パット・マガー『四人の女』
本日の本
四人の女book-1 『四人の女』 パット・マガー著 創元推理文庫
STORY:人気コラムニスト、ラリーを取り囲む4人の女性の前妻、現妻、愛人、フィアンセ。ラリーは自宅のバルコニーを細工し、四人をディナーに招待した上で、一人を殺そうとしていた・・・
☆☆☆マガーの変則的ミステリー。
マガーといえば、おもしろいミステリーを書く人。
犯人を突き止めるのではなく、被害者、目撃者、探偵を探すミステリーを書いている。
デビュー作(これは読んだ)も被害者を捜すミステリーだったが、この作品も被害者あてのもの。
冒頭、高層マンションから人が転落して死亡。
それが誰なのかというのが、遡って語られる。
人気コラムニスト、ラリー(これがホントにいやな奴)が取り巻く女性の一人をなんとしても殺さねばというところから始まる。
四人の女性は、優しくラリーをいつも気遣う前妻、見た目はよいがそれだけの現妻、有名挿絵家でラリーを支配しようとする愛人、思惑があって結婚しようとするものの意外としたたかなフィアンセ。一癖も二癖もある女性たち(前妻が一番まとも)でこの描き分けがうまい。
貧民街出でコンプレックスを抱えながらのし上がってきたラリーは、どうしようもない奴なのだけど、かわいそうな面もあり、女性たちの方が一枚上手と言えなくもない。
最後まで誰を殺そうとしたのかわからない仕掛けで、なんとそんな動機でこの人を殺そうとしたのかとびっくりしたが、さらにどんでん返しが・・・
そういう結末!!
いやはや悲しい人間ドラマ。なかなか読ませます。
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