書籍・雑誌

2017/10/19

エリザベス・ウェイン『コードネーム・ヴェリティ』

本日の本

コードネーム・ヴェリティ (創元推理文庫)
book-22 『コードネーム・ヴェリティ』 エリザベス・ウェイン著 創元推理文庫

STORY:ナチスの捕虜となったイギリス特殊作戦部員の女性。彼女は親衛隊大尉に尋問をやめる代わりに、イギリスに関する情報を手記にするよう強制される。彼女が書いた手記は・・・

☆☆☆☆第二次世界大戦下が舞台のミステリー。

物語は第一部と二部にわかれる。
第一部は、スパイとして捕まった女性の手記で、なかなか読み進められなかった。
どうやら、自分がひどい目にあわないことと引き替えに情報を書くことを強要されているようなのだが、その手記はなぜか過去に大きくさかのぼり、親友との出会いから友情をはぐくみ、共に任務のために危険に飛び込んでいくという物語が綴られる。
いったい、この物語がどう転んでいくのか・・・
なんかじれったく、よくわからないまま読み進めていったのだが、どうもページがはかどらない。
雲行きが怪しいところで第一部が終わり、第二部へ。

すると・・・
第二部はもう一人の女性(第一部で登場する女性の親友)の視点からの物語gとなり、次々と第一部の謎が解けていくのである。
となると、読書もサクサクと進む。
そうか、そういうことだったのかと。
しかし、結末はちょっと想像しなかった展開で、切なくて、悲しくて・・・
そして、2人の女性の友情に感動・・・なのであった。

戦争がなかったら、境遇のまったく異なる二人はきっと出会わなかっただろうし、二人の友情が培われることもなかっただろうが、戦争のせいでつらく悲しく残酷な物語も語られることはなかった。もちろん、この本はフィクションだけれど、きっとこんな物語は現実にもたくさんあったに違いない。

ラスト、これは涙ものですね。
一筋の光が見えてジ・エンドであった。

2017/09/29

カタリーナ・インゲルマン=スンドベリ『犯罪は老人のたしなみ』 

本日の本

犯罪は老人のたしなみ (創元推理文庫)
book-21 『犯罪は老人のたしなみ』 カタリーナ・インゲルマン=スンドベリ著 創元推理文庫

STORY:老人ホームのオーナーが変わった途端、待遇が悪くなったことに不満を持った79歳のメッタと友人たち。これならば刑務所に入った方がまし、と名画を盗み出し身代金を要求しようと計画するが・・・

☆☆☆ユーモアミステリ。

ワタクシ、老人ミステリは結構好きでして・・・
中でもコリン・ホルト・ソーヤーの海の上のカムデン騒動記シリーズは大好きだった。しかし、それも終わってしまい、何か他にないかなあと探していたところ、これは!というのを見つけ、読もう読もうと思っていて1年がたってしまった。

こちらは、スエーデンのミステリ。北欧ミステリ好きとしては読まざるを得ませんね。

老人たちが犯罪に手を染めることになったのはふとしたことから。
ホームのオーナーが変わって、節約モードになり、食事は冷凍食品になり、コーヒーも制限され、自由もなくなり・・・
不満爆発、監督する看護師が外出中、こっそりオフィスに忍び込んで、飲めや歌えや(笑)・・・がうまくいったので、どんどんエスカレート。

刑務所の方がいいに違いない(なんてことはないでしょ!)と思い込み、手っ取り早く刑務所に入る方法として、最終的にお高い名画(モネやルノワール)を盗んで身代金を要求することを思いつく。

この計画があまりにずさん。そして、お年寄りなので、体の自由がきかなかったり、うっかり忘れたりとただでさえ穴だらけの計画が計画通りにいかないという(笑)
それでも、幸運に助けられ、いろいろありながらも、なんだかんだうまくいってしまうおかしみ。
こんなにうまくいくわけないでしょ!とツッコミたくもなりますが(笑)。

ケチな経営者たちをぎゃふんと言わせ、警察の鼻先を通り抜け、めでたしめでたし。
途中、ちょっともたつくところはあるものの、楽しいミステリ。

続編もあるらしいので、是非翻訳してほしいな。

2017/09/15

ロバート・クレイス『容疑者』

本日の本

容疑者 (創元推理文庫)
book-20 『容疑者』 ロバート・クレイス著 創元推理文庫

STORY:ロス市警の刑事スコットは、パトロール中相棒を失い自分も重傷を負う。一方、爆発物探知犬のマギーはアフガニスタンで、相棒をなくしやはり大きな傷を負ってしまった。両者は警察犬隊でパートナーとして組むことになり、スコットを襲った事件も新たな展開を迎える。
☆☆☆☆犬好きの必読書!

猫のミステリを読むことが多いのだが、久々に犬が活躍するミステリを読んでみた。
涙うるうるものですね~

ミステリの形をとっているけれど、心にも大きな傷を負った、一人の刑事と一匹の犬との友情物語なのである。
お互いの傷が大きすぎて、はじめはぎくしゃくしていた一人と一匹が次第に打ち解け、互いになくてはならない存在となる。そして、次第に傷が癒える一人と一匹。ついに未解決だった事件も解決し、トラウマを克服する。

事件自体は、これはもしかしてと思う筋書きだったりして、そう新味のあるものではないのだけれど、こそうした弱点は気にならない。
とにもかくにも、友情物語だから。

このコンビの続編(別シリーズの探偵も出るらしいが)『約束』も是非読もう。
警察犬隊の上司リーランドもいいキャラなのだけど、出てくるみたいで楽しみ。


2017/08/04

ジュリー・ベリー『聖エセルドレダ女学院の殺人』

本日の本

聖エセルドレダ女学院の殺人 (創元推理文庫)
book-19 『聖エセルドレダ女学院の殺人』 ジュリー・ベリー著 創元推理文庫

STORY:19世紀末、7人の少女が在籍する寄宿学校。ある夜の夕食時、校長とその弟が急に死んでしまう。家に帰りたくない事情をかかえる少女たちは死体を埋め、そのまま学校生活を続けようとするが・・・
☆☆☆コージーミステリかと思いきや・・・
結構ブラックでした!

読み始めて2頁で死体が二つ。
それを、冷静に庭に埋め、何食わぬ顔をして、そのまま寄宿生活を続けようとする。なんかあっという間に、死体が埋まっているという(笑)。スピーディでいい展開。

まあ、それぞれが家には絶対に帰りたくないという事情があったとしても、死体を埋めちゃったらマズイでしょ~
誰も異議をとなえないという・・・

しかし、そのまま平穏な学校生活が送れるはずもなく・・・
次から次へと、大人たちが学校に訪問してきて、ピンチに次ぐピンチ!
校長先生に扮装したりしてなんとかごまかす。
このあたり、かなりブラックなコメディというか、ほとんどスラップスティックコメディ。なんか可笑しい。

7人がそれぞれの特技をいかして、なんとか乗り切っていく様子がおもしろくて、最後まで笑ってしまった。

これ、映画にしたらおもしろいと思うけどなあ。

2017/08/01

ジョー・ネスポ『その雪と血を』

本日の本

その雪と血を(ハヤカワ・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1912)
book-18 『その雪と血を』 ジョー・ネスポ著 ハヤカワ・ミステリ

STORY:殺し屋オーラヴの今度の仕事は、不貞を働いているらしいボスの妻を始末することだったが、彼女の姿を見た途端、恋に落ちてしまう・・・

☆☆☆初ネスポ。

ここ数年、北欧ミステリをちょくちょく読んでいて、いつかはネスポも・・・
と思いつつも、なんとなく自分にはあわない気がして見送っていた。
この本も、パルプノワール風というのでやめようと思ったのだが、結構評判がいいし、たまにはチャレンジしてみよう!
ということで読んでみた。

まず本を開いてびっくり!
ポケミスなのに1段組。しかも薄い。
これなら、あっという間に読める・・・
と思ったのだが、予想以上に難航。
やっぱり、苦手なタイプのミステリだったのだ。

しかし、これはよくありがちなストーリーと思っていたのに、思いがけないラスト。
ラスト前は、ああやっぱりこうなるのかと思ったのに、その先があったんですね。
このラストでぐーんと評価アップ。
美しすぎる・・・

ネスポ、他のも読んでみようかな。


2017/07/07

東海林さだお『サンマの丸かじり』

本日の本

サンマの丸かじり (文春文庫)
book-17 『サンマの丸かじり』 東海林さだお著 文春文庫

丸かじりシリーズ第36弾。
だいぶ前から読み始めて、チマチマと読み進めてようやく読了。
1つのエッセイが短いし、改行も多いし、読み始めるとあっという間なのだけど・・・

今回も好奇心旺盛なショージ君はいろいろなことにチャレンジ。
焼き芋をお取り寄せしてみたり、パイナップルラーメン(テレビなんかでもよく見るのだけれど、パイナップルはありえん!と思っていたけれど、案外イケルみたいで)にチャレンジしてみたり・・・

何かの食べ物から、どんどん脱線して、でも思いがけないふかーい考察をしてみたり、というエッセイもおもしろい。

あと、自意識過剰系もおもしろいですね。
例えば、この本でいうと最後の回転寿司やさんでラーメンを食べるというもの。
某K寿司の広告を見て、わざわざ寿司やにラーメン(それもラーメンだけ!)を食べにいき、寿司を食べにきてふと気が変わってラーメンを頼んだ・・・と装うことに失敗、変な人に思われてるに違いないと気をもむショージ君(笑)
いや、人は他人のことをそれほど気にしてないと思うけど(笑)

今回は解説が椎名誠で、そうそうとハゲシク頷いてしまいましたね。


2017/06/29

『歩いて旅する東海道』

本日の本

歩いて旅する東海道
book-16 『歩いて旅する東海道』 山と渓谷社

東海道歩きのための本、第4弾。

本屋さんで見かけ、パラパラとめくったらよさそう・・・
ということで後日買いに行ったら、売れてしまったあとで・・・(別の本も一回見てから違う日にいったらなかった・・・ライバルがいる?)
図書館で借りた上で、アマゾンで購入。

2015年発行とわりと新しいし、写真がいっぱいで見ていて楽しいんですね。
名物(お菓子、お食事等)が書かれているのもポイントで、行ったら食べたいなあなどと思いながら読んでいる。
間の宿の説明もあり、結構参考になります。

表紙が薩埵峠というのもいいなあ。
先日ワタクシが行った時はこんなにキレイに全部は見えなかったけれどね。


2017/06/26

エドワード・D・ホック『怪盗ニック全仕事4』

本日の本

怪盗ニック全仕事4 (創元推理文庫)
book-15 『怪盗ニック全仕事4』 エドワード・D・ホック著 創元推理文庫

STORY:価値のないものを専門に盗むニックにライバルが。不可能を朝食前にをモットーに早朝に盗みを働く白の女王ことサンドラ・パリスが登場する「白の女王のメニューを盗め」他全15編。

☆☆☆怪盗ニック4冊目。

今回もまた価値のないもの・・・でもいわく付きのものを盗むニック。
いつもお見事!
なのだけど、強力なライバルが登場するんである。
白の女王(不思議の国のアリスのキャラですね。映画のアン・ハサウェイを思い出しました・・・)ことサンドラ・パリス。お手並み鮮やか、ニックを出し抜く。
ニックはライバル心を燃やし、でも時には協力しあったり、助けられたりもする。
今後も登場してほしいな。
サンドラの方が実は泥棒のウデは上のような気がする(笑)

長年の恋人グロリアとの関係にも変化が。
えーグロリアがまさか!の展開。こちらも今後どうなることやら。
グロリアとサンドラ2人が登場する「紙細工の城を盗め」のラストがおもしろかった。

今回も結構うならされました。
次作も楽しみ!

2017/06/16

三上延『ビブリア古書堂の事件手帖7』

本日の本

ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)
book-14 『ビブリア古書堂の事件手帖7』  三上延著  メディアワークス文庫

STORY:ビブリア古書堂訪れた道具商が置いていった1冊の本。シェイクスピアの古書を巡る謎解きにいどむ栞子さんと大輔がたどりついた先は・・・

☆☆☆☆ビブリア第7弾にして最終巻。

今回はシェイクスピアにまつわるお話で、いつも通り蘊蓄たっぷり!
いやほんと、普段は引っ込み思案な栞子さんが、本の話をし始めるとスイッチが入る・・・というのも、大輔くんが不器用だけれどいい奴というのも変わらず、ある意味安定のシリーズ。

これまだいろいろな謎がばらまかれていて、どうやって収束させるんだろうと思っていたけれど、いやなるほどね、上手い具合に着地。
栞子さんの母親がずっと謎めいた存在で、敵なんだか味方なんだかわからなかったのも、落着。
いや~いろいろな因縁があったんですねぇ。
栞子さんと母親、祖母、祖父、そして、大輔くんの祖母、従兄弟・・・

最後は、いろいろな人物が絡み合い、どう転ぶかという場面が結構スリルがあっておもしろかった。
そして、結末はめでたしめでたし。
栞子さんと大輔くんも・・・

とくればこれで終わりだよね、やっぱり。
寂しいなあ。
もっと続いてほしかったなあ。

という願いがかなったか、番外編やスピンオフを書いてくれるようでホッ。
まだまだ楽しめますね。


2017/06/04

キャンディス・フォックス『邂逅』

本日の本

邂逅 (シドニー州都警察殺人捜査課) (創元推理文庫)
book-13 『邂逅』 キャンディス・フォックス著 創元推理文庫

STORY:シドニーのマリーナで海底に沈められた大量の箱が発見され、死体が見つけられる。シドニー州都警察に赴任してきたフランクは女性刑事エデンとコンビを組んで捜査にあたるが・・・

☆☆☆シリーズ1作目。
前々から読もうと思っていたのだけど、2作目が出たということで慌てて読んでみた。
オーストラリアのミステリを読むのは多分はじめて。

これはこれは!
かなりの変化球ですね。

主人公の一人フランクははっきり言ってダメ男。
はじめは、なんだこいつと思って全然感情移入できず。
その後、意外にいい面もあるかもと思いまあ許せる奴かというところまでいったのだけど・・・
いいのか、そんなんでというラストでびっくり。

びっくりはこれだけじゃなくて、もう一人の主人公エデンの生い立ちがなかなかにスゴイのだ。
幼い頃から過酷な運命を背負って生きてきたエデン。
少々いびつな人間になるのは致し方ないのかなとも思うけれど、さらに歪んでいるのがエデンの兄エリック。
これがもう不愉快極まりない人物で(それもまた仕方ないのか)、登場するたびに胸騒ぎがするという・・・

正直、メインの事件(死体遺棄事件が恐ろしい事件へと発展・・・犯人はモンスター)より、エリックとエデンの兄妹の物語の方が強烈。どうなるかと思いきや・・・
ダークだなあ。

エデンの養父ハデスもキャラがたっていて、次作にも出るらしいから楽しみだ。

この本を読んで、久々にキャシー・マロリーシリーズを読んでみたくなりました。どちらも氷のヒロインなので。

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