書籍・雑誌

2017/12/15

マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー『煙に消えた男』

本日の本

煙に消えた男 刑事マルティン・ベック (角川文庫)
book-24 『煙に消えた男』 マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー著 角川文庫

STORY:ブタペストで消息をたったジャーナリストの捜索依頼を受けたマルティン・ベックは夏休みを返上し、現地へと向かうが、尾行されていることに気づく。

☆☆☆マルティン・ベックシリーズ全10作の第2作。

1作目を読んで、すっかりハマってしまい、続けて2作目を。
1作目より時代を感じましたね。
なんといってもまだ冷戦時代、ハンガリーは鉄のカーテンの向こう側。
政府筋から極秘に捜索を依頼されたベックは、慣れない外国・・・プタペストでいつも通り地道な捜査をはじめるが、遅々として進まない。
いつも監視されているようで、美女から誘惑されたり、尾行もされたりで、危険な目にあうベック。

しかし、さしたる成果もなく自国に戻り、行き詰まったかと思った時、事件は急展開。

うーん、そうきたか。
確かに最初の方にヒントはあったのだけれど、なるほどね。

1作目もそうだったのだけど、地味な警察小説なので、半ばを過ぎるあたりまで、あまり展開はないのだけど、転がりはじめると一気に解決に向かっていく。これが、なんかいいんですね。さあ、いつ転がりはじめるのか、今か今かと待って、ついついページをめくってしまう。

刑事たちのキャラもよくて、いやー好きだな、このシリーズ。

2017/11/21

マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー『ロセアンナ』

本日の本

刑事マルティン・ベックロセアンナ (角川文庫)
book-23 『ロセアンナ』 マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー著 角川文庫

STORY:閘門で全裸の女性死体が見つかる。身元もなかなか割れず、膠着状態に陥ったところでアメリカの警察からの電報で被害者の身元がわかる。被害者と関係をもった男が疑われるが。刑事マルティン・ベックシリーズ第1弾。

☆☆☆マルティン・ベックシリーズ全10作の第1作。

このシリーズ、たった1冊、一番有名な『笑う警官』だけは昔々読んでいるし、映画も見た。
今回、新しく柳沢由実子さんの訳で新たに出版されると聞いて順番に読みたいなと思っていた。と思ってからだいぶ時間はたってしまったけれど。

昔はスウェーデン産ミステリってこれくらいしかなかったんでしょうかね。
今は北欧ミステリブームなのでいろいろあるけれど。

このシリーズがスウェーデンで出版されはじめたのは1960年代。
なので、かなり古い感じのミステリかなと思いきやそうでもないんですね。
インターネットのない時代だから、アメリカの警察へ問い合わせるのも大変、返事も手紙できたりして、今だったらあっという間に情報収集できるのにな~というところはあるけれど、事件自体は今もあるような事件だし、刑事たちがコツコツと積み上げて事件を解決していくというのも基本。

そして、刑事は家庭的には幸せではないというのも普遍的なんですねぇ。
たまには幸せな刑事がいてもいいようなものだけど(笑)。
M・ベックも妻との関係が微妙だし、仕事の悩みもあってか、胃が常にきりきり痛いという・・・
あ、でもM・ベック、人間味があって好きですね。仲間の刑事たちとのコンビネーションもよし。

ストーリーとしては、被害者が身元がわかるまでが結構長く、その後、この人が犯人ではとめぼしがついてからは、どう落とすかという展開なので、意外な犯人というわけではないけれど、ベックたちの粘り強い捜査が魅力。

2作目以降もぜひ読もう。

2017/10/19

エリザベス・ウェイン『コードネーム・ヴェリティ』

本日の本

コードネーム・ヴェリティ (創元推理文庫)
book-22 『コードネーム・ヴェリティ』 エリザベス・ウェイン著 創元推理文庫

STORY:ナチスの捕虜となったイギリス特殊作戦部員の女性。彼女は親衛隊大尉に尋問をやめる代わりに、イギリスに関する情報を手記にするよう強制される。彼女が書いた手記は・・・

☆☆☆☆第二次世界大戦下が舞台のミステリー。

物語は第一部と二部にわかれる。
第一部は、スパイとして捕まった女性の手記で、なかなか読み進められなかった。
どうやら、自分がひどい目にあわないことと引き替えに情報を書くことを強要されているようなのだが、その手記はなぜか過去に大きくさかのぼり、親友との出会いから友情をはぐくみ、共に任務のために危険に飛び込んでいくという物語が綴られる。
いったい、この物語がどう転んでいくのか・・・
なんかじれったく、よくわからないまま読み進めていったのだが、どうもページがはかどらない。
雲行きが怪しいところで第一部が終わり、第二部へ。

すると・・・
第二部はもう一人の女性(第一部で登場する女性の親友)の視点からの物語gとなり、次々と第一部の謎が解けていくのである。
となると、読書もサクサクと進む。
そうか、そういうことだったのかと。
しかし、結末はちょっと想像しなかった展開で、切なくて、悲しくて・・・
そして、2人の女性の友情に感動・・・なのであった。

戦争がなかったら、境遇のまったく異なる二人はきっと出会わなかっただろうし、二人の友情が培われることもなかっただろうが、戦争のせいでつらく悲しく残酷な物語も語られることはなかった。もちろん、この本はフィクションだけれど、きっとこんな物語は現実にもたくさんあったに違いない。

ラスト、これは涙ものですね。
一筋の光が見えてジ・エンドであった。

2017/09/29

カタリーナ・インゲルマン=スンドベリ『犯罪は老人のたしなみ』 

本日の本

犯罪は老人のたしなみ (創元推理文庫)
book-21 『犯罪は老人のたしなみ』 カタリーナ・インゲルマン=スンドベリ著 創元推理文庫

STORY:老人ホームのオーナーが変わった途端、待遇が悪くなったことに不満を持った79歳のメッタと友人たち。これならば刑務所に入った方がまし、と名画を盗み出し身代金を要求しようと計画するが・・・

☆☆☆ユーモアミステリ。

ワタクシ、老人ミステリは結構好きでして・・・
中でもコリン・ホルト・ソーヤーの海の上のカムデン騒動記シリーズは大好きだった。しかし、それも終わってしまい、何か他にないかなあと探していたところ、これは!というのを見つけ、読もう読もうと思っていて1年がたってしまった。

こちらは、スエーデンのミステリ。北欧ミステリ好きとしては読まざるを得ませんね。

老人たちが犯罪に手を染めることになったのはふとしたことから。
ホームのオーナーが変わって、節約モードになり、食事は冷凍食品になり、コーヒーも制限され、自由もなくなり・・・
不満爆発、監督する看護師が外出中、こっそりオフィスに忍び込んで、飲めや歌えや(笑)・・・がうまくいったので、どんどんエスカレート。

刑務所の方がいいに違いない(なんてことはないでしょ!)と思い込み、手っ取り早く刑務所に入る方法として、最終的にお高い名画(モネやルノワール)を盗んで身代金を要求することを思いつく。

この計画があまりにずさん。そして、お年寄りなので、体の自由がきかなかったり、うっかり忘れたりとただでさえ穴だらけの計画が計画通りにいかないという(笑)
それでも、幸運に助けられ、いろいろありながらも、なんだかんだうまくいってしまうおかしみ。
こんなにうまくいくわけないでしょ!とツッコミたくもなりますが(笑)。

ケチな経営者たちをぎゃふんと言わせ、警察の鼻先を通り抜け、めでたしめでたし。
途中、ちょっともたつくところはあるものの、楽しいミステリ。

続編もあるらしいので、是非翻訳してほしいな。

2017/09/15

ロバート・クレイス『容疑者』

本日の本

容疑者 (創元推理文庫)
book-20 『容疑者』 ロバート・クレイス著 創元推理文庫

STORY:ロス市警の刑事スコットは、パトロール中相棒を失い自分も重傷を負う。一方、爆発物探知犬のマギーはアフガニスタンで、相棒をなくしやはり大きな傷を負ってしまった。両者は警察犬隊でパートナーとして組むことになり、スコットを襲った事件も新たな展開を迎える。
☆☆☆☆犬好きの必読書!

猫のミステリを読むことが多いのだが、久々に犬が活躍するミステリを読んでみた。
涙うるうるものですね~

ミステリの形をとっているけれど、心にも大きな傷を負った、一人の刑事と一匹の犬との友情物語なのである。
お互いの傷が大きすぎて、はじめはぎくしゃくしていた一人と一匹が次第に打ち解け、互いになくてはならない存在となる。そして、次第に傷が癒える一人と一匹。ついに未解決だった事件も解決し、トラウマを克服する。

事件自体は、これはもしかしてと思う筋書きだったりして、そう新味のあるものではないのだけれど、こそうした弱点は気にならない。
とにもかくにも、友情物語だから。

このコンビの続編(別シリーズの探偵も出るらしいが)『約束』も是非読もう。
警察犬隊の上司リーランドもいいキャラなのだけど、出てくるみたいで楽しみ。


2017/08/04

ジュリー・ベリー『聖エセルドレダ女学院の殺人』

本日の本

聖エセルドレダ女学院の殺人 (創元推理文庫)
book-19 『聖エセルドレダ女学院の殺人』 ジュリー・ベリー著 創元推理文庫

STORY:19世紀末、7人の少女が在籍する寄宿学校。ある夜の夕食時、校長とその弟が急に死んでしまう。家に帰りたくない事情をかかえる少女たちは死体を埋め、そのまま学校生活を続けようとするが・・・
☆☆☆コージーミステリかと思いきや・・・
結構ブラックでした!

読み始めて2頁で死体が二つ。
それを、冷静に庭に埋め、何食わぬ顔をして、そのまま寄宿生活を続けようとする。なんかあっという間に、死体が埋まっているという(笑)。スピーディでいい展開。

まあ、それぞれが家には絶対に帰りたくないという事情があったとしても、死体を埋めちゃったらマズイでしょ~
誰も異議をとなえないという・・・

しかし、そのまま平穏な学校生活が送れるはずもなく・・・
次から次へと、大人たちが学校に訪問してきて、ピンチに次ぐピンチ!
校長先生に扮装したりしてなんとかごまかす。
このあたり、かなりブラックなコメディというか、ほとんどスラップスティックコメディ。なんか可笑しい。

7人がそれぞれの特技をいかして、なんとか乗り切っていく様子がおもしろくて、最後まで笑ってしまった。

これ、映画にしたらおもしろいと思うけどなあ。

2017/08/01

ジョー・ネスポ『その雪と血を』

本日の本

その雪と血を(ハヤカワ・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1912)
book-18 『その雪と血を』 ジョー・ネスポ著 ハヤカワ・ミステリ

STORY:殺し屋オーラヴの今度の仕事は、不貞を働いているらしいボスの妻を始末することだったが、彼女の姿を見た途端、恋に落ちてしまう・・・

☆☆☆初ネスポ。

ここ数年、北欧ミステリをちょくちょく読んでいて、いつかはネスポも・・・
と思いつつも、なんとなく自分にはあわない気がして見送っていた。
この本も、パルプノワール風というのでやめようと思ったのだが、結構評判がいいし、たまにはチャレンジしてみよう!
ということで読んでみた。

まず本を開いてびっくり!
ポケミスなのに1段組。しかも薄い。
これなら、あっという間に読める・・・
と思ったのだが、予想以上に難航。
やっぱり、苦手なタイプのミステリだったのだ。

しかし、これはよくありがちなストーリーと思っていたのに、思いがけないラスト。
ラスト前は、ああやっぱりこうなるのかと思ったのに、その先があったんですね。
このラストでぐーんと評価アップ。
美しすぎる・・・

ネスポ、他のも読んでみようかな。


2017/07/07

東海林さだお『サンマの丸かじり』

本日の本

サンマの丸かじり (文春文庫)
book-17 『サンマの丸かじり』 東海林さだお著 文春文庫

丸かじりシリーズ第36弾。
だいぶ前から読み始めて、チマチマと読み進めてようやく読了。
1つのエッセイが短いし、改行も多いし、読み始めるとあっという間なのだけど・・・

今回も好奇心旺盛なショージ君はいろいろなことにチャレンジ。
焼き芋をお取り寄せしてみたり、パイナップルラーメン(テレビなんかでもよく見るのだけれど、パイナップルはありえん!と思っていたけれど、案外イケルみたいで)にチャレンジしてみたり・・・

何かの食べ物から、どんどん脱線して、でも思いがけないふかーい考察をしてみたり、というエッセイもおもしろい。

あと、自意識過剰系もおもしろいですね。
例えば、この本でいうと最後の回転寿司やさんでラーメンを食べるというもの。
某K寿司の広告を見て、わざわざ寿司やにラーメン(それもラーメンだけ!)を食べにいき、寿司を食べにきてふと気が変わってラーメンを頼んだ・・・と装うことに失敗、変な人に思われてるに違いないと気をもむショージ君(笑)
いや、人は他人のことをそれほど気にしてないと思うけど(笑)

今回は解説が椎名誠で、そうそうとハゲシク頷いてしまいましたね。


2017/06/29

『歩いて旅する東海道』

本日の本

歩いて旅する東海道
book-16 『歩いて旅する東海道』 山と渓谷社

東海道歩きのための本、第4弾。

本屋さんで見かけ、パラパラとめくったらよさそう・・・
ということで後日買いに行ったら、売れてしまったあとで・・・(別の本も一回見てから違う日にいったらなかった・・・ライバルがいる?)
図書館で借りた上で、アマゾンで購入。

2015年発行とわりと新しいし、写真がいっぱいで見ていて楽しいんですね。
名物(お菓子、お食事等)が書かれているのもポイントで、行ったら食べたいなあなどと思いながら読んでいる。
間の宿の説明もあり、結構参考になります。

表紙が薩埵峠というのもいいなあ。
先日ワタクシが行った時はこんなにキレイに全部は見えなかったけれどね。


2017/06/26

エドワード・D・ホック『怪盗ニック全仕事4』

本日の本

怪盗ニック全仕事4 (創元推理文庫)
book-15 『怪盗ニック全仕事4』 エドワード・D・ホック著 創元推理文庫

STORY:価値のないものを専門に盗むニックにライバルが。不可能を朝食前にをモットーに早朝に盗みを働く白の女王ことサンドラ・パリスが登場する「白の女王のメニューを盗め」他全15編。

☆☆☆怪盗ニック4冊目。

今回もまた価値のないもの・・・でもいわく付きのものを盗むニック。
いつもお見事!
なのだけど、強力なライバルが登場するんである。
白の女王(不思議の国のアリスのキャラですね。映画のアン・ハサウェイを思い出しました・・・)ことサンドラ・パリス。お手並み鮮やか、ニックを出し抜く。
ニックはライバル心を燃やし、でも時には協力しあったり、助けられたりもする。
今後も登場してほしいな。
サンドラの方が実は泥棒のウデは上のような気がする(笑)

長年の恋人グロリアとの関係にも変化が。
えーグロリアがまさか!の展開。こちらも今後どうなることやら。
グロリアとサンドラ2人が登場する「紙細工の城を盗め」のラストがおもしろかった。

今回も結構うならされました。
次作も楽しみ!

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