【ピカソとその時代─ベルリン国立ベルクグリューン美術館展】
art-1【ピカソとその時代─ベルリン国立ベルクグリューン美術館展】 国立西洋美術館
ベルリン国立ベルクグリューン美術館展に行って参りました。
この美術館、ベルリン国立美術館群の一つだそうなのだけど、記憶にない・・・
シャルロッテンブルク城の近くにあるらしいのだが、気づかなかった・・・
ドイツ生まれの美術商ベルクグリューンが蒐集したコレクションからなる美術館である。
今回、この美術館が改修ということで、まとまって作品が来日。初公開作品も35点。
序:ベルクグリューンと芸術家たち
ピカソの「眠る男」からスタート。
ベルクグリューンがもっとも蒐集に力を入れたのがピカソで、とても充実している。
1:セザンヌ― 近代芸術家たちの師
ピカソに影響を与えたセザンヌ。
セザンヌの「セザンヌ夫人の肖像」の隣になんとジャコメッティが模写した作品が!
「庭師ヴァリエの肖像」これいいなあ。
2:ピカソとブラック― 新しい造形言語の創造
青の時代のピカソ作品「ジャウメ・サバルテスの肖像」。青の時代のピカソいいんだよなあ。
「座るアルルカン」。アーティゾン美術館のサルタンバンクの絵を思い出す。
「裸婦「アビニヨンの娘たち」のための習作」。アフリカ彫刻の
影響が確かに感じられる。
「丘の上の集落(オルタ・デ・エブロ)」。これはセザンヌの影響。
キュビズム時代の作品多数。
一番好きなのは「グラス、花束、ギター、瓶のある静物」。「ポスターのある風景」も好き。
ブラックの作品も数点あったけれど、同じキュビズムでもやはり違いますね。
3:両大戦間のピカソ― 古典主義とその破壊
「窓辺の静物、サン=ラファエル」。若干キュビズムを引きずってはいるけれど、雰囲気はマティス。明るい作品。
もっとも新古典主義的な作品は「座って足を拭く裸婦」。
「踊るシレノス」とか「サーカスの馬」とか「ミノタウロマキア」などはカリカチュアのよう。
4:両大戦間のピカソ― 女性のイメージ
好きになる女性によって作風が変わったピカソ。
ドラ・マールの時代の絵画が何点か。
「緑色のマニキュアをつけたドラ・マール」。結構美しく描かれている。「花の冠をつけたドラ・マール」もきれい。
「黄色のセーター」。だいぶ崩れてきている・・・セーターの方に目がいく。
「多色の帽子を被った女の頭部」や「女の肖像」もそうだけど、なんで鼻がこんなところに!
「大きな横たわる裸婦」はもたれる人みたい。
5:クレーの宇宙
ピカソのコレクションも素晴らしいが、クレーのコレクションもすごい!いい作品がたくさん。
やっぱり、色彩がいいんですよね。
「青の風景」、「綠の風景」、「北の地」など、風景画なのだけど、抽象的で、なんか規則性がありそうでないという。なんの風景なんだというのもあるけれど・・・
「ネクロポリス」はピラミッドみたい。
「 暗い扉のある部屋の透視図法」。細かいなあ。なんとなく、ダヴィンチの図面を思い出す。
「口数の少ない倹約家」は自画像らしいけれど、ずいぶんとまた単純化されている。こんな人だったんだろうか???
似たテイストの絵は「封印された女」だ。
「子どもの遊び」「夜明けの詩」のような線がメインの作品も好き。
6:マティス―安息と活力
「室内、エトルタ」。マティスもエトルタに行ってたんですね。ノルマンディーだから、南仏の絵と違ってブルーで涼しげな絵になっている。
やはりマティスの室内画だったら「青いポートフォリオ」の方がらしい感じ。強烈な赤で。
「ニースのアトリエ」は柔らかな光が感じられる。
単色作品でも「家に住まう沈黙」「オバリンの花瓶」など、線がやっぱりマティス!
そして、切り絵作品も数点。躍動感あり。
7:空間の中の人物像―第二次大戦後のピカソ、マティス、ジャコメッティ
ジャコメッティのコレクションもあり。
とにかく細いのが特徴だけれど、「ヤナイハラⅠ」はそうでもないんですね。
こんなのもあるのかと思ったらピカソの彫刻でした・・・「鶴」。
最後にまたピカソが並ぶ。
「アルジェの女たち(ヴァージョンL)」はドラクロワの「アルジェの女」を基にしているそうだが、これはずいぶん崩れてるなあ。ラス・メニーナスの連作みたいだ。
気に入ったのは「本を読む女」。
素晴らしいコレクションです。
是非どうぞ。
« ヤッホーブルーイング 福ビール | トップページ | 【版画で「観る」演劇展&常設展】 »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 【特別展はにわ】(2024.11.25)
- 神代植物公園3(2024.11.19)
- 【カナレットとヴェネツィアの輝き展】(2024.11.04)
- 【英一蝶展】(2024.10.14)
- 【田中一村展】(2024.09.23)
コメント