ジョセフィン・テイ『時の娘』
本日の本
book-12 『時の娘』 ジョセフィン・テイ著 ハヤカワ・ミステリ文庫
STORY:スコットランドヤードのグラント警部は任務遂行中に骨折し入院するが暇を持て余し、リチャード三世が本当に2人の甥たちをロンドン塔に幽閉したのち殺害したのか、を推理することになる。
☆☆☆ミステリーの古典的名作。
いつかは読もう読もうと思っていたのだが機会を逸してしまい・・・
今回、五十音順読書ミステリー編で「と」の順番がきたので、ようやく手に取った次第。
骨折で入院したスコットランドヤード警部が、似顔絵からはとても悪人には見えないと思った、リチャード三世が、前王であった兄の子たち(甥)を殺したというのは本当なのか、を暇にまかせて推理する、というお話で、歴史ミステリーでもあり、また安楽椅子探偵ものでもある。
この甥殺しに関しては、ミレーの有名な絵「塔の中の王子たち」やドラローシュの「ロンドン塔のエドワードとリチャード」のイメージがあり、リチャード三世は極悪非道の王様だとすり込まれていたのだが、それを突き崩し、別に犯人がいたと結論づけるのである。
おお、なるほどねと、リチャード三世は悪い王様ではなかったんだなと納得させられるけれど、本当のところはどうなのかは永遠の謎なわけで・・・
この小説だけでなく、塔の中の王子たちを殺した犯人は○○という説はあるようなのだけど、一般的にはやはりリチャード三世の仕業であるというのが定説。いやでも、そうじゃないのかも??
楽しく読んだのだけど、基本的知識として、薔薇戦争とか、このあたりの基本的な知識がある方がもっと楽しめるだろう。
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