書籍・雑誌

2022/07/26

『血の郷愁』 ダリオ・コッレンティ

本日の本

book-9 『血の郷愁』 ダリオ・コッレンティ著 ハーパーBOOKS  

STORY:北イタリアで、女性の変死体が発見された。一九世紀の連続殺人犯の手口と同じと、インターンの記者イラリアから聞いた定年間近の記者マルコは、イラリアともに事件を追う。

☆☆☆☆イタリアンミステリ。

イタリアのミステリも時々は読むのだけれど、英米仏北欧と比べたら少ないんですね。まあ翻訳があまりないというのがあるのだけれど。

これ、結構事件自体は陰惨で、グロいんですね。
殺し方が猟奇的で・・・
これは読んでてキツいかなとも思ったのだけど、実はそうでもない。
それは、お荷物記者のマルコとイラリアのコンビがとてもよいから。
なんか、ほのぼのとするコンビなのだ。そして、おいしそうなレストランが描かれて、いいなあと。
厭世的なマルコと、一種の強迫観念に駆られているイラリア(過去につらい目にあっているため)のコンビ、最初はどうかなと思ったけれど、読み進めていくうちに最高のバディだということがわかる。
一匹狼で古風な取材をするマルコと、現代っこのイラリアとが、いいあんばいで犯人を追い詰めていく・・・

このコンビがとても気に入ったので、続刊希望!

 

2022/07/05

デズモンド・バグリィ『高い砦』

本日の本

book-8 『高い砦』 デズモンド・バグリィ著 ハヤカワ文庫 

STORY:アンデスで飛行機が乗っ取られ不時着。生き残った者たちは麓を目指して山を下りるが、武装ゲリラが襲ってくる。武器もない中、知恵で乗り切っていく者たちだったが。

☆☆☆冒険小説。

いろいろなミステリーベストにあがってくる小説だったので気にはなっていたのだが、冒険小説は本では読まなかったので、これまでスルーしてきた。
が、五十音読書を進める中、「た」は「高い窓」かこれしか思いつかず、とうとう読んでみるかとなった次第。

いや、これが面白かった!
確かに1960年代に書かれた小説なのでちょっと古い感じはあるのだけど、そう気にはならない。

飛行機が山奥に不時着、大破し、数名が亡くなる中、生存したものたちのサバイバル物語になるわけなのだけど、前進すれば武装ゲリラが待ち受け、後ろは険しい山に阻まれる。

絶体絶命の生存者たちだが、これからがすごい、強い。
投石機や石弓など、お手製の武器を作り、突破していくのだ。そして、山越えをするチームも何の装備もない中、気力で突破していく。

それぞれがそれぞれの役割を果たす姿がかっこいい!

これ、絶対映画にしたら面白いと思うのだけど、いまだ映画化はされていないんですね。残念。

2022/06/30

アンソニー・ホロヴィッツ『その裁きは死』 

本日の本

 

book-7 『その裁きは死』 アンソニー・ホロヴィッツ著 創元推理文庫

STORY:実直さが売りの弁護士が、裁判の相手方が脅した方法で殺される。謎の数字が残され、被害者が最後に口走った言葉も謎だった・・・

☆☆☆ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ第二弾。

前作『メインテーマは殺人』がとてもおもしろかったので、こちらも読んでみた。各ミスベスで一位を獲得した話題作である。

今回もとても古風で本格的なミステリで、いや、やっぱりこういうのいいなあ。お見事。

伏線が張り巡らされているのだけど、すっかりだまされて、やはり犯人はあたらず。
あとから振り返ってみると、納得なのだけど。
いやー、今回もやられました・・・

やっぱり、探偵約の元刑事ホーソーンはいやなやつで好きにはなれないけれど、なんとなく憎めないというか・・・
ホーソーン自身の謎もあって、これはこの後の作品で明らかにされるのだろうか。

やはり次が出たら読むんだろうな。
ホーソーンいやなやつと思いながら(笑)

2022/05/03

深緑野分『戦場のコックたち』 

本日の本

 

book-6 『戦場のコックたち』 深緑野分著 東京創元社 

STORY:第二次世界大戦下、アメリカ陸軍の特技兵士のコックであるティムはノルマンディーに降下する。転戦しながらティムは遭遇した日常の謎を解き明かそうとするが・・・
☆☆☆☆直木賞の候補ともなったミステリ。

戦争物は本にしろ映画にしろ苦手で、この本も長らく読まずにいたのだが、ひょんなことから読むことに・・・

主人公は、若いアメリカ軍のコック兵ティム。
ティムがヨーロッパを転戦しながら、戦場という特殊な・・・非日常の中で、謎に出会い、仲間とともにその謎を解き明かすという連作集である。

一つ一つのお話は独立しているように見えるが実はつながっていて、あとからふり返ってみると伏線がたくさんはってあったのだなあと気づく。

大量に消えた乾燥卵(これが実にまずそう・・・)の謎、パラシュートを集める兵士の謎、雪原にあらわれた幽霊兵士の謎など。どれもああなるほどねと思うとともに、次のお話へとつながっていくところが見事だ。

ティムはどちらかというと気弱な青年だが、様々な辛い体験を通して成長し、たくましくなっていく。ミステリーであるとともに、彼の成長物語とも言える。ひよっこだったがティムがおこした行動には、驚くことだろう。

ラスト、再会を果たしたティムと仲間たちが描かれるが、単純なハッピーエンドとはならず、ほろ苦さも残す。そして戦争のむごさ、むなしさも・・・

 

2022/04/17

ドン・ウィンズロウ『ストリート・キッズ』 

本日の本

book-5 『ストリート・キッズ』 ドン・ウィンズロウ著 創元推理文庫 

STORY:民主党全国大会で副大統領候補に推薦される予定の上院議員が、失踪した娘を連れ戻してほしいとの依頼を元ストリート・キッズの探偵ニールが請ける。イギリスに渡って捜索するニールだったが・・・
☆☆☆シリーズ第1作。

前々から読もうと思いながら機会がなかったミステリである。
五十音読書ミステリー編で「す」を読むことになり、この小説を選らんでようやく読むことになった。

探偵が異色である。
ドラッグ中毒の売春婦の私生児として生まれたニールは、ストリートキッズとしてすりをしていたところを片腕の私立探偵グレアムに拾われ、徹底して探偵技術を教え込まれるのだ。

しかし、ニールはまったくマッチョではなく、文学にのめり込み、大学院に通う青年。
文学青年で、ナイーブで優しい探偵というのがおもしろい。
腕力はないし、車の運転もダメだし・・・
でも頭と勇気(震えながら)で切り抜けるニール。

もちろん、これはミステリなんだけれど、若者の成長物語であり、恋愛要素もある青春もの。
そして、本当の親子のようなグレアムとの関係もいいんですね。

ラスト、すごく感傷的になってしまいました・・・

 

2022/04/09

今村昌弘『屍人荘の殺人』  

本日の本

book-4 『屍人荘の殺人』 今村昌弘著  創元推理文庫

STORY:大学のミステリ愛好会の葉村は映研の夏合宿に参加するためペンション紫湛荘を訪れる。ペンションに閉じ込められた参加者たち。やがて連続殺人が・・・

☆☆☆このミスなどで1位に輝いた作者のデビュー作。
ある出来事からたくさんの人がペンションに閉じ込められてしまうという、クローズドサークルものである。
クローズドサークルものは結構好きでたくさん読んでいるのだけど、こんなクローズドサークルははじめて!!
いや~驚きである。

この設定、とても本格ミステリーにはなるまいと思って読み進めたのだけど、いやいやどうして、めちゃくちゃ本格物。設定が奇抜なだけだったのだ。これも驚き。
てっきりホラーになるのかも・・・いや、相当えぐい場面もあるけれども。

しかも、この設定を最大限いかしてのストーリーで、ああなるほどね、と随所で思ったり・・・

いやはや、ビックリのミステリーだな。
映画はどうだろう?

 

2022/03/04

ロス・マクドナルド『さむけ』 

本日の本

 

book-3 『さむけ』 ロス・マクドナルド著 ハヤカワ・ミステリ文庫 

STORY:新婚旅行1日目に妻ドリーが失踪してしまった青年から依頼を受け、行方を捜すことになった私立探偵のアーチャー。数日後、ドリーは血まみれで半狂乱になった姿を発見する。
☆☆☆☆☆ハードボイルドの名作。

なぜこの名作を今まで読まなかったのだろう・・・

昔はハードボイルドが苦手でなんとなく避けてしまったのだろうか。その語ハードボイルドも読むようになったのだけど、機会を逸してしまったのだろう。

実に複雑な人間関係、家族関係で、はじめはいったいこれがどうつながるのか、どう展開していくのか皆目わからない。
が、少しずつ、探偵アーチャーとともに複雑にねじれ、もつれた人間関係が解きほぐされていく。
ゆっくり進行する物語、一見むだも多いようにも思えるけれど、まったく無駄はない。

そして、すべてが明らかになるラスト。
いや、ホント、さむけが・・・ぞっとするラストだ。

ハードボイルドではあるけれど、謎解きミステリとしてもよく出来ていると思う。

アーチャーもの、他のも読んでみたいな。

 

2022/02/06

カール・ハイアセン『これ誘拐だよね?』 

本日の本

book-2 『これ誘拐だよね?』 カール・ハイアセン著 文春文庫 

STORY:ドラッグ漬けの落ち目のアイドル歌手チェリーをスキャンダル記事から守るため影武者として雇われた女優の卵アン。ある日チェリーと間違われてアンが誘拐されてしまい・・・
☆☆☆ユーモア・ミステリ。

初ハイアセンである。
ユーモア・ミステリは大好きなので、前々から読みたいと思っていたのだが、ようやく!

なかなかに過激な、ぶっとび系のユーモア・ミステリ・・・というかクライムコメディというか。

とにかく、登場人物がこゆーい、クセつよの人物ばかり。
落ち目のアイドル歌手チェリーは、おつむが弱く、ドラッグお酒中毒。歌の才能ゼロのお騒がせセレブ(なんか、アメリカのお騒がせセレブ・・・あの人とかあの人を連想させるね)。
チェリーを狙うパパラッチのアボットはピューリッツァー賞を受賞した報道写真家だったのが、汚いやり口で転落、忌み嫌われるパパラッチとなったイカレ野郎。
元フロリダ州知事だが、自然保護過激派の義眼三つ編み老人スキンク。
整形の失敗でおぞましい顔となり、バラクーダに腕を食いちぎられ、草刈り機のアタッチメントをつけた元殺し屋のボディーガードのケモ。

と書いただけでキャラ濃すぎの人物ばかり。
十分不思議ちゃんのアンがまともに見えるという・・・

こうした人物が入り乱れ、ハチャメチャの物語を繰り広げる。
おもしろいのはおもしろいのだけど、ちょっとやり過ぎかなと。
ちょっと濃すぎるな。

 

2022/01/13

ピーター・スワンソン『ケイトが恐れるすべて』 

本日の本

book-1 『ケイトが恐れるすべて』 ピーター・スワンソン著 創元推理文庫 

STORY:ロンドン住まいのケイトはボストン在住の又従兄コービンと半年間住まいを交換することに。ボストンに着いた翌日、隣の部屋で女性の死体が発見される。向かいの棟の男性からコービンとその女性が恋人同士だが周囲には秘密にしていたと聞くが、コービンは否定して・・・
☆☆☆強烈サスペンス。

前作『ミランダを殺す』は傑作だった。
ということで期待をもって読み始める。

やっぱりこの作者うまいですね。
はじめからグイグイひきこまれる。

読み進めていくうちにどんどん不安が募っていき・・・
語り手が変わるごとにサスペンス度はましていくけれど、なんとまあそういう話だったのか!!
半ばくらいで結末は見えてくるのだけれど、それでもどうなるのかと早くページをめくりたくなるのだ。

いやしかし、気持ちの悪いお話で、これ、映画にしたら恐いだろうな~ホラーすれすれ。

過去のトラウマから常に不安を抱えて生活しているケイトについつい感情移入していまい、ハラハラドキドキ。
読み終えてほっとするという・・・

この作者、次はどんな手を繰り出してくるのか、楽しみ。でも恐いんだろうな~

 

2021/12/14

フェルディナント・フォン・シーラッハ『禁忌』

本日の本

book-17 『禁忌』 フェルディナント・フォン・シーラッハ著 創元推理文庫 

STORY:写真家として大成功をおさめたセバスティアンはある日、若い女性の誘拐殺人容疑で逮捕される。刑事に脅され自白してしまった彼の弁護にあたった敏腕弁護士ビーグラーだが・・・

☆☆初シーラッハ。
『犯罪』『コリーニ事件』で話題をさらったシーラッハ。なかなか読む機会に恵まれず、今回、五十音読書チャレンジで「き」の順番がまわってきたので思いついて読んでみたのだが・・・

うーん、これはじめてシーラッハを読む人が読む本じゃないですね。
あまりに特殊すぎる・・・
正直これ、ミステリといっていいかどうか・・・

もちろん謎はあるのだけれど、えーそんな展開かと。

はじめはこれはどうなるんだろ?
これが事件に発展するのかな?と思ってグイグイ読み進めたのだけれど、だんだんなんかおかしいなと。

唯一おもしろかったのは弁護士の人物像。
有能なんだけど、なんだかずれてる人物で、妙に人間臭い。

この弁護士登場の物語はもっと読みたいなと。

やはり読む順番を間違ったようです。

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