art-8 【ミロ展】 東京都美術館

スペインの画家ミロの大規模な回顧展。
バルセロナのミロ美術館でたくさん作品を見たけれど、この展覧会もなかなかの充実。
第1章 若きミロ 芸術への決意
「自画像」からスタート。色がまるでもたれる人で、キュビズムっぽい感じ。「スペインの踊り子」とともに、ピカソが生涯手元に置いていた作品だそう。
そのあとの風景画は、まずセザンヌ!そしてフォービズムの影響を受けている。
かと思えば「ヤシの木のある家」はナイーブアート的。でもこれがのちのミロにつながる・・・気もする。
静物画はマティスっぽい感じだ。
第2章 モンロッチ―パリ 田園地帯から前衛の都へ
ここからがよく知っているミロとなる。
青、白、赤、黒。
何を描いたものかついつい解明しようとしてしまうけれど、わかるものもあれば全然わからないものあり・・・題名を見ずにまず絵をみていると全然違うということも・・・まあ人それぞれの解釈でよいのだと思う。
「栗毛の彼女を愛する幸せ」背景は栗色だけれど、栗毛なの?
「セイレーン」頭に魚がついているけれど、これは?
などと疑問を呈しながら見ていくのも楽しい。
今回一番気に入ったのが「オランダの室内Ⅰ」。
ミロがオランダ、ベルギーを旅した際に購入したソルフ「リュートを弾く人」を元にした作品だけれど、だんだん変形して作品が形作られていく過程がおもしろい。マグネット購入。
「プロイセン王妃ルイーゼの肖像」これ、怒られたりしなかったんだろうか・・・
第3章 逃避と詩情 戦争の時代を背景に
スペイン内戦がおこってノルマンディーに移り住んだミロ。
この時期、コラージュやオブジェなど実験的な作品も多数。
まあでも、フツーの絵画の方がいいかな。
そして「絵画」というタイトルのシリーズ。線は明確にミロだ。
「絵画(カタツムリ、女、花、星)」は実はどこがカタツムリなのか花なのか考えてしまうのだけれど、色と形がいいですね。タペスリーの下絵と聞いて納得だ。
23点ある星座シリーズのうち3点が来日。戦禍を逃れつつ、星や音楽をテーマとしたシリーズである。
3点どれもいいのだが・・・
「明けの明星」はまさに夜明け。徐々に明るくなっていく様がわかる。明るくなって、得たいのしれない生き物が夜に戻っていくかのような。
「女と鳥」音符やト音記号のようなものが見える。夜にひっそり行われた演奏会のイメージ。
「カタツムリの燐光の跡に導かれた夜の人物たち」月夜で踊る人たちだろうか。

結局発行はされなかった切手のデザイン「スペインを救え」もビビッドでよいのだが、ポスターなんかもいいですね。ミロのこの色が目に飛び込んでくるので・・・
孫に描いたという「絵画(エミリ・フェルナンデス・ミロのために)」は柔らかな印象を受ける。
第4章 夢のアトリエ 内省を重ねて新たな創造へ
第5章 絵画の本質へ向かって

「白地の歌」踊ってる感じ。音楽のイメージなのか。

「火花に引き寄せられる文字と数字」数字と文字が躍る。

彫刻などはちょっと岡本太郎を連想する。

「太陽の前の人物」これはまさに仙厓の○△□だ。

「月明かりで飛ぶ鳥」オレンジと鉛筆に見えてしまったけれど、この色好きだな。

「にぎやかな風景」この頃からインクを飛び散らせてみたり、手で描いてみたりしてるんですね。

「焼かれたカンヴァス2」絵を描いた後カンヴァスを切ったり焼いたり・・・前衛的だけど、ここまでする必要あったのか?

「絵画7」干物に見えるんだが、あるいは鮭??

「花火」最晩年の作品だが、絵の具をどばっと置いてキャンバスを立てかけて絵の具を垂らすという手法。赤青黄色がなかったら、なにか前衛的な襖絵にも見えなくはない。年取ってパンクになるミロ・・・
若い頃から晩年の作品まで網羅され充実した展覧会。
是非どうぞ。
(一部撮影可です。)
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