【マルク・シャガール 版にしるした光の詩展】
art-24 【マルク・シャガール 版にしるした光の詩展】 世田谷美術館
世田谷美術館で開催中のシャガールの版画の展覧会に行って参りました。
シャガールは生涯で約2000点の版画作品を残しているが、今回は神奈川県立美術館のコレクションの中から約140点を紹介するもの。6つの作品集からなる。
「ラ・フォンティーヌ寓話集」
17世紀の詩人ラ・フォンテーヌの寓話集の挿絵である。
シャガールというと、鮮やかな色彩が思い浮かぶけれど、これはモノクロ。
イソップ物語を基にした寓話集で、知っているお話もあったけれど、知らないお話も。
短い寓話なんだけれど、結構スパイスが効いている。ちょっと残酷なお話もあったりで、これが版画の陰影にマッチ。ちょっと毒気のあるユーモアたっぷりに描かれていておもしろい。
金の斧銀の斧が元ネタと思われるけれど、樵とメルキュールというお話、あとから金の斧ですと言った樵たちが力いっぱいメルキュールから殴られるという・・・
病気の鹿というお話では、お見舞いにやってきた鹿たちがお見舞いが終わったら、周囲の草を全部食べてしまうという残酷さ・・・
「馬の日記」
今まであまり公開されたことがないという作品。
細い線で描かれた作品だが、カバーの馬の蹄鉄の絵がいいですね。
「悪童たち」
フランス作家ジャン=ポーランの自伝的短編の挿絵。
初めて本格的な多色刷りにチャレンジした作品という。
おなじみのモチーフも満載だけれど、それだけでなく、ポーランが少年時代に想像したホルス神なども描かれる。これはいったい??というシュールな絵が多く、解き明かすのは大変・・・というかわからないものがほとんどだけど、それもまた楽しい。
「ダフニスとクロエ」
版画の代表作の一つ。捨て子のダフニスとクロエの恋物語(ラベルのバレエ音楽の方を先に知ったけれど)で、今回は全42点が公開されている。これまで、少しずつは見ていたけれど、通して見るのははじめてだ。
とにかく色彩の美しさにウットリ。なんでもそれまで5つ程度の版だったのを20~25もの版を使ってのリトグラフ制作。
よくよく見ると、やっぱりみんな飛んでるし、不思議な生き物はいるしと、シャガールワールド全開なのだけど、なんか見ていてハッピーになるというか。物語ももちろんハッピーエンド。
ずっと眺めていたい版画集でした。
「サーカス」
これまた代表作の一つ。
このシリーズもとってもカラフルなのだけど、題材が題材だけに、もの悲しい雰囲気も漂う。なんか寂しさを感じるんですね。
カラフルさが、ハッピーな方向に向かわず、逆に哀愁を感じさせるというか・・・幻想的でもある。
「ポエム」
めずらしい木版画。
自身が書いた詩に絵をつけた詩画集である。
木版画なのでちょっと太めの線。ちょっと違うテイストではあるけれど、カラフルな色彩は変わらず。
晩年の作品。
シャガールの版画作品もなかなかよいです。
是非どうぞ。
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