できると知って、早速みてみた。

noteに登録し(しなくてもよいが)、リアル展覧会と同じ料金を払っての観賞。

笠松紫浪は今回はじめて知った版画家。
鏑木清方の門人として日本画を学び、新版画を戦後まで作った人物。
川瀬巴水と画風が似ていることから次第に忘れてしまったのだという。この展覧会をきっかけに脚光を浴びるといいですね。

Ⅰ.渡邊木版画舗版ー大正8~昭和16年(1919~41)
初期の作品は、これが版画?と思うようなスケッチっぽいもの。
美人画なども描いたようだが(1点展示あり)、ほとんどが風景画であるようだ。
昭和に入って作風はかたまってきたようで、叙情あふれる作品が並ぶ。
東京を描いた作品で言うと「雨に暮るゝ塔(東京谷中)」、「春の夜―銀座」、「夜雨 不忍池」が好み。抑えた色調がいいですね。
紫浪はまた温泉を多く描いているのだが、中でも「信州白骨温泉」すごいな~いや、絵がというか、岩の上に張り出した露天風呂がびっくり(笑)。恐いなこの露天風呂。
富士山の2枚「夕富士・静浦村」、「静浦の暁」、美しい。
異質な作品は「暁霧をついて」。兵士が朝霧の中を行軍する画なのだが、戦時中こういった画の需要があったのだろうか。

Ⅱ.渡邊金次郎版ー昭和23~25年(1948~50)
紫浪は戦時中、信州に疎開していたとのことで、信州の温泉を題材とした作品が多いとのこと。
「信州渋温泉」。雪の中の静かな温泉地。宿の明かりが暖かみを感じさせる。
「雪の塔 上野東照宮」の雪の風景もいいですね。
前者は東山魁夷、後者は川瀬巴水っぽい感じだけれど。

Ⅲ.芸艸堂版―昭和27~34年(1952~59)
この時期の作品は色彩が鮮やかになる。
とともに、ちょっとラフになったように思える。グラフィカルになったというべきか・・・
校合摺と見本摺、原画と見本摺、見本摺と初摺を並べての展示がおもしろい。
「箱根湯本の春宵」の見本摺と原画を比べてみると、原画の方が好きだなあ。淡い感じだし、摺った方は水たまりや花がイラスト的になってしまっているし。
弁慶橋は初期の作品もあり、比べてみると初期の方が好き。
東京八景の内 増上寺三門」の見本摺と初摺は、人物の配置や着物の色など結構変更点があるが、これは初摺の方がいいかな。人物がアクセントになっているし、山門の陰影がくっきりしているので。
「飯坂」の見本摺と初摺は、初摺ですね。トーンをおさえた方が雰囲気が出ていると思う。
正直、最後の方の作品は粗いなあと思ったが(それはそれで悪くはないけれど)やはり「東京タワー」のような繊細な線の方がいいなあ。

はじめてオンラインで鑑賞したけれど、なかなかいいですね。
太田記念美術館でも、アーカイブが見られるみたいなので、また見てみようかな。

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