【民藝の100年展】
art-5【民藝の100年展】 国立近代美術館
民藝運動を提唱した柳宗悦没後60年ということで、日本民藝館所蔵品を中心とした400点を超える作品・資料から構成される展覧会に行って参りました。
だいぶ前に静岡の芹沢銈介美術館に行って以来、民藝に興味を持ち、関連する展覧会にはいろいろと行っていたのだが、ようやく日本民藝館に行ったのは去年のことだった。
日本民藝館はそれほど大きなところではないので、今回一挙400点以上の公開ということで楽しみにしていた。
いやーすごいボリュームでしたね。
Ⅰ章 「民藝」前夜―あつめる、つなぐ
柳が結婚後の住まいとしたのが、当時白樺同人の志賀直哉、武者小路実篤などが住み、バーナード・リーチが窯を築いた我孫子。
「白樺」同人がロダンから送られたという三体の彫刻の展示があった。小さいものだけど。
友人リーチが描いた柳の肖像画、似てる!
リーチの軽井沢を描いたお皿、いいなあ。
Ⅱ章 移動する身体―「民藝」の発見
李朝陶磁器展覧会に出展されたという3つの壺、どれもいいのだけど、一番のお気に入りは虎の絵が描かれているもの。猫というかなんというか、不思議な生き物になっている・・・
柳が朝鮮を旅行した際、朝鮮陶磁器を気に入り、蒐集、展覧会を催したとのこと。
日本国内各地も旅行し、民藝の発掘蒐集にあたった柳だが、そのきっかけとなったのは山梨で出会った木喰仏だったという。木喰仏、あのほほえみがいいですね。
ヨーロッパでの蒐集品はなんといっても、スリップウェア。リーチや、河井寬次郎、濱田庄司にも影響を与えていると思われる。
Ⅲ章 「民」なる趣味―都市/郷土
「民俗」「民家」「民具」「民芸」など地方の伝統的な生活文化を再評価する動き。
大津絵。ゆるい感じがいいんですよね。大津絵の展覧会も一昨年行きました。
芹沢銈介が蒐集していたという小さい絵馬とか、三春人形もいい味だ。
Ⅳ章 民藝は「編集」する
柳は単に民藝を蒐集するだけでなく、広める事にも尽力。いかに広めるか、すぐれた編集の能力のあった人だった。
1931年に創刊した雑誌「工藝」。これがすごい!雑誌そのものが工芸なのである。表紙に和紙を使用したり、布だったり。表紙を見ているだけでも楽しめる。
そして、民藝運動に携わった人たちは、服装や持ち物もアート。帽子、スーツ、ネクタイ。どれをとってもおしゃれだ。
吉田璋也のデザインしたニニグリ糸を使ったネクタイ、いいなあ。
Ⅴ章 ローカル/ナショナル/インターナショナル
芹沢銈介デザインの、日本全国の工芸品の産地が記載された日本民藝地図が圧巻。13メートルにも及ぶ地図で500件以上の産地が書かれており、よくまあ調査したものだなあと思う。意外と知らない工芸品もあるのだった。
沖縄、アイヌ、朝鮮、中国、台湾などのコレクションもあり、実にバラエティに富んでいる。
Ⅵ章 戦後をデザインする―衣食住から景観保存まで
意外にも戦後になってプリミティブな・・・縄文土器、岩偶などのコレクションが追加される。一方フィンランド・デンマークのデザイン展なども開催し、幅を広げた民藝運動。
1950年代、国立近代美術館は、柳から批判を受けているのだけど、その美術館がこうして大々的に民藝展をやるというおもしろさ。
ラスト、芹沢の飲食店のポスターや看板、アサヒビールの包装紙のデザインがやっぱりいいなあと思ったのでした。
すごいボリュームで、2時間以上かけての鑑賞。
時間に余裕を持って是非どうぞ。
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