書籍・雑誌

2018/06/15

ジャナ・デリオン『ワニの町に来たスパイ』

本日の本

ワニの町へ来たスパイ (創元推理文庫)
book-8 『ワニの町に来たスパイ』 ジャナ・デリオン著 創元推理文庫

STORY:ひょんなことから一時潜伏を命じられ、ルイジアナの川辺の町にやってきた凄腕のスパイ、レディング。おとなしくしていなければならないのに、着いてすぐ、保安官助手に目をつけられ、家の裏で人骨を発見してしまう・・・

☆☆☆☆☆抱腹絶倒のユーモアミステリ。
いや~、これはツボにはまりましたね。

設定がかなり無茶なのだけど、そんなことは全然気にならない。

任務の途中、怒りにまかせて武器商人の弟を殺してしまい、身を隠さなければならなくなった主人公は、元ミスコンの女王にして編み物好きの司書という、自分とは正反対な女性に扮することになり・・・
そんなことうまくいくわけもなく、はじめから馬脚が・・・

なんかこの設定が、サンドラ・ブロックの「デンジャラス・ビューティー」を一瞬連想してしまい、全然違うのに、読んでてサンドラの顔が思い浮かんでしかたなかったけれど、これ、映像化したら絶対おもしろいと思う!

おしとやかにしないといけないのに、ついつい勝手に?体が動いて、暴れることになってしまうレディングのキャラもおもしろいのだが、さらにおもしろいのが、婦人会を牛耳るアイダ・ベルとガーティのおばあちゃんコンビ。
この2人がなかなかの強烈キャラで(最後にちょっとした秘密が明かされるけれど)、レディングも霞む勢い。いや~パワフルなおばあちゃんたち。
おばあちゃんが活躍するミステリが大好きなので、これはホントにツボ。

ついついこの3人に注目してしまうのだけど、ミステリとしてもうまくまとまっていて○。

アメリカでは10作目まで出ているそうで、今後も翻訳が出そうなので、楽しみ!


2018/06/07

ボストン・テラン『音もなく少女は』

本日の本

音もなく少女は (文春文庫)
book-7 『音もなく少女は』  ボストン・テラン著  文春文庫

STORY:夫の暴力にひたすら耐えるクラリッサ。生まれつき耳が聞こえない娘のイヴ。その二人と知り合った壮絶な過去を持つ女性フラン。3人の運命は。

☆☆☆『その犬の歩むところ』に続いてのボストン・テラン。

この本のことはこのミス2位にも選ばれたので、発売当初から知ってはいたのだが・・・
なんか読むのが辛そうで今まで読まずにいた。
が、同じ作者の『その犬の歩むところ』がとてもよかったので、ならばこれにもチャレンジしてみるか!ということに。

思った通り、辛いお話だった。
3人の女性の物語なのだが、みな虐げられていて、絶望的な状況にある。
なんの希望もない人生だったはずが、3人が出会ってよい方向へと転じる。
クラリッサとイヴはフランとの出会いで新しい世界が開け、クラリッサは強くなり、イヴは言葉を知ることにより、才能が開花していく。
一方、過去の辛い出来事で厭世的になっていたフランは、クラリッサとの友情、イヴの母親代わりになることで、少しずつ人生の喜びを取り戻していく。

しかし、なんということか、運命は過酷でさらなる苦しみ、悲しみが3人を襲う・・・
読んでいるこちらが絶望しそうなのだけれど、何度でも立ち上がろうとするヒロインたち。
最後の最後まで辛い状況が続くし、最後このあとどうなるのだろうとも思ってしまうけれど、一筋の光が見えるラスト。

決して屈することのなかった女性たちの物語(それにしても、出てくる男性がクズばかり・・・)。
やはり読んでよかったなと思う小説だった。

2018/04/20

東海林さだお『猫大好き』

本日の本

猫大好き (文春文庫)
book-6 『猫大好き』 東海林さだお著 文春文庫

オール讀物連載をまとめた方のもの。
丸かじりシリーズの方が好きだけど、こちらも読んでます。

今回は対談がどれもおもしろかった。
まず、南伸坊さんとの対談。巨頭巨顔対談(笑)。伸坊さんがいろいろな人になりきるという『本人伝説』読んで(見て)みたいなあ。
続いてパラダイス山元さんとの対談。
パラダイス山元というと、マン盆栽のイメージなんだけれど、餃子屋さんもやってるんでしたね。激しく納得したのは、高いの買ってもどうせいずれは焦げ付くからフライパンは安いのでいいということ。その通り!
最後に近藤誠さんとの対談。健康診断に行く人ほど寿命が縮まる・・・医者に近づくな・・・そうかもね。

その他、「ラーメン店の七不思議」は、そうそうあるあると頷いてしまうことばかりだし、「猫大好き」を読んで猫的な生き方をしたい!と思ったり・・・

今回も楽しく読みました。

2018/04/13

レイチェル・ウェルズ『通い猫アルフィーの奇跡』

本日の本

通い猫アルフィーの奇跡 (ハーパーBOOKS)
book-5 『通い猫アルフィーの奇跡』 レイチェル・ウェルズ著 ハーパーBOOKS

STORY:飼い主が亡くなり、住むところを失ったアルフィーはさまよい、ある住宅地へとたどり着く。通い猫になることを決心したアルフィーだったが、通い先の人たちはみな問題を抱えており・・・

☆☆☆☆シリーズ第1弾。

犬の次は猫・・・
というわけでもないのだけれど、猫の小説・・・特にミステリーは今までいろいろと読んでいて(シャム猫ココシリーズとか、黒猫ハムレットシリーズとか)、これはミステリーではないけれど、絶対おもしろい!と思い読んでみた。

思った通りおもしろかったし、いいお話だった。

アルフィーは飼い主の老婦人が亡くなったことで保護施設に送られそうになるのをすんでのところで脱出、野良猫となる。
しかし、満足に食べられず、飼い猫だったために猫同士の闘いに負けることも多く、ボロボロの状態に。
ようやくある住宅地にたどり着いたアルフィーは、ある女性の家に住むことにしたものの、飼い主が一人だとまとひとりぼっちになるかも・・・
と、複数の家を持つ通い猫になることを決意。

ところが、行く先の家の人たちはみな問題を抱えていた。
夫の浮気で離婚し、あまり食事もせず飲んでばかりの女性。
リストラされ、怒りっぽくなっている男性。
育児ノイローゼの女性。
ポーランドからの移民で寂しい思いをしている家族。

アルフィーは皆を幸せにしようと、大奮闘。
ちょっとお節介じゃない?厚かましいんじゃない?とも思える行動もあるけれど、やがてアルフィーの思惑通り物事は進み、皆に幸せをもたらす・・・
このくだりが、アルフィーの・・・猫目線で書かれていて、ニヤニヤクスクスする場面もあり、なんかほっこりする。
そして、いつしかアルフィーを応援していることに気づく。

ラストはいろいろあっての大団円。ちょっぴり涙・・・

続編も是非読もう!

2018/04/10

ボストン・テラン『その犬の歩むところ』 

本日の本

その犬の歩むところ (文春文庫)
book-4 『その犬の歩むところ』  ボストン・テラン著  文春文庫

STORY:ギヴという名の犬。閉じ込められていた檻を食い破り、傷だらけで歩いていたところをイラク戦争の帰還兵に助けられる。ギヴはいったいどこからきたのか・・・

☆☆☆☆いい物語だった。

語り手は、イラク戦争で負傷し、死に場所を求めて旅をしていたディーン。
とはいっても、冒頭で出てきたあとは、中頃に至るまでディーンは登場しない。

物語はギヴの父親があるモーテルへとたどりつくところから始まる。
そしてギヴが生まれ、飼い主のアンナとの平穏な暮らしが続くかと思いきや・・・

ある出来事をきっかけに運命が大きく変わる。
いろいろな人との出逢いと別れ、スリリングな出来事あり、悲しい出来事あり、事件あり・・・
ギヴの運命もドラマチックだけれど、ギヴと関わる人たちの運命もまた様々。

戦争、9.11、虐待、愛する人との出逢いと別れ、嫉妬、ハリケーン、兄弟の葛藤・・・
様々な人間ドラマを浮き彫りにしながらストーリーは進んでいくのだけれど、要所要所で泣けるシーンが用意されていて、うるうるもの。
ラストは感動の嵐でしたね。
それも、ギヴという存在があってこそ。

いや、ホントいいお話でした。

2018/03/14

キャンディス・フォックス『楽園』

本日の本

楽園 (シドニー州都警察殺人捜査課) (創元推理文庫)
book-3 『楽園』 キャンディス・フォックス著 創元推理文庫

STORY:連続女性失踪事件の捜査のため、おとり捜査官としてあるコミュニティに潜入した刑事エデン。一方相棒のフランクはエデンの養父からの頼まれごとで過去の事件を探り出そうとする。

☆☆☆シドニー州都警察殺人捜査課シリーズ2作目。

なかなかに変化球のミステリシリーズ。
1作目が結構強烈だったのだが、2冊目ともなると慣れたかな。
でも、やっぱりダークな持ち味は存在で、ワタクシ的にはこちらの方が好み。

今回は、エデンの潜入捜査のパートと、フランクはエデンの養父ハデスのために探偵のまねごとするパートに分かれる。
どちらも1冊にしていいボリュームで、だからこの厚さになったんでしょうね。

ワタクシ、過去の事件を掘り起こすタイプのミステリが好きなのだけれど、できれば現在の事件と過去の事件がリンクしてくれたらもっとよかったなあ。最後まで期待したのだけど、交わることはなくて・・・

前作でフランクのことはあまり好きになれず、エデンとハデスも強烈キャラだけれど、そう好きにはなれずじまいだったが、2作目ともなると慣れて、特にハデスの生い立ちを知ると、ちょっぴり好きになりましたね。

エデンのパートもフランクとハデスのパートも、結末は結構意外でミステリとしては前作よりいい出来。

気になるキャラクターも登場で次作(3部作で一応終結らしい)が待ち遠しいなあ。
次作はエデンの秘密が明らかになるのだろうか・・・

2018/02/08

ロジャー・スカーレット『エンジェル家の殺人』 

本日の本

エンジェル家の殺人 (創元推理文庫)
book-2 『エンジェル家の殺人』  ロジャー・スカーレット著  創元推理文庫

STORY:1つの建物を2つに区切り、左右に分かれて住む双子のエンジェル兄弟。長生きした方にすべての財産を相続させるという亡き父親の遺言に縛られてきたが、死期の近いことを悟った兄が遺言の中身を変更することを弟に提案したことから悲劇がはじまる・・・

☆☆☆古典ミステリ。

1932年に書かれた古典。
時々、ふるーい古典的なものが読みたくなって読んでみるわけですが・・・
古いのって若干読みづらいんですよね。まあそこも含めて全体の雰囲気を楽しめがよいわけですが。

このお話も、いかにもという状況がそろっていまして・・・
何か事件が起こりそうな陰気な雰囲気の建物を、きっちり二分して住む双子の老兄弟。
できの悪い子供たち、鬱屈した養子、三角関係。
登場人物をしばる過去の遺言。怪しい使用人・・・
いや、これでもかというくらいに何か起きそうな舞台がそろっていて、案の定殺人へと発展していくんですね。

有能そうなのに、なぜか手をこまねいてさらに事件を発生させてしまう警視や、狂言回し的な弁護士など、さらに役者はそろっていて、これこそ古典ミステリ!

第一の殺人、第二の殺人とこれは聞いた(読んだ)ことあるなというトリックだったりするけれど、ネタばらしされるまでわからず。
犯人のヒントも大々的にあったのに、スルーしてしまった・・・
残念!

これからもまだ読んでいない古典をちょくちょく読んでいきたいと思う。

2018/02/05

ロバート・クレイス『約束』

本日の本

約束 (創元推理文庫)
book-1 『約束』 ロバート・クレイス著 創元推理文庫

STORY:逃亡中の殺人犯を追うスコットと警察犬マギーは死体と大量の爆発物を発見する。ちょうど失踪した人物を追っていた私立探偵のコールは現場から立ち去ろうとしていた男を追いかけようとしたため、警察から疑惑の目を向けられてしまう。

☆☆☆スコット&マギーの続編。
であるととともに、コール&パイクシリーズの新作でもある。
ワタクシは、こちらのシリーズは読んだことがなくて、いやでも読んでいなくとも全然OKでしたね。

正直なところ、スコット&マギーの『容疑者』の続編という位置づけで読んだので、出番が前作よりかなり少ないなあとちょっと不満で・・・
これはむしろ、コール&パイクシリーズ(しかもほぼ出ずっぱりなのはコール)にスコットとマギーがゲスト出演した程度という感じではあるのだけれど、本体のストーリーのおもしろさでグイグイと引き込まれた。
そして、コールがなかなかいい奴なんですね。相棒の科目なパイクや、傭兵ストーンもいい味を出していて、ミステリとしては前作よりおもしろい要素がたくさん詰まっている。

コールも依頼者との約束を守って犯人扱いされ窮地に陥り、スコットもコールとの約束を守ったが故に窮地に陥る。
が、思わぬ人物の助けもあって、めでたしめでたし。
マギーの活躍場面もちゃんと用意されていて、マギーファンにもうれしい展開。

いや~、今後もマギーを是非!と思うけど、コール&パイクシリーズも読んでみるべきかしら?

2017/12/27

マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー『バルコニーの男』

本日の本

バルコニーの男 刑事マルティン・ベック (角川文庫)
book-26 『バルコニーの男』 マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー著 角川文庫

STORY:ストックホルム中央の公園で女児の死体が見つかり、その2日後にもまた少女が殺害される。マルティン・ベックたちは捜査にあたるが、手がかりとなるのは三歳の男の子の話と強盗犯の記憶のみで、行き詰まってしまう。

☆☆☆マルティン・ベックシリーズ全10作の第3作。

今年はこのシリーズに出会えたのが幸せでした・・・

タイトル通りバルコニーにいる男の描写から始まる本作。
いつもにましてざわざわとする幕開け。
ほどなく、凄惨きわまりない連続少女殺人事件がおき・・・
マルティン・ベック(警部に昇進していた!)たちは昼夜問わずかけずり回るもほとんど手がかりなく、ベックたちも憔悴しきって解決が絶望視された時・・・

これまでの作品と同様に、一気に事件は解決へと向かっていく。
ここがうまいところなのだけど、あらゆることが伏線になっていたことがわかってうならされる。あれもこれもつながっていたのかと。
若干、ご都合主義的な部分もあるけれど、やはりおもしろいなあ。

実際の事件(1960年頃の連続少女殺人事件)を元に書かれた作品ということを聞くと、なおさらに怖いお話だった。

いろいろなキャラが出てくるシリーズだけれど、ワタクシ的にはベック以外だと、驚異的な記憶力を持つ(この作品でも犯人解決の一助となる)メランダーがいいな。

早く次が読みたいです。

2017/12/21

アリ・ブランドン『書店猫ハムレットの休日』

本日の本

書店猫ハムレットの休日 (創元推理文庫)
book-25 『書店猫ハムレットの休日』 アリ・ブランドン著 創元推理文庫

STORY:ダーラの書店のマスコット猫ハムレットが空手の真似をする動画が拡散し、一躍有名になり、全米キャットショーの特別ゲストとして招かれフロリダへ。その会場でハムレットの身に大事件が・・・

☆☆☆コージーミステリ第3弾。

このところのお気に入りのコージー。
ハムレットのツンデレ感、ふてぶてしさがいいんですよ~

今回は番外編と言えるだろうか、いつものニューヨークの書店を離れて、フロリダへ。
というわけで、気むずかし屋の店長ジェームズ、パンクな従業員ロバートやご近所さんたちがほとんど登場せず、なんとなくいい雰囲気になりそうだったリース刑事にいたってはまったく出てこないという・・・
なんかさみしいけれど、店子である私立探偵ジェイクは全編に登場するし、個性的なジェイクの母親ナッティや、ちょっと鬱陶しいタクシー運転手ティノなどが登場、なんだかんだ賑やかに。

最後はどたばた気味に事件が解決することになるけれど、やはりヒントをくれたのはハムレット。またまた、手近にあった本を落として犯人を示唆してくれるのである。
それになかなか気づかないダーラたち・・・ハムレットの方が何倍も頭がいいですねぇ。

そして、最後までクールなハムレットがなんと最後にはダーラと・・・
1人と1匹の関係も少し進歩したかなと。

出てきたキューバ料理がおいしそうだったり、フロリダの気候が暖かそうだし、まずまず楽しめたけれど、やはりいつもの面々がそろって出てきてほしいな。
ということで、次作が楽しみ。明日?発売みたいですね。

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