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2023/02/23

【佐伯祐三 自画像としての風景展】

art-6【佐伯祐三 自画像としての風景展】 東京ステーションギャラリー

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東京ステーションギャラリーで開催されている佐伯祐三展に行って参りました。
2005年、練馬区立美術館で見て以来の回顧展。
大阪中之島美術館のコレクションを中心に、各地から集められた絵の数々。

プロローグ:自画像
「立てる自画像」からスタート。粗いタッチで描かれ、本人によって顔が削り取られているという・・・自信作をブラマンクに見せたところこのアカデミック!とけなされてショックを受けたことに描いたというから、そういう気持ちの表れだろうか。結局この出来に満足できず、裏面にはノートルダムが描かれている。
その他の自画像は、印象派風だったり、セザンヌ風だったり、中村彝風だったり、いろいろな作風だ。

1-1 大阪と東京:画家になるまで
学生の頃の作品「勝浦風景」。波が荒々しいタッチで描かれる。
クールベを思い出す作品。

1-2 大阪と東京:〈柱〉と坂の日本ー下落合と滞船
佐伯祐三というと、パリの風景のイメージだが、2度のパリ行きの間に日本に戻ってきて日本の風景も描いている。
自身が住んでいた下落合の風景をたくさん描いているが、これだけまとめて見たのははじめてと思うが、これがなかなかよいのですね。まだまだ下落合も田舎の風景で、牧歌的な風景画になるかと思いきや、そこに電柱を描いてみたり(電線はあまり描かれていないけれど)、佐伯ならではの視点かなと。「ガード風景」なんてとてもいいですね。
大阪では滞船を描いていて、マストやロープが印象的で、これが主役かもと思うくらい。

○親しい人々の肖像
娘伽椰子を描いた絵は、印象派風なのだけど、愛情あふれた絵ですね。かわいがっていたのだろう。娘も佐伯が亡くなってすぐに結核で亡くなってしまうとは・・・
奥さんの絵もあったが、奥さんはその後画家になっていたんですね。

○静物
佐伯祐三は風景ばかり描いていたというイメージだけれど、静物画もあある。パリでは雨で外に描きにいけない時に家の中のものを描いていたという。
「テレピン油のある静物」。なかなかおしゃれ。
「蟹」「鯖」もいいなあ。

2-1 パリ:自己の作風を模索して
パリの絵が登場!
第一回目のフランス滞在時の作品はいろいろな画家の影響が感じられる。
「オーヴェールの教会」などはヴラマンクのような荒々しいタッチだったり、「パリ遠望」はもろセザンヌ!いろいろな試行錯誤があったんですね。

2-2 パリ:壁のパリ
ヴラマンクよりユトリロに近づいてくる。そして次第に佐伯祐三独特の世界へと変化。
気に入ったモチーフは何度も描いたということで、「レ・ジュ・ド・ノエル」、「靴屋(コルドヌリ)」が2枚ずつ。「靴屋」いいですね。壁に描かれた文字がだんだん主役になっていくのがわかる。
「靴屋」は積み重なった靴と中にいる人もポイント。
「壁」は壁そのものが主題、「広告のある門」、「門と広告」などはすでにポスターが主題となっている。

2-3 パリ:線のパリ
2度目のパリ。この時代のポスターを描いた作品が佐伯祐三のイメージ。
広告の文字がまさに線となって、踊っているよう。
描かれる人物も線・・・というか細くて(なぜか赤い服の人は描かれる)・・・人ももう描かれてない作品も。「ガス燈と広告」「広告貼り」。
「新聞屋」は好きな作品。新聞の文字、文字、文字・・・
あと好きなのは、「レストラン(オテル・デュ・マルシェ)」と「テラスの広告」。外を描くより明るい作品となっている。
ちょっと異色なのが「靴屋」。佐伯祐三とはわからない。いやでもこれいい。

3 ヴィエリ=シュル=モラン
最晩年、家族や後輩画家とパリ郊外のヴィエリ=シュル=モランでの写生旅行へと出かける。
20日の滞在期間で30点以上描いているが、作風がまた変わる・・・くっきりとした太い線がヴラマンクのよう。この頃はだいぶ具合が悪かったようだが、最後の力を振り絞って描いたのではと思う。家はゆがんでいるのも鬼気迫る感じ。
一番好きなのは「煉瓦焼」。

エピローグ:人物と扉佐伯祐三 ―自画像としての風景
モランからパリに戻った佐伯は雨にうたれて風邪をこじらせ、弱っていく。
そんな中、たまたま訪ねてきた郵便配達夫にモデルを頼み描かれたのが「郵便配達夫」「郵便配達夫(半身)」。カクカクした線が印象的だ。
最後は絶筆となった「黄色いレストラン」「扉」。相当具合が悪い時に描かれたようだが、力強い絵である。

構成もよく充実した展覧会でした。
是非どうぞ。

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