【ヴァロットン 黒と白展】
art-4【ヴァロットン 黒と白展】 三菱一号館美術館
三菱一号館美術館で開催中のヴァロットン展に行って参りました。
ヴァロットン展は2014年に同美術館で開催されており、その時はじめてこの画家の存在を知ったのだったが、今回は一号館所有の世界有数のコレクションの中から、版画に特化した展覧会なのである。
Ⅰ「外国人のナビ」ヴァロットン-木版画制作のはじまり
スイス生まれのヴァロットンがパリに出てきた当初の初期の作品。
で、自画像からスタート。
作家や画家を彫ったシリーズでは、若干デフォルメしていなくもないけれど、結構よく特徴をとらえている。
マッターホルン、モンブラン、ユングフラウなど山を描いた木版画シリーズもあったが、人物が多い中、こうして景色の版画はめずらしい?ヴァロットンにしてはオーソドックスだ。
Ⅱパリの観察者
ここからヴァロットンの特徴があらわれてくる。
息づく街パリシリーズ。
パリをいきいきと描いている・・・とはいっても、描く対象がおもしろい。デモ、事故、ブタ箱に送られる人・・・ユーモアたっぷりを通り越して、皮肉っぽい作品もある。事故などは、ちょっと残酷・・・
群衆を描くの、ヴァロットンうまいですね。
死を描くシリーズもシニカル。でも、「難局」は狭いところで棺桶をおろそうとして苦労するさまが、おかしみがある。
「暗殺」はナイフを振り上げる腕と、抵抗する腕が描かれて死が暗示されるという・・・ちょっと怖い。
Ⅲナビ派と同時代 パリの芸術活動
同時代の画家の紹介。
ボナール、ヴィヤール、ドニ。彼らの作品は淡い色のリトグラフなのだが、ヴァロットンは一環して黒と白の木版画。
またもや、音楽家や作家を描いた作品があったが、若干悪意もあるような??
ワタクシとしては「版画愛好家」のような作品の方が好き。
Ⅳアンティミテ:親密さと裏側の世界
これぞヴァロットン!
貧しかったヴァロットンも大画廊のオーナーの娘と結婚することで上流階級へ仲間入りしたものの、妻とも不仲だったらしい・・・そうした私生活が作品にも影響しているように思える。
作品の皮肉っぽさ、冷たさが増し、なにより、黒の部分が多くなる。
「怠惰」は好きな作品。のびた猫と女性が横たわった姿がシンクロ。デザイン性抜群。
楽器シリーズの中では「フルート(楽器Ⅱ)」がいい。これも猫がいるのだけど、白が映える。
アンティミテシリーズは、男女の駆け引き、親密と見えて実は・・・が描かれるのだけど、黒の使い方が効果的。「お金」などはほとんど黒じゃないですか!ぞーっとする作品揃い。
Ⅴ空想と現実のはざま
お金の心配がなくなったヴァロットンは一時期絵画へと向かうが、雑誌の挿絵などは作っていたし、第一次世界大戦をきっかけとしてまた木版画を作成するようになる。
挿絵意外といいですね。ルナールの『にんじん』の表紙、子供の頃よんだの、これだったかも?
万国博覧会シリーズは、めずらしく楽しそうな版画だ。
好きな作品は「白鳥」。そうそう、白鳥、結構凶暴(笑)。
戦争をテーマとした、これが戦争だ!シリーズは無残さが伝わる・・・
姉妹館提携を行っている、フランスのアルビにあるトゥールーズ=ロートレック美術館開館100周年を記念しての、ロートレックとの特別関連展示もありました。
是非どうぞ。
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