【自然と人のダイアローグ展】
art-12【自然と人のダイアローグ展】 国立西洋美術館
国立西洋美術館がリニューアルオープンしたということで、記念展覧会に行って参りました。
ドイツ・エッセンのフォルクヴァング美術館と、国立西洋美術館のコラボ。
この美術館知らなかったけれど、西洋美術館と共通しているのが個人のコレクションが母体となった美術館ということ。
なかなか素晴らしいコレクションで、かつ展示の仕方がとてもよいのですね。相乗効果があがるような展示で感心しました。
Ⅰ空を流れる時間
大好きなブーダンからスタート。
続いて弟子ともいうべきモネの「雲の習作」という絵があったけれど、へえこれがモネ!
好きな作品「雪のアルジャントゥイユ」の展示もあったが、隣にあったのがピサロの「ルーヴシエンヌの冬景色」。これもいいなあ。
モネは何点もあって、「セーヌ河の朝」は光の表現がらしくてよい。
「ルーアン大聖堂のファサード(朝霧)」もあった。今まで何点みたのだろう。
「ウォータールー橋、ロンドン」と「ウォータールー橋、ロンドン」を並んで展示するとは!センスがいい。
マックス・リーバーマン「ラーレンの通学路」。この画家は知らなかったが、木漏れ日が美しい。
ルノワール「オリーヴの園」。ワタクシ、ルノワールの風景画の方が人物がより好きかも?「風景の中の三人」は人物も描かれているけれど、外の光が主役と思う。
並びが素晴らしいといえば、モネの「舟遊び」(これはよく見る絵ですね)と、リヒター「雲」。モネの水面に写る雲とリヒターの雲が妙にシンクロする。リヒターはあまり得意な画家ではないのだけど。
Ⅱ〈彼方〉への旅
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ「夕日の前に立つ女性」。朝日のようにも思えるけれど夕日なんですね。壮大な風景と人物との対比がおもしろい。
ヨハン・クリスティアン・クラウゼン・ダール「ピルニッツ城の眺め」。構図がおもしろい。額縁の中に窓があって、そこからの風景。
クールベの波2点。一つはフォルクヴァング美術館のものだけど、こちらの方がまだ波が穏やかだろうか。
シャセリオー「アクタイオンに驚くディアナ」。いろいろな画家が描いているギリシャ神話のお話だが、これ、もうアクタイオンが鹿になっちゃってます?
モロー「聖なる象(ペリ)」。ちょっと東洋的でエキゾチックな感じ。
ポール・ランソンの「ジギタリス」。本の装丁とか挿絵っぽい。
ポール・ゴーガン「扇を持つ娘」。亡くなる前年に描いたとのことだが、かなり落ち着いた画風となっている。
Ⅲ光の建築
セザンヌが2枚。西洋美術館のは「ポントワーズの橋と堰」。こちらは結構描きこまれているけれど、フォルクヴァングの「ベルヴュの館と鳩小屋」は塗り残しがある風で、でもこの色遣いはセザンヌだなと。こっちの方が好きかも。
ホドラー「モンタナ湖から眺めたヴァイスホルン」。ホドラーはスイスでたくさん見たなあ。ホドラーは風景画の方が好きだ。この作品は色もいい。
新所蔵品というアクセリ・ガッレン゠カッレラの「ケイテレ湖」。フィンランドの画家とのことだが、今まであまりフィンランドの作品って見たことないかも???妙に上に偏っている構図がおもしろいが、水面を描くのがメインだったのだろうか。
テオ・ファン・レイセルベルへの「ブローニュ=シュル=メールの月光」。かなり細かい点描。幻想的な作品だ。
ポール・シニャック「サン=トロぺの港」、「ポン・デ・ザール橋」。サン=トロペのこの色合いいいですね。
カンディンスキーの「小さな世界」シリーズ。大きな作品の方がよいかな。
パウル・クレー「月の出(サン=ジェルマン界隈)」。抽象化はされているけれど、まだわかるな~なんかかわいらしい絵だ。
Ⅳ天と地のあいだ、循環する時間
ドニ「踊る女たち」とモネの「陽を浴びるポプラ並木」。
ドニとモネじゃ全然違う・・・と思ったけれど、この並びいい!木がシンクロしている。
ルノワール「木かげ」はちょっとモネ的。
ゴッホの「刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)」。初来日だそう。麦を刈り取る人に死のイメージを見たと語ったそうだけれど、一面の黄色い麦畑には奇妙な明るさと躍動感を感じた。
ピサロの「収穫」がとてもおとなしく見える。
ゴッホはもう一枚。これまた療養していた時に描いた「ばら」。ワタクシはサン=レミ時代の作品が好きだ。
並んでいたモネの「黄色いアイリス」はこうしてみるとうねっていてゴッホに近いものを感じる。
ムンクの連作版画集「アルファとオメガ」。叫びに似た作品もある。
最後はモネの睡蓮が2枚。
一枚は激しく破損している作品で痛々しいが、ラストの睡蓮、これはいつみてもいいですね。
素敵な展覧会でした。
是非どうぞ。
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