【憧憬の地 ブルターニュ展】
art-11 【憧憬の地 ブルターニュ展】 国立西洋美術館
連休2日目は上野へ。
上野も人がいっぱいです・・・
見たのは「憧憬の地 ブルターニュ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷展」。
ブルターニュを描いた作品で構成される展覧会というのははじめてかも?
ブルターニュというと、ワタクシ的にはガレットとシードルのイメージなのだけど、独特の風景、自然に惹かれた芸術家がたくさんいたということなのでしょう。
I. 見出されたブルターニュ:異郷への旅
I-1. ブルターニュ・イメージの生成と流布
ターナーの「ナント」からスタート。まだ形のあるターナーで明るい作品だ。
ミュシャ「岸壁のエリカの花」「砂丘のあざみ」。先日ミュシャ展に行ったばかりだが、ブルターニュも訪れていたんですね。描かれた女性がブルターニュの衣装だ。先日も見たビスケットの包み紙、これいいなあと思うのだけど、このビスケットの会社はブルターニュの会社だった!
I-2. 旅行者のまなざし:印象派世代がとらえた風景
印象派の画家もブルターニュを訪れ作品を残している。
ブーダンが3点。どれも、ブーダンと聞いて思い出す風景ではなくて、人が描かれていないし、険しい岩の風景。空はちゃんと?ブーダンだけど。
モネも3点。「嵐のベリール」は荒々しい風景、「ポール=ドモワの洞窟」は夕日(多分)があたる岩壁で、美しい。
ポール・シニャック「ポルトリュー、グールヴロ」。マグネット購入。シニャックの絵はとても明るいので、勝手に南仏を描いたものと考えていたけれど、これもブルターニュだった・・・
驚いたのは、ルドンの作品が2点あったこと。旅はあまりしなかったルドンも訪れていたブルターニュ。「薔薇色の岩」は岩だけを描いていて、さすがルドン!
II. 風土にはぐくまれる感性:ゴーガン、ポン=タヴェン派と土地の精神
ゴーガンが大充実!
時系列で見ていくと作風の変化がわかっておもしろい。
初期の作品は、どちらかというと印象派に近く、あまり平面的な感じがない。それでも少しずつ平面化していって、アルルでの生活を経て再び
ポン=タヴェン等に滞在した際の「海辺に立つブルターニュの少女たち」、「家畜番の少女」では個性が開花。構図も不思議に・・・
さらに、タヒチに滞在後、いったん戻った際の作品「ブルターニュの農婦たち」は、さらに色が鮮やかに、そして、女性がまるでタヒチの女性のように描かれている。
そのあとは、ポン=タヴェン派の画家の作品。
ベルナールの「ポン=タヴェンの市場」。クロワニズム作品だが、紐?布?垂れ下がっているものがおもしろい効果をもたらしている。
セリュジェ「急流のそばの幻影、または妖精たちのランデブー」、「森の中の焚火」は、幻想的だ。
「ブルターニュのアンヌ女公への礼賛」は、解説にあったように、確かにタペストリーのよう。
III. 土地に根を下ろす:ブルターニュを見つめ続けた画家たち
III-1. アンリ・リヴィエールと和訳されたブルターニュ
リヴィエールといえば、「エッフェル塔三十六景」!富嶽三十六景にちなんで作られた作品集で、まるで浮世絵。これ、大好きなのだけど、ブルターニュを描いた版画作品もとてもよい。これもまた浮世絵だ。
III-2. モーリス・ドニと海辺のアルカディア
ドニは、ブルターニュに別荘を持っていて、家族で過ごしていたそう。
サーモンピンクが特徴的で、明るい絵が多いが、やはり家族(ドニは大家族!)を描いた作品は、あたたかみがあっていいですね。
「花飾りの船」は日の丸があったりちょっと日本趣味かな。
III-3. 「バンド・ノワール」と近代ブルターニュの諸相
バンド・ノワールははじめて知りましたね。
ブルターニュで活躍した、色調の暗い画家たち。
はじめに目に入ってきたのが、シャルル・コッテ「悲嘆、海の犠牲者」。海難事故で亡くなった人を悼む絵と言うことだけど、これはキリストですね。ピエタ。
「行列」沈んだ感じ。
ジュリアン・シモンは少し明るめ。コッテより好きかも。
「庭の集い」「ブルターニュの祭り」。太陽の光が感じられる。「婚礼」もいいな。
それよりもっと気に入ったのが、ドーシェ。松を多く描いているらしい。
IV. 日本発、パリ経由、ブルターニュ行:日本出身画家たちのまなざし
日本人の画家もブルターニュを訪れている。
黒田清輝の「ブレハの少女」はアーティゾンでいつも見る絵だけれど、これブルターニュだったんですね。
久米桂一郎 「林檎拾い」。これは印象派かな。黒田清輝と一緒にコランに学んだそう。
リンゴつながりでは金山平三「林檎の木の下」。これはシードルになるのかしら?
ちょっとツボったのは小杉放庵「牛」。なんかおかしい。
これに限らず牛の絵が多かったけれど、牛の産地なんだろうか・・・
「楽人と踊子」は屏風なんだけれど、ブルターニュなのにオランダ感が漂う。
山本鼎「ブルトンヌ」。この木版画はいい。
藤田嗣治「十字架の見える風景」。静かな絵。
岡鹿之助「信号台」2点。点描ですね。結構好き。
今までになかった切り口の展覧会でした。
是非どうぞ。
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