【グランマ・モーゼス展】
art-4【グランマ・モーゼス展】 世田谷美術館
世田谷美術館で開催中の、生誕160年記念グランマモーゼス展に行って参りました。
日本で回顧展が開催されるのは16年ぶりとのこと。
SOMPO美術館で所蔵品をいつも見ているけれど、まとまって見られるのはうれしい。
第1章 アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼス
農家の主婦として生きてきたグランマ・モーゼスが絵筆をとったのは70代になってから。それまでしていた刺繍絵がリュウマチの悪化で針が持てなくなり絵筆に替えたのがはじまり。
近くのドラッグストアにお手製のジャムとともに絵を並べていたところ、78歳の時に偶然立ち寄ったアマチュアコレクターが、10点を購入、美術関係者に売り込んで、80歳の時に初の個展が開かれた・・・
絵筆をとる前の刺繍絵の見事なこと!これが絵になるとこういう絵になるのねと思う。
決して上手い絵とは言いがたいのだけど、暖かみのある絵で、見ていてほっとするというか、なごむんですね。
今まで見たことがなかった構図の絵が「窓ごしに見たフージック谷」。窓枠とカーテンごしの風景で、こんなのもあったんですね。
はじめに買われたうちの1枚、「初めての自動車」は、アンリ・ルソーみたいだ。
グランマが絵を描いた机の展示もあったが、脚の部分に絵を描いてて、いや楽しいこと!
第2章 仕事と幸せと
グランマの絵をみると当時の農家の仕事の多さがわかる干し草つくり、
動物の世話、作物の収穫、石けん、ろうそく造り、キルト作り・・・
その当時の女性は、炊事洗濯もすべてやらねばならず、大変だったことでしょう。でもグランマの言葉によれば「どんな仕事でも、幸せを増やしてくれるものです」なのだそうだ。肝に銘じたい・・・
そうしてみると、いろいろな仕事を描いた絵(大変そうな絵や、ハプニングも描かれているけれど)はとても幸せそう、楽しそうだ。
「キルティング・ビー」はわいわいがやがや楽しそうだし、突然の雨に「洗濯物をとり込む」絵は、なんだかのんびりとしている(全然動じていない!)。
パッチワークの展示もあったけれど、グランマの絵もパッチワークのようだとも言えますね。
お気に入りは、グランマも気に入っていたという古い格子縞の家を書いた何枚かの絵で、マグネットを購入。
第3章 季節ごとのお祝い
グランマは農場の暮らしは「毎日ほとんど変化はないけれど、季節だけは移ろう」と言っている。だからこそ、季節の行事を大切にし、楽しんでいたのですね。
「シュガリング・オフ」はメープルシロップ作り。雪の上にシロップをたらしてかためて食べてみたいな~
この絵を見て、大草原の少女ローラを思い出しました・・・同じ時代を生きてますしね。
「アップル・バター作り」。これも大変な作業のようだが、楽しそうだ。
そして「ハロウィーン」。なんかカボチャが変だけど(笑)
感謝祭には「七面鳥」。丸々太った七面鳥、つかまえるの大変そう。
クリスマスの絵はどれも幸せに満ちている。
第4章 美しき世界
グランマは美しい自然を描き続けてたが、一方自然の厳しさも描いてもいる。
「暴風」、「雷雨」、「森の火事」。それでも決して暗くは描かないんですね。
ラストは、100歳の時に描いた絶筆「虹」。
なんて幸せな絵なんでしょう!
辛いことも悲しいこともたくさんあっただろうけれど、幸せな人生だったのだろうなあということがわかる絵でした。
是非どうぞ。
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