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2021/08/07

【浮世絵風景画―広重・清親・巴水 三世代の眼―展】

art-14【浮世絵風景画―広重・清親・巴水 三世代の眼―展】(前期) 町田市立国際版画美術館

前日に続いて美術館へ。

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今回も車で町田市立国際版画美術館へ。
浮世絵風景画―広重・清親・巴水 三世代の眼―展である。
元々、昨年開催が予定されていたが、コロナの影響で1年延期になったらしい。

前後期全点入れ替えで、総数373点。
今回見たのは前期である。

1章 江戸から東京へ―三世代の眼―
これはおもしろい企画だと思う。
江戸時代の広重、明治時代の清親、大正・昭和時代の巴水、3人が描いた同じ風景の作品を並べるという企画である。
作風が違うのはもちろんだが、同じ風景でも時代が異なると違った風景に見えたり。でも、いつの時代も案外変わらないなと感じたり・・・
どの絵師が一番いいかというのは、自分の趣味の問題もあるし、一概に言えないですね。

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神田明神は広重の構図がいいなと思うけれど、清親の構図もちょっと似てるけおおもしろいし、巴水の絵は関東大震災で社殿が焼失してしまった風景を描いており、一見して神田明神とわからないという・・・

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品川は、広重、清親とも、描かない美である。

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木場は、清親の作品が広重リスペクトな感じ。2枚は雪なのに対し、巴水は夕暮れ。美しい。

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増上寺は、なんといっても巴水ですかね。雪と赤いお寺と、鮮やかだ。

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亀戸は広重がもっともオーソドックス、清親は木のねじれがおもしろく、巴水は水に映る橋がきれい。


2章 歌川広重―江戸の名所絵―
2章以降はそれぞれの絵師たちの作品の紹介。

1節 東海道の絵師、広重
広重といえば、なんといっても東海道五十三次!
何度も見てはいるけれど、何度見てもいいですねぇ。
そして、実際東海道を歩いてみると、懐かしく思えるし・・・
広重の東海道シリーズ、いくつもあるので、並べてみてみたいなあ。

2節 さまざまな江戸名所絵
広重はまた江戸の名所もたくさん描いている。
名所江戸百景が一番有名だけれど、東都名所もよく見るシリーズ。
江都勝景はあまり今までみたことがないかな。江戸の大名屋敷を描いたシリーズなのだけど、お屋敷はただだだっ広いだけ・・・のようにも思える。その周囲の風景を楽しめばよいのだろうけれど。
団扇絵はなかなかよい。涼しげだ。

3節 竪絵の新視覚
名所江戸百景。
手前のモチーフを大きく描く手法が多く採られている。
今回出ていた中で一番好きなのは、亀が描かれている深川万年橋かな。両国花火も好き。
富士山というとどうしても北斎のイメージになってしまうけれど、そうそう、広重にも「富士三十六景」があったんでした。

3章 小林清親―明治の光線画―
1節 新しい風景、新しい暮らし
清親は明治時代に活躍した絵師。
画風がそれまでの絵師とは違うのもあるけれど、新しいものがいろいろと描かれているのが時代を感じさせる。
ガス燈や兵隊さん、近代建築。人々の服装も新しい。

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その中で、お気に入りは擬洋風建築の第一国立銀行を描いた「開運橋 第一銀行雪中」。静かな雪景色だ。

2節 天候・時刻のうつろい
清親といえば光線画。
光線画が映えるのは、夜だと思う。好きな作品はだいたい夜を描いた作品だけれど、夜+雨もいいですね。
清親の雨の表現は、雨そのものではなくて、地面がああ雨で濡れてるんだなあとわかるもので、なるほど!と感心。

3節 江戸浮世絵への回帰
次第に江戸の浮世絵風を描くようになった清親。

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構図が、広重の堅絵のようで、へえ、こんな作品もあったんだなと。
色遣いはモダンなので、江戸浮世絵っぽくない感じはある。

4章 川瀬巴水―大正・昭和の新版画―
1節 東京風景―自然と伝統への同化
巴水いいですねぇ。

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東京の風景の数々。この場所ならこの風景を書くでしょというのをはずしているところがおもしろい。
従来の名所にこだわらずに自らの眼で風景を選んだとのことだ。

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そしてグラデーションが美しいこと!
夕暮れ、雨、雪・・・いいなあ。

2節 旅行と風景―浪漫への誘い
巴水は旅好きだったようで、日本各所を旅行して描いている。
地元の人は景色の良いところを数々案内したけれど、結局違うところを描いたというエピソードもあり、やはり自分がここと思った風景を描いているようだ。
切り取り方もおもしろく、錦帯橋など、ほんの一部分しか描いていない・・・
宮島や清水寺や平等院も!

とても充実した展覧会でした。
後期も行けたらいいなあ。

 

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