【浮世絵風景画―広重・清親・巴水 三世代の眼―展】(後期)
art-17 【浮世絵風景画―広重・清親・巴水 三世代の眼―展】(後期) 町田市立国際版画美術館
この展覧会の前期展示を見に行ってとてもよかったので、後期も行くことにした。
前後期全点入れ替えで、総数373点。
なかなかのボリューム。
以下簡単にお気に入りの作品などを。
1章 江戸から東京へ―三世代の眼―
3人が描いた同じ風景の見比べ。
新大橋。広重の「大はしあたけの夕立」は最近みたばかりだけれど、やはりこれは傑作。巴水の夜の風景もいいけれど。
滝野川。巴水はこれまた夜だけど、細い三日月がポイント。
待乳山。清親の「墨田川夜」の人物のシルエットがいいなあ。
浅草寺。3人とも雪の風景を描いている。浅草寺の赤とのコントラストが映えるからだろうか。
日本橋。3人が描いた橋はすべて違う。広重、清親は木橋、巴水は石橋だ。首都高が通っていないのはいいなあ。
小金井。広重の絵が一番好き。木の向こうに見える富士山がいいですね。
2章 歌川広重―江戸の名所絵―
1節 東海道の絵師、広重
今回展示されていた東海道(保永堂版)で好きなのは、「三島 朝霧」。三嶋大社のシルエットがきれい。
蒲原もいいのだけれど、実際は雪が降ることはないからなあ・・・
行書版の蒲原の方が実際に近い風景なのだろう。
コミカルなのはやっぱり「御油 旅人留女」でしょう!弥次喜多っぽい人たちがぐいっと引き留められている。
2節 さまざまな江戸名所絵
「東都名所 日本橋之白雨」。大橋並に降る日本橋。ぼんやり浮かぶ富士山のシルエットがいいなあ。
今回の展覧会で知った江都勝景。後期も1点出ていたけれど、やっぱりだだっ広いお屋敷が描いているだけ感が・・・
「四季江東名所」シリーズは短冊型で、今回は秋冬が出品されていたけれど、なかなかに風情がある。
魚市場の絵、楽しい。
3節 竪絵の新視覚
今回出ていた名所江戸百景はわりと地味めな作品が多く、特にこれが好きというのはなかったのだが、富士三十六景がいいですね。
「下総小金原」がツボ!!馬があまりに大きく描かれている。
「さがみ川」はゴッホのタンギー爺さんの肖像の背景に描かれている絵か!!
「東海堂左り不二」は吉原あたりですね。
3章 小林清親―明治の光線画―
1節 新しい風景、新しい暮らし
3章に入ると、急に文明開化!
明治の時代に入り、新しいものが描かれるようになる。
駅、汽車、街灯、博覧会・・・
「川口鍋釜製造図」は鋳物産業を描いていて、めずらしいテーマである。
2節 天候・時刻のうつろい
清親の光線画。やっぱり似合うのは夜よねと思っていたけれど、夕焼けもいいですね。雲が美しい。
夜の絵では、「柳原夜雨」(夜×雨という最強タッグ)が好きなのだけど、「御茶水蛍」は暗すぎません?「上野東照宮の夜」も・・・
また、清親といえば東京を描いた絵と思っていたけれど、旅先を描いたものもいいですね。「三保ノ浦帆」の富士山のきれいなこと!箱根の絵もいいなあ。
3節 江戸浮世絵への回帰
「東京名所真景之内」のシリーズがよいのだけど、数点で製作が中止されたそうで残念・・・
描きはじめても、いろいろな事情で途中で終わってしまうシリーズって結構あるようですね。
4章 川瀬巴水―大正・昭和の新版画―
1節 東京風景―自然と伝統への同化
太田区立郷土博物館でも巴水展を見たけれど、意外とこの展覧会と作品がダブってないんですね。
東京十二題、東京十二ヶ月、東京二十景といろいろなシリーズがあるのだけど、やっぱり、雪、雨、夜、夕日かなあ。
中でも夜のブルーが美しい。
「こま形河岸」は夏の昼間でちょっと異色かも?竹の間から見える空がきれいだ。
2節 旅行と風景―浪漫への誘い
日本全国を旅した巴水。
塩原の滝、白馬からみた朝日が嶽、中尊寺金色堂などがお気に入り。
朝鮮にも行っているんですね。解説にあったように芝増上寺に似た風景があった。
この章を見ていたら、どこかを旅したいな~と。今は叶わないけれど、コロナがおさまったら、あちこち出かけたいですね。
前後期、大変充実した展覧会でした。
是非どうぞ。
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