書籍・雑誌

2022/11/24

ジェフ・アボット『逃げる悪女』  

本日の本

book-14 『逃げる悪女』  ジェフ・アボット著  ハヤカワ・ミステリ文庫

STORY:モーズリー判事は幼い時に自分を捨てた母親を探していた。ついに見つけた母親はギャングになっており、組織のお金を盗んで逃走中。その金を狙って、ギャング、麻薬組織、恋人が追うが・・・

☆☆☆モーズリー判事シリーズ第3弾。
といっても、1作目も2作目も読んではいない。
ということで、途中からだとわからないかしら?と思ったけれど、それは大丈夫。

いろんな人物(全員変・・・)が入り乱れ、敵味方がわからないままストーリーは進行。なんだかどういう方向に進んでいくかわからないのだけど・・・
だましだまされ、ホントの悪はというと、なるほどねと。
ちょっといろんな要素を詰め込みすぎて渋滞してしまっているのが残念かな。

アメリカ的親子愛のサイドストーリーもあって、一瞬感動の場面もあるものの、最後はシニカル。

この作家さんの作品は図書館シリーズ以来で、好みとしては図書館の方かなあ。

2022/11/22

ドロシー・L・セイヤーズ『ナイン・テイラーズ』 

本日の本

book-13 『ナイン・テイラーズ』 ドロシー・L・セイヤーズ著 創元推理文庫  

STORY:ある村の屋敷の主人が亡くなり、亡き妻と同じ墓に葬られることになったが、掘り返してみると、見知らぬ死体が埋まっていた。ピーター郷が呼ばれるが・・・

☆☆☆ピーター郷シリーズ第9弾。

以前、セイヤーズ作品は1作だけ読んだことがあるのだが、読みづらくてそれきりになっていた。
今回、五十音順読書ミステリー編で「な」はないかなと思ったら、この有名作品があったので読んでみた。

前よりは苦手意識がなかったかなと思うけれど、翻訳がちょっと・・・
大好きな訳者さんなんだけど、多分なまりを日本語的に再現してるのだろうと思ったけれど、うーん・・・

そして、やっぱり長いんですね。
さらに、ペダントリー的でちょっと冗長。もうちょっとそぎ落とした方が読みやすいのではないかなあ。

ミステリーとしては最後のおちがなるほどど思ったけれど、またしばらくセイヤーズは読まない気がする・・・

イギリス女流ミステリー本格作家のビッグ4では、やはり好きなのは圧倒的にクリスティー、続いてマージョリー・アリンガム、セイヤーズかな。ナイオ・マーシュはまだ一冊も読んでないのです。

2022/10/04

ジョセフィン・テイ『時の娘』 

本日の本

book-12 『時の娘』 ジョセフィン・テイ著 ハヤカワ・ミステリ文庫 

 
STORY:スコットランドヤードのグラント警部は任務遂行中に骨折し入院するが暇を持て余し、リチャード三世が本当に2人の甥たちをロンドン塔に幽閉したのち殺害したのか、を推理することになる。

☆☆☆ミステリーの古典的名作。

いつかは読もう読もうと思っていたのだが機会を逸してしまい・・・
今回、五十音順読書ミステリー編で「と」の順番がきたので、ようやく手に取った次第。

骨折で入院したスコットランドヤード警部が、似顔絵からはとても悪人には見えないと思った、リチャード三世が、前王であった兄の子たち(甥)を殺したというのは本当なのか、を暇にまかせて推理する、というお話で、歴史ミステリーでもあり、また安楽椅子探偵ものでもある。

この甥殺しに関しては、ミレーの有名な絵「塔の中の王子たち」やドラローシュの「ロンドン塔のエドワードとリチャード」のイメージがあり、リチャード三世は極悪非道の王様だとすり込まれていたのだが、それを突き崩し、別に犯人がいたと結論づけるのである。

おお、なるほどねと、リチャード三世は悪い王様ではなかったんだなと納得させられるけれど、本当のところはどうなのかは永遠の謎なわけで・・・
この小説だけでなく、塔の中の王子たちを殺した犯人は○○という説はあるようなのだけど、一般的にはやはりリチャード三世の仕業であるというのが定説。いやでも、そうじゃないのかも??

楽しく読んだのだけど、基本的知識として、薔薇戦争とか、このあたりの基本的な知識がある方がもっと楽しめるだろう。

2022/09/06

藤原伊織『テロリストのパラソル』

本日の本

 

book-11 『テロリストのパラソル』 藤原伊織著 文春文庫  

STORY:過去を隠しひっそりと暮らすアル中バーテンダーの島村。新宿中央公園の爆弾テロに居合わせ、事件に巻き込まれた島村は犯人捜しをはじめるが・・・

☆☆☆直木賞、江戸川乱歩賞W受賞作。

ずっと読もうと思っていてなぜか読みそびれ、今回、五十音順読書ミステリー編をやっていて、「て」の番になったので読んでみた。

なんと言っても語り口のうまさ。
早く先を読みたくなるのだ。

そして、登場人物が印象深い。
主人公は過去を捨て隠れて暮らすアル中バーテンダー。ワタクシ、アル中の探偵ってあんまり得意ではないのだけど、不器用なキャラ悪くはない。それより、印象的なので、主人公を助けることになる、インテリヤクザ。義理堅く、筋の通らないことが大嫌いな男で、カッコいい。

犯人はなんとねーという人物でびっくりしたけれど、ちょっと動機がよくわからない部分もあり・・・
あと、ちょっと偶然が重なりすぎてない?という疑問もあったり・・・

いやそれでも十分おもしろかった。

主人公の作るホットドッグがおいしそうで食べたくなったのでした。

 

2022/08/23

アレン・エスケンス『償いの雪が降る』

本日の本

book-10 『償いの雪が降る』 アレン・エスケンス著 創元推理文庫  

STORY:大学の授業で年長者の伝記を書くことになったジョーは、三十数年前の少女暴行殺人事件の犯人として服役していたが末期がんのため仮釈放され、最後の時を介護施設で過ごすカールを紹介される。話を聞くうち、えん罪だと確信したジョーは真相を探ろうとするが・・・

☆☆☆☆バリー賞などを受賞した著者のデビュー作。

苦学して大学に入ったジョーは、身近に年長者がいなかったため、紹介されて殺人犯カールのインタビューをすることになるのだが、あたりさわりなく伝記を書こうとしたところ、思いがけず、カールの人生にどっぷりつかることになる。

カールのつらい過去と対峙するうちに、ジョーは封印していた自分のつらい過去を思い出す。

カールの事件を掘り起こす一方、家族のトラブルに悩まされ・・・
アル中で男にだらしない母親、自閉症の弟・・・
絶望的な環境から脱するべく、大学に入ったジョーだが、断ち切ることができず、もがく毎日。

しかし、カールとの関わりがジョーを変えていく。
ジョーとカールの癒やしの物語で、最後には大感動が待っているのだ。

ミステリー的には、わりと早い段階で犯人の推測がつくのだけれど、それも気にならない。

ジョーがあまりに無謀すぎるのでハラハラするけれど、なんか応援したくなってしまうのですね。

大学を卒業したジョーの続編も翻訳されているので、是非読まねば。

2022/07/26

『血の郷愁』 ダリオ・コッレンティ

本日の本

book-9 『血の郷愁』 ダリオ・コッレンティ著 ハーパーBOOKS  

STORY:北イタリアで、女性の変死体が発見された。一九世紀の連続殺人犯の手口と同じと、インターンの記者イラリアから聞いた定年間近の記者マルコは、イラリアともに事件を追う。

☆☆☆☆イタリアンミステリ。

イタリアのミステリも時々は読むのだけれど、英米仏北欧と比べたら少ないんですね。まあ翻訳があまりないというのがあるのだけれど。

これ、結構事件自体は陰惨で、グロいんですね。
殺し方が猟奇的で・・・
これは読んでてキツいかなとも思ったのだけど、実はそうでもない。
それは、お荷物記者のマルコとイラリアのコンビがとてもよいから。
なんか、ほのぼのとするコンビなのだ。そして、おいしそうなレストランが描かれて、いいなあと。
厭世的なマルコと、一種の強迫観念に駆られているイラリア(過去につらい目にあっているため)のコンビ、最初はどうかなと思ったけれど、読み進めていくうちに最高のバディだということがわかる。
一匹狼で古風な取材をするマルコと、現代っこのイラリアとが、いいあんばいで犯人を追い詰めていく・・・

このコンビがとても気に入ったので、続刊希望!

 

2022/07/05

デズモンド・バグリィ『高い砦』

本日の本

book-8 『高い砦』 デズモンド・バグリィ著 ハヤカワ文庫 

STORY:アンデスで飛行機が乗っ取られ不時着。生き残った者たちは麓を目指して山を下りるが、武装ゲリラが襲ってくる。武器もない中、知恵で乗り切っていく者たちだったが。

☆☆☆冒険小説。

いろいろなミステリーベストにあがってくる小説だったので気にはなっていたのだが、冒険小説は本では読まなかったので、これまでスルーしてきた。
が、五十音読書を進める中、「た」は「高い窓」かこれしか思いつかず、とうとう読んでみるかとなった次第。

いや、これが面白かった!
確かに1960年代に書かれた小説なのでちょっと古い感じはあるのだけど、そう気にはならない。

飛行機が山奥に不時着、大破し、数名が亡くなる中、生存したものたちのサバイバル物語になるわけなのだけど、前進すれば武装ゲリラが待ち受け、後ろは険しい山に阻まれる。

絶体絶命の生存者たちだが、これからがすごい、強い。
投石機や石弓など、お手製の武器を作り、突破していくのだ。そして、山越えをするチームも何の装備もない中、気力で突破していく。

それぞれがそれぞれの役割を果たす姿がかっこいい!

これ、絶対映画にしたら面白いと思うのだけど、いまだ映画化はされていないんですね。残念。

2022/06/30

アンソニー・ホロヴィッツ『その裁きは死』 

本日の本

 

book-7 『その裁きは死』 アンソニー・ホロヴィッツ著 創元推理文庫

STORY:実直さが売りの弁護士が、裁判の相手方が脅した方法で殺される。謎の数字が残され、被害者が最後に口走った言葉も謎だった・・・

☆☆☆ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ第二弾。

前作『メインテーマは殺人』がとてもおもしろかったので、こちらも読んでみた。各ミスベスで一位を獲得した話題作である。

今回もとても古風で本格的なミステリで、いや、やっぱりこういうのいいなあ。お見事。

伏線が張り巡らされているのだけど、すっかりだまされて、やはり犯人はあたらず。
あとから振り返ってみると、納得なのだけど。
いやー、今回もやられました・・・

やっぱり、探偵約の元刑事ホーソーンはいやなやつで好きにはなれないけれど、なんとなく憎めないというか・・・
ホーソーン自身の謎もあって、これはこの後の作品で明らかにされるのだろうか。

やはり次が出たら読むんだろうな。
ホーソーンいやなやつと思いながら(笑)

2022/05/03

深緑野分『戦場のコックたち』 

本日の本

 

book-6 『戦場のコックたち』 深緑野分著 東京創元社 

STORY:第二次世界大戦下、アメリカ陸軍の特技兵士のコックであるティムはノルマンディーに降下する。転戦しながらティムは遭遇した日常の謎を解き明かそうとするが・・・
☆☆☆☆直木賞の候補ともなったミステリ。

戦争物は本にしろ映画にしろ苦手で、この本も長らく読まずにいたのだが、ひょんなことから読むことに・・・

主人公は、若いアメリカ軍のコック兵ティム。
ティムがヨーロッパを転戦しながら、戦場という特殊な・・・非日常の中で、謎に出会い、仲間とともにその謎を解き明かすという連作集である。

一つ一つのお話は独立しているように見えるが実はつながっていて、あとからふり返ってみると伏線がたくさんはってあったのだなあと気づく。

大量に消えた乾燥卵(これが実にまずそう・・・)の謎、パラシュートを集める兵士の謎、雪原にあらわれた幽霊兵士の謎など。どれもああなるほどねと思うとともに、次のお話へとつながっていくところが見事だ。

ティムはどちらかというと気弱な青年だが、様々な辛い体験を通して成長し、たくましくなっていく。ミステリーであるとともに、彼の成長物語とも言える。ひよっこだったがティムがおこした行動には、驚くことだろう。

ラスト、再会を果たしたティムと仲間たちが描かれるが、単純なハッピーエンドとはならず、ほろ苦さも残す。そして戦争のむごさ、むなしさも・・・

 

2022/04/17

ドン・ウィンズロウ『ストリート・キッズ』 

本日の本

book-5 『ストリート・キッズ』 ドン・ウィンズロウ著 創元推理文庫 

STORY:民主党全国大会で副大統領候補に推薦される予定の上院議員が、失踪した娘を連れ戻してほしいとの依頼を元ストリート・キッズの探偵ニールが請ける。イギリスに渡って捜索するニールだったが・・・
☆☆☆シリーズ第1作。

前々から読もうと思いながら機会がなかったミステリである。
五十音読書ミステリー編で「す」を読むことになり、この小説を選らんでようやく読むことになった。

探偵が異色である。
ドラッグ中毒の売春婦の私生児として生まれたニールは、ストリートキッズとしてすりをしていたところを片腕の私立探偵グレアムに拾われ、徹底して探偵技術を教え込まれるのだ。

しかし、ニールはまったくマッチョではなく、文学にのめり込み、大学院に通う青年。
文学青年で、ナイーブで優しい探偵というのがおもしろい。
腕力はないし、車の運転もダメだし・・・
でも頭と勇気(震えながら)で切り抜けるニール。

もちろん、これはミステリなんだけれど、若者の成長物語であり、恋愛要素もある青春もの。
そして、本当の親子のようなグレアムとの関係もいいんですね。

ラスト、すごく感傷的になってしまいました・・・

 

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