文化・芸術

2017/04/16

【帰ってきた!浮世絵動物園展(前期)】

art-21 【帰ってきた!浮世絵動物園展(前期)】 太田記念美術館

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今年度、太田記念美術館の年間パスポートを買いました~
ということでどしどし行かないと。
今月、来月は浮世絵動物園。7年前に開催されて好評だった展覧会がバージョンアップしてのお目見え。

畳に上がると、おや?美人画?
かと思ったら、足元にちっちゃな狆がいましたね。

動物百変化
いろいろな動物。中にはこれってなんだ?という動物もあったり。
虎は実在するけれど、見たことがないまま描くとなんだか虎というより猫のようなちょっとかわいいものだったり。
象も貴重な動物だったらしいが、河鍋暁斎はしっかり観察して描いていて、皺があって皮膚が硬そうな感じがよく出ていた。
擬人化された動物も。遊女を描くことができなかった時期に、雀で描いたのが歌川国芳の「里すずめねぐらの仮宿」。蛙で長州征伐を描いたのが河鍋暁斎の「風流大合戦之図」。蛙とはいえ、結構リアルな戦争の場面を描いている。
服部雪斎が描く、ウチハフグなどは非常によく観察されていて博物学的な絵である。これは博覧会で展示されたものらしい。

暮らしのなかの動物-愛されアニマル・働きアニマル-
暮らしの中の動物というと、猫、犬。
猫はかわいいのもあれば、ちょっと怖いのもある。
鶏でなかなかだったのは、最近ちょっと注目している昇斎一景の「東京名所四十八景 浅草観世音雪中」。鶏が大きく描かれすぎ・・・
広重の鶏はよかった。今回、広重のあまり見たことがない絵が何枚かあったのが収穫。
馬といえば・・・広重の「東海道五拾三次之内 池鯉鮒(ちりゅうふ)首夏馬市」ですね。風景画としてではなく動物画としてとらえた今回の展示である。
小林清親の軍人と馬の絵もあった。

祈りと動物-鶴・亀・干支(えと)・エトセトラ-
おめでたい動物が並ぶ中、疱瘡絵(天然痘除け)もあった。
みみずくや春駒、鍾馗などがモチーフとなるらしい。プラス赤色で描かれるんですね。

江戸流アニマルファッション
確かに、よくよく見ると動物が描かれた着物はいろいろとあるもので・・・
一番インパクトがあったのは、蛸かな~
歌川国貞の「江戸名所百人美女 薬げんぼり」である。
昨年、少しまとめて見たけれど、このシリーズ全部並べて見てみたいなあ。美女と小さく描かれた江戸名所のコラボ。ちなみに東本願寺は金魚の柄だった・・・

後期も行こう!

2017/04/15

【草間彌生 わが永遠の魂展】

art-20 【草間彌生 わが永遠の魂展】 国立新美術館

草間彌生展に行って参りました。
国立新美術館に到着したのは10時5分前。チケット売り場にはすでに列ができはじめており(見終わって出てきたら、かなりの列に)、入場するまでも少々待ちました。

現代アートはあまり得意な分野ではないのだが・・・
あのカボチャはなんかみたくなるというか。
始めて草間彌生を認識したのは、今から15年以上前に沖縄の佐喜眞美術館でのこと。丸木夫妻の絵を見に行ったらちょうど草間彌生の展示もしていて、あのカボチャに遭遇したのだった。

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まず会場に入る前にオブリタレーションルームに入ってみる。シールをもらい、好きなところに貼ることができる。参加型のインスタレーション。なんか楽しい。

1:21世紀の草間彌生(1)
会場に入るとまず圧倒される。

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連作「わが永遠の魂」が130枚ほども展示されている。
このシリーズは2009年から今も書き続けられているシリーズですでに500点を超えるという。
はじめにざざっと見て、ぐるりと周囲を見終わってから、最後にまた題名を一つずつ確認しつつ見た。
いやもう、スゴイとしか言いようがないですね。

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モチーフは、顔、アメーバ?、目、ドット、植物?などいろいろで、ありとあらゆるパターン、カラフルな色で描かれている。よくよく見ると、ちょっと怖い作品もあったり、毒々しいものもあったり、暗いものもあったりするが、トータルでは突き抜けた明るさを感じた。

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真ん中に展示されている真夜中の花がまた超ポップで楽しい。
なんとなく、ニキ・ド・サンファルを連想してしまいましたね。
どれが一番お気に入りかなあとぐるぐる回ってみたが、なかなか決められない。
あえて選ぶとしたら、これ。でも、また別の日に見たら変わることだろう。
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2:初期作品
少女時代から幻聴や幻覚に悩んだというが、ごく初期の作品から、シュール。
画家の初期作品はおとなしい作品が多かったりするものだが、全然。なんか悪夢を見ているような雰囲気の絵もあるし。
しかし、すでにこの頃もうドットが現れているんですね(「太陽」)。これがのちにかぼちゃに・・・

3:ニューヨーク時代 1957-73
ニューヨークに移ってはじめて認められたのは、小さな網目状のストロークで埋め尽くしたモノクロームのネット・ペインティング。あ、これは結構好きかも。
突起物をびっしり貼り付けたソフト・スカルプチュアは、はじめはおもしろいかもと思ったが、たくさん見ているとちょっと辟易してくるなあ。
ハプニング(パフォーマンス)アートは、苦手な分野。

4:21世紀の草間彌生(2)
そしてかぼちゃ!
ドットのかぼちゃを見ると、ある意味安心しますね(笑)
2011年の作品という鏡の中を通っていく「生命の輝きに満ちて」も好き。キラキラとキレイ。

5:帰国後の作品 1970-2000
帰国後1970年代の作品はコラージュ作品が多いが、これはなかなかおもしろい。組み合わせが。
その頃の心情を表したのか、ちょっと暗いテーマの絵も多かったが・・・
その後は色がどぎつすぎるくらいのもあったりするが、いやはや圧倒される。
「黄樹」もインパクトあるが、特にリビングルームの方。自分の部屋がこれだったら落ち着かないけれど(笑)、スゴイよ、これ。

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外に展示されていた南瓜。

ともかく圧倒される展覧会です。
是非どうぞ。

2017/04/04

【オルセーのナビ派展】

art-19 【オルセーのナビ派展】 三菱一号館美術館

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上野から東京駅に移動、次に向かったのは三菱一号館美術館。
ナビ派の展覧会である。
ナビ派の中でもドニは大好きな画家なので、逃すわけにはいきませんね。

1 ゴーガンの革命
セリュジェがゴーガンの教えを受けたことから誕生したナビ派。
ということでゴーガンの2枚から。
特に「《黄色いキリスト》のある自画像」を見て、セリュジェの「タリスマン(護符)、愛の森を流れるアヴェン川」を見るとその影響がよくわかる。
セリュジェのこの作品は、ほぼ抽象画のようで、ゴーガンの教えのとおり、見えたように色を塗った絵になっている。
同じくセリュジェの「にわか雨」は浮世絵風である。
一方、ゴーガンの「扇のある静物」とエミール・ベルナールの「炻器瓶とりんご」は親和性がある。

2 庭の女性たち
ドニやボナールは庭の女性というテーマの絵を多く描いている。
ドニの色遣いが大好きなのだが、中でも「鳩のいる屏風」は素敵。「若い娘の寝室装飾のためのパネル」のシリーズも結婚祝いとしてはうれしいだろうなあという作品。今回は9月と10月だったが、他の季節のも見てみたい。
ボナールの「庭の女性たち」の4枚組はポスター的というか装飾的。幸せな空気に満ちた作品。
彫刻家としてしか知らなかったマイヨールの絵もあった。

3 親密さの詩情
アンティミストであるボナール、ヴァロットン、ヴュイヤール。
ボナールの「ベッドでまどろむ女」は「庭の女性たち」とはまったく違う方向性。けだるいというかちょっと退廃的な匂いするする作品である。
近年注目を浴びているヴァロットンも揃っていた。
ヴァロットンの場合、親密といっても、何か一線を画すような、よそよそしさがあるのが特徴で、決して大好きなわけではないのに、ついつい見てしまうタイプの絵なのである。
版画集、アンティミテは白黒であるが故に、よりいっそう感情がないような・・・ちょっと怖い。いや、おもしろいのだけど、胸がざわざわするというか。
ヴュイヤールの「エッセル家旧蔵の昼食」もまた緊張感を強いられる作品。夫婦に会話がなさそうな・・・

4 心のうちの言葉
肖像画、自画像の数々。
なんといっても、ヴュイヤールの「八角形の自画像」がファンキー!髪は黄色、髭はオレンジ。インパクトがスゴイぞ。
ボナールの「格子柄のブラウス」は猫がいいんですね。のぺっとした平面的な絵だし、画面いっぱいに描かれているところなど、日本的と言えようか。
ドニは、いろいろな作品の女性が、妻マルトにそっくりなのだけど、ずばり「婚約者マルト」という作品もあった。幸せいっぱいの様子である。

5 子ども時代
ドニはまた自分の家族を多く書いていて、これまた幸せそう。バラ色がよくマッチしている。
一方、ヴァロットンの(何度も見ているが)「ボール」は不安を感じさせる絵である。ボールを追いかける女の子の背後に迫る木々の影、遠くに見える2人の女性があまりに遠く・・・このあと何かが起こりそうな気のする絵である。
ヴュイヤールの連作「公園」。今回の展示の中で一番気にいった作品である。穏やかな公園の風景。この絵がダイニングやリビングに飾ってあったら素敵だろうなあと思う(もちろん大きな邸宅でですけど)。

6 裏側の世界
ドニはプシュケの物語のシリーズもいいのだが(明るい色がいい)、やはり「ミューズたち」。手前にいるのはやはり奥さんマルトがモデル。ミューズというよりは現実の女性の姿に見えるのだが。
ヴュイヤールの「ベッドにて」は自画像とはうってかわって、白を基調とした絵でこれまた印象に残る絵なのだが、お隣にはこの展覧会一の衝撃が!
彫刻家のナビことラコンブの彫刻、「イシス」である。
そもそも見た目的にイシスには見えないところもなんだが、なぜ胸から赤いものが流れてるのか・・・髪は木になってるし・・・

ナビ派の作品がまとめて見られるいいチャンスです。
是非どうぞ。

2017/04/03

【ティツィアーノとヴェネツィア派展】

art-18 【ティツィアーノとヴェネツィア派展】 東京都美術館

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おとといの土曜日、ティツィアーノとヴェネツィア派展に行って参りました。
翌日で終了ということで混雑が予想されましたが・・・確かに人はたくさんいたものの、ゆったりとした展示だったので、思ったほどストレスなく見ることができました。

まずは、ヴェネツィアの鳥瞰図からスタート。俯瞰図、鳥瞰図は大好き。ついつい長い時間見てしまう。1500年頃の版画だが、この当時からぎっしりと建物があったのだなあということがわかる。

Ⅰ 1460-1515 もうひとつのルネサンス、ヴェネツィア
ヴェネツィア派は、ヴィネツィアとその周辺地域の美術の流派であるが、特徴としては油彩画(湿気が多いのでフレスコ画が難しい)が多く、色彩を重視する。
フレスコ画が多くデッサン重視のフィレンツェ派とは別の路線である。
このパートでは聖母子像が多かったが、まず目を惹くのはベッリーニの「聖母子(フリッツォーニの聖母)」。ティツィアーノの師である。
真っ青な空を背景に描かれる鮮やかな聖母子像。手すりの向こうに聖母子を配する構図はベッリーニが多く描いているという。
その他印象に残った聖母子像は「聖母子と聖ロクス、聖セバスティアヌス」。なぜこの2人が?と思ったが、ペストに関する守護聖人なのですね。よく見るとロクスは足の傷を指し示している。セバスティアヌスが矢がささっても全然平気そうだ。
早速ティツィアーノが1枚。
「復活のキリスト」。ん?しかし、これずんぐりむっくりで全然キリストに見えない(笑)。復活の旗を持ってはいるけれど、勝利を祝う人みたいな?

Ⅱ 1515-1550 ティツィアーノの時代
さて、いきなりの真打ち登場!
「フローラ」である。ウフィツィでも見ているのだが、肌の美しさ!髪の美しさ!マグネットを買おうと思っていたのだが、売り切れ・・・残念。
フローラに感激したところで、衝撃を受ける絵が。
ヴェッキオの「ユディト」である。こんなふくよかな(控え目な表現)なユディト、他に見たことないよ~ちょっと力強すぎないか(笑)
フランチェスコ・ヴェチェッリオの絵が1枚。この人、ティツィアーノの兄だという。へえ、お兄さんがいたのか。はじめて聞いた。衣服がとてもリアルに細かく描かれている、という印象のみ。
そして、初来日というティツィアーノの「ダナエ」。金の雨・・・だけでなく金貨も降り注ぐ。ちょっと艶めかしいダナエだが、体のねじれがちょっと不思議。
ミケランジェロはこの絵の色彩は素晴らしいけれど、デッサン力が足りないと言ったとか・・・
お隣にはティントレットの「レダと白鳥」が。ユピテルつながりで。
ティントレットは、ティツィアーノとともにヴェネツィアでたくさん作品を見たのだが、ティントレットの方がダイナミックだろうか。
「ダナエ」と「レダと白鳥」どちらが好きかと言われたら、うーん、難しいけれど「ダナエ」かな。

Ⅲ 1550-1581 ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼー巨匠たちの競合
ティツィアーノの「教皇パウルス3世の肖像」は、ビロードの衣装の質感がスゴイのだが、若干すり切れているようにも見え、教皇自身もなんとなくくたびれて描かれていて、これって大丈夫だったのかしら?と思ったのだった。
「マグダラのマリア」は後期の作品で、服を着たバージョン。髪が長くて、髑髏、香油壺が描かれているのでマグダラのマリアだなとわかるけれど、わりとおとなしめ。
ヴェロネーゼと助手の「最後の晩餐」は、イエスと同じ皿に手を伸ばしているのでこれがユダかと思ったが、金貨の入った袋がわかりづらかった。
ヴェロネーゼの「聖家族と聖バルバラ、幼い洗礼者聖ヨハネ」は女性の金髪と金の衣装が美しい。
「カナの婚礼」、またルーヴルで見たいなあ。

点数は少なかったけれど、充実した展覧会でした。
(すでにこの展覧会は昨日で終了しています。)

この日の上野公園の桜。
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2017/03/22

【マティスとルオー展】

art-17 【マティスとルオー展】 パナソニック汐留ミュージアム

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【これぞ暁斎!展】を見た後、食事をはさんで、【マティスとルオー展】へ。

マティスとルオー。
全然共通性がないように思えるが・・・
そうでした、2人ともギュスターヴ・モローに学んだんでしたね。
その後、2人はマティスが亡くなる一年前まで、約半世紀にわたって手紙のやりとりをしたり、家族ぐるみのつきあいをしていた、そうである。

第1章:国立美術学校からサロン・ドートンヌへ 1892年~1913年
若い頃の2人の作品はまだまだその特徴が出ておらず、マティスの「モデル」などは、フォービズムのはしりなのだろうけれど、どちらかというとルオーが描きそうだったり、ルオーの作品が師のモロー風だったり・・・
マティスの静物画「スヒーダムの瓶のある静物」はごくごく正統派の静物画である。「ベル=イルの花束」も色こそ結構鮮やかだけれど、画風はまだ穏やかである。

第2章:パリ・ニース・ニューヨーク 1914年~1944年
マティスはニースへと移り、ルオーはパリに残った時代。
ニースの気候に感化されたのか、マティスの絵は一気に明るくなる。それでもまだ「オリーブの並木道」などははっきりとした色調ではなく、自然な明るい光が感じられる作品。
その後室内を描いた作品群では、ややフォービズムの雰囲気を残しつつも、新しいマティスの絵になっている。少しずつ派手な色になっていっている時代。
対するルオーといえば、風景画はみなどんよりと曇り、重苦しい雰囲気が立ちこめる。
そして、道化師やミセレーレ、悪の華などお馴染みの作品が生まれていく。太い線のルオー誕生である。

第3章:出版人テリアードと占領期
まず目に入るのは、ポスターにもなっているマティスの「ラ・フランス」。人形のような女性像だが、これはナチスの侵攻への抵抗の絵としてヴェルヴ誌に描かれたものという。フランスの国旗の色、赤、白、青の三色の服を着た女性で、鮮やか。
対するルオーもヴェルヴ誌で、フランスを救った少女ジャンヌ・ダルクを描いて、抵抗の精神を示している。
2人が表紙を描いたヴェルヴ誌が飾られていたが、こうした雑誌の表紙や、挿絵は、マティスの方が向いていたのではないだろうか。
貴重な展示として、「気晴らし」シリーズの原画である油彩画15点がきており、なかなかにいいですね。タピスリーも2枚あったのだが、タピスリーと油彩画、遠くからみると判別できない(笑)

第4章:『ジャズ』と《聖顔》 1945年~1956年
マティスといえば、ジャズ!切り絵で作られた作品だが、このシリーズ好きだなあ。色が鮮やかで、ポップで楽しい!宇都宮美術館とうらわ美術館、こんなにジャズを持ってたのか・・・
こうして、明るい軽快な方向へ向かっていったマティスに対し、ルオーは宗教的な題材を描いた重々しい作品が多くなっていく。色は鮮やかだけれど、胸にずしりとくるというか。

2人の手紙のやりとりも数多く展示されていて、お互いの友情と尊敬に溢れた手紙がちょっと感動的。

もうすぐ終わってしまいますが、是非どうぞ。
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2017/03/20

【これぞ暁斎!展】

art-16 【これぞ暁斎!展】 Bunkamuraザ・ミュージアム

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ゴールドマンコレクションこれぞ暁斎!世界が認めたその画力展に行って参りました。
暁斎展、数年前に三菱一号館でやった際にも行っているのだが、今回は世界屈指の暁斎コレクターとして知られるイギリスのゴールドマン氏のコレクションを公開するもの。
めったに見られない作品の数々である。

序章:出会いーゴールドマン コレクションの始まり
「象とたぬき」からスタート。
この作品、いったんゴールドマン氏が手に入れたものの手放してしまい、しかし忘れられずに数年後買い戻したという作品。ちっちゃなたぬきを象が鼻でツンツンしている絵でとてもかわいらしい。
そして、蛙、猫、猿、犬などなどの戯画。メダカの学校ならぬ蛙の学校や、鯰を曳くネコの絵など。
暁斎は師匠国芳の影響か、猫好きで自分でもたくさん飼っていたらしい。ちょい目つきの悪いネコもいたけれど、ほのぼのする絵が多い。

第1章:万国飛ー世界を飛び回った鴉たち
三菱一号館の時にはも1枚くらい見たと思うのだが(榮太楼の社長が購入したとか)、今回は実に14枚もの鴉の絵が!ゴールドマンさん、鴉の絵が好きなんですねぇ。
枯木との組み合わせが多かったけれど、ささっと墨だけで描いた鴉もいいし、白い鷺との対照もいい。「雨中鴉」は雨の表現がなかなかに斬新。
「日輪に鴉」は日の出と鴉の組み合わせ4枚。月との組み合わせもあった。

第2章:躍動するいのちー動物たちの世界
ゴールドマン氏は動物画がお好きだったようで・・・
象は実際に暁斎が見にいってスケッチしていたようで、リアリティがあるのだけど、さすがに虎は見たことがなかったか、猫のような虎。
やはりテーマとしてよく描いていた蛙や猫の絵がいいなあ。
あと、気にいったのが「枇杷猿、瀧白猿」。毛並みなど、非常に細かい。
とってもユーモラスなのが「月に手を伸ばす足長手長、手長猿と手長海老」。足の長い人の上に手が長い人が乗り(ありえない!)、その上に手長猿が手長海老を掴んで、必死に海老が月をとろうとしている図。もうちょっとで届きそうだ。
イソップの物語を描いた作品も2点。
「暁斎漫画」の展示もあったが、まるで北斎漫画である。

第3章:幕末明治ー転換期のざわめきとにぎわい
明治に入ると、暁斎の絵にも西洋的なものが描かれていたり(船、電柱)、洋画風の絵も出現。
「各国人物図」では、アフリカ人、弁髪の中国人、西洋人など各国の人物を描かれていて、暁斎の物珍し好きがうかがえる。
「鍾馗と鬼の学校」や、「化々学校」などは、擬人化されていて、なんともいえずおかしい。

第4章:戯れるー福と笑いをもたらす守り神
鍾馗を暁斎はたくさん描いているが(魔除けとして注文がたくさんあったのでしょう)、フツーの鍾馗の絵とは違い、崖から鬼をつるしてみたり、鬼を蹴り上げてみたり・・・鬼と遊んでいるような鍾馗。怖さや威厳はなし(笑)。ユーモアたっぷりである。
「貧乏神」にも笑ってしまった。あまりにみすぼらしい・・・

笑うー人間と性(春画展示)
春画のコーナーもあったが、あくまでユーモラス。

第5章:百鬼繚乱ー異界への誘い
「幽霊図」は、まじめに(?)怖い幽霊だったが、あくまでもおかしみのあるおばけや幽霊たち。「幽霊に腰を抜かす男」は全然怖くない!
「百鬼夜行図屏風」は、屏風いっぱいに妖怪たちがこれでもかというくらい描かれているが、どれも笑っちゃうような妖怪たちである。
「地獄太夫と一休」が2枚。昔、暁斎をあまり知らなかった頃は、暁斎といえば地獄太夫のイメージだった。太夫が羽織る打掛に地獄が描かれているが、まわりでは一休さんも骸骨も踊っていたりして、案外ファンキーな絵である。

第6章:祈るー仏と神仙、先人への尊崇
暁斎は観音や達磨も多く描いていたらしい。
観音様の絵は、しごくまじめ。
山水図も伝統的な絵。
達磨は白穏の達磨につながるものがある。さっと描いていて、筆に迷いがない。

大胆な筆致。
これまたお馴染みのテーマ、寒山拾得はほのぼの系の絵であった。

こう見てくると、暁斎も実に幅の広い絵師ですね。北斎みたい!
暁斎も今後おっかけていきたいなあ。

是非どうぞ。

2017/03/18

【錦絵にみる東京の冬景色展】

art-15 【錦絵にみる東京の冬景色展】 GAS MUSEUM がす資料館

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小平にあるガスミュージアムが錦絵をたくさん所蔵していると聞き、ちょうど東京の冬景色展なるものをやっているとのことなので、車で行ってみた。

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展示されていたのは、ガス灯館2階のギャラリー。
ちなみに外にはいろいろなガス灯が移築されている。パリ、横浜、ロンドンなどなど。

このミュージアムが所蔵しているのは、明治錦絵。400点ほどあるという。

展示は、年の瀬やお正月等の冬の行事を描いた錦絵から。
歳の市、餅つき、はねつき、凧揚げ、出初め式など。
三代広重は見たことがあるが、昇斎一景って誰?なんか聞いたことあるけれど・・・
と思ったら、最近、太田記念美術館で見た歌川広景の後名という説もあると聞いたのだった(展示もあった)。
確かに!
滑稽な風俗画を描くという点では共通する。
今回の展示でも、初卯では馬が暴れて大変なことになっており、亀戸梅やしきでは凧が梅にひっかかってすってんころりんなど。

続いて、雪景色を描いた錦絵。
やはり小林清親ですね。光線画の特徴が出た雪景色。
カラフルな三代広重の東京名勝図会もいい。全部見てみたいなあ。描かれていた犬が応挙の仔犬みたいだ。
清親の弟子、井上安治の東京真画名所図解も美しい。はがきサイズで134枚もあるらしいが、今回は雪景色に絞っての展示。作風は清親に近い。
最後に展示されていたのが、ノエル・ヌエットの2枚。
ヌエットはフランスの詩人・画家・版画家で、幼い頃から浮世絵に親しみ、来日して教鞭をとりながら東京を描いた人だという。
とても繊細な作品で美しい。元々はペンで描いたらしく、彫り師は大変だったとのこと。
以前、このミュージアムでヌエット展をやってるんですね。またやってくれないかなあ。

くらし館では、明治から現代までのガス製品・・・調理器具、暖房などなど。
こういうの昔うちにあったよね~と懐かしい製品もあって、なかなか興味深かった。

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戦前の蟹型ストーブ。かわいい!

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四面式食パン焼き器。おもしろい!

家からわりと近いところにあったのに今まで知りませんでした・・・

2017/03/12

【江戸の絶景 雪月花展(後期)】

art-14 【江戸の絶景 雪月花展(後期)】 太田記念美術館

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山種美術館に行ったあと(この記事、なぜか消えてしまった・・・そのうち気が向いたら復活させるかも?)、太田記念美術館へ。
雪月花の後期展示である。

まずは畳のところから。
蹄斎北馬の「州崎潮干狩の景」。昔からおなじみのレジャーだったんですね。
広重の榛名の三枚。奇岩がおもしろい。

〈雪〉
雪月花のうち、一番好きなテーマは雪かも?
静けさがいいのだ。
広重の「六十余州名所図会 壱岐 志作」は見たことがない風景で、是非いつか行ってみたいなと。
北斎の「諸国名橋奇覧 かうつけ佐野ふなはしの古づ」。このシリーズ大好きなのだけど、案外この雪の風景は印象になかった。
広重の墨田の風景はどちらも好き。

〈月〉
広重の「甲陽猿橋之図」がおもしろい。猿橋は特徴的だけれど、その高さを出すために月を橋の下に描いているのである。
雪も広重ブルーとの対比で美しいが、月夜の暗さとブルーの対比もきれい。「江戸近郊八景之内 玉川秋月」など。
同じく広重の「木曾海道 六拾九次之内 長久保」は月夜にぼんやり浮かぶ橋をわたる一行の様子の表現がおもしろい。

〈花〉
花は一転明るく、ウキウキするような作品が並ぶ。春はやっぱりお花見!
広重の御殿山の花見風景も楽しそうだけれど、歌川貞秀の横浜の新湊の遊郭のお花見が実にきらびやか。
花といっても桜だけでなく、梅もいいですね。
広重の「名所江戸百景」から3点。中でも一番好きなのは「蒲田の梅園」。紅色がきれいなのですね。「江戸近郊名所 海案寺紅葉」は淡い色彩がいい。

〈山と水辺〉
またまた北斎の「諸国名橋奇覧」。「飛越の堺つりはし」。ロープを綱渡りしてるみたいに見える橋。怖すぎる・・・
鍬形蕙齋「江戸名所の絵」。蕙齋は今回も凄かった!細かいよ。単眼鏡を持っていけばよかった。隅々まで見たいけれど、さすがに小さすぎる!
河鍋暁斎「東海道名所之内 那智の瀧」。構図がダイナミック。滝が大きすぎるんだな。暁斎にもこんな絵があったんですねぇ。

〈寺社〉
広重の「相州江之嶋弁才天開帳参詣群集之図」。めったに行われなかったらしい江ノ島のご開帳。揃いの傘を持ったいろいろな集団が一斉に参詣する図。こんなに押し寄せたら、島中人だらけなのでは(笑)。
広重の「山海見立相撲 讃岐象頭山」。確かに象に見える!目のところが金刀比羅宮ですね。

後期も充実していました。
来年度は年間パスポート買っちゃおうかなあ。

2017/02/22

【すみだ北斎美術館を支えるコレクター ピーター・モースと楢﨑宗重二大コレクション展】

art-12 【すみだ北斎美術館を支えるコレクター ピーター・モースと楢﨑宗重二大コレクション展】 すみだ北斎美術館

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すみだ北斎美術館開館記念展Ⅱに行って参りました。
相変わらず、変な建物・・・

今回は3階から展示スタート。この方が動線としてはいいなあ。最後に常設展示を見ればよいので。

1.モースコレクション
北斎研究家で世界有数の北斎コレクターだったピーター・モース氏は、あの大森貝塚を発見したエドワード・モースの弟の曽孫にあたるとのこと。平成5年に亡くなったあと、遺族がそのコレクションをこの美術館に寄贈したということらしい。

春章の弟子として春朗と名乗っていたことの作品からスタート。この時代の作品は、やはり師匠の作風に似ているんですね。
北斎の母親は忠臣蔵で有名な吉良上野介の家臣小林平八郎の孫娘という説があるが、忠臣蔵の絵もあった。浮絵で、遠近感がよく出ている。
「新板浮絵三囲牛御前両社之図」もまた遠近法が使われた絵。カラフルで楽しい絵。この神社、行ってみたいなあ。
「奥州塩竃松島之略図」は俯瞰図だが、細かいこと!岩の一つ一つに名前が書いてあるのだが、小さくて全部は読めない。ホントはじっくり見たかったところ。
北斎漫画はたいていの展覧会で見るのだが、「風流おどけ百句」も同じような楽しい画集。「をどり独稽古」も楽しい。ついつい自分も踊りたくなる(笑)
「略画早指南」。このとおり描くとワタクシでも描けるのだろうか・・・
有名どころでは「富嶽三十六景」と「諸国名橋奇覧」が1点ずつ。
富嶽・・・は甲州石斑沢だったが、摺りがとってもよい。ブルーが美しく出ている。
北斎の花鳥画「牡丹に胡蝶」も摺りがいいですね。花も蝶も風に吹かれる様子が鮮やかに。

2.楢崎宗重コレクション
美術史家で北斎研究家だった楢崎氏のコレクション。
こちらも北斎が満載!かと思いきや・・・
北斎は数点。
それでも気にいった作品はあり・・・
浦和亭の「野ざらし図」。さらさらっと描かれている野ざらし。でも味がある。
高橋由一の作品もあった。「三宅康直像」。やはりリアル。
長澤蘆雪の「洋風母子犬図」は全然かわいくない(笑)。蘆雪らしいといえばそうなんだけど。
熊谷守一の「猫」もかわいくはない。デザイン的。
森寛斎「耶馬溪図巻」。いや、よく描いたな。できれば岩に名前も書いてほしかったところ。
好きな川瀬巴水の「浅草の雪」も久々に見た。

常設展示は一部をのぞいて撮影可なので、数枚撮ってみました。
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次の企画展は何だろう?まだホームページに情報がないのだけれど、多分行きそうな・・・

是非どうぞ。

2017/02/11

【江戸の絶景 雪月花展】

art-11 【江戸の絶景 雪月花展】 太田記念美術館

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先日、ちょっと時間が空いたので、始まったばかりの太田記念美術館の展覧会に行って参りました。
見たことあるのばっかりかな~と思っていたのだけど、そうでもありませんでしたね。

雪、月、花の他、山と水辺、寺社のテーマでの展示。

そのテーマに入る前に、畳のところの展示は、鳥居清長からスタート。確かに月は描かれているけれど、月見図で美人画ですね。優美。
そして、広重(今回、風景画なので、広重の作品が大半を占める)。
日光三滝は始めて見たが、これいいなあ。霧降ノ滝、裏見の滝、華厳の滝の三幅からなるが、どれも特徴を捉えている。よくよく見ると小さく人もいる。
続いての「東都隅田堤・京嵐山大堰川」は美人画。きれい。
「木曽路之山川」、「武陽金沢八勝夜景」、「阿波鳴門之風景」は雪月花をテーマとした三部作。雪山の深々とした様子、月明かり(今や、金沢八景ではこんな景色は見られない)ときて、渦潮が花?花に見立てているんですね。

〈雪〉
広重の「六十余州名所図会 上野 榛名山雪中」
奇岩がおもしろい。
「名所江戸百景 深川洲崎十万」は大変有名な作品だが、どうしても大きな鷲に目がいってしまう。確かにこれは雪の風景なんですね。向こうに筑波山が見える。
同じく名所江戸百景の「びくにはし雪中」。山くじら(猪肉)や十三里の看板が目立つが、ワタクシ的にはお店の前にいる犬がポイント!

〈月〉
めずらしや、国芳があった。「百人一首之内 大江千里」。月暈が描かれている。ちゃんと猫もいる。
広重の「信州更科田毎の月」は田んぼに映る月。こんなに一枚一枚に映る?
「月二拾八景之内 弓張月」は深い谷間、橋の下の弓張り月だが、こんな風に見えることある??滝もおもしろい。
お馴染み「名所江戸百景 京橋竹がし」もあった。これを見るとホイッスラーを思い出す。

〈花〉
お花見の絵はどれも華やか。そして、人々が楽しそう。
広重「江戸近郊八景之内 小金井橋夕照」はうちの近くだが、こういう風景は見られるかなあ。今度歩いてみよう。
今回、滝の絵とともに気にいったが、広重の「江戸近郊名所 萩寺」。淡い色彩のとても美しい絵。水彩のよう。

〈山と水辺〉
北斎が連続して現れた。
「諸国名橋奇覧」。これ好きなシリーズ!
特に山奥の橋がいいですねぇ。今回出ていたのでいうと「足利行道山くものかけはし」。
「琉球八景」のシリーズはちょっとエキゾチック。
広重の六十余州名所図会では「美濃 養老ノ瀧」の斬新なデザイン性がいいが、「讃岐 象頭山遠望」も好き。金比羅が象の山だったのか!
鍬形蕙齋「日本名所の絵」は日本全体の俯瞰図なのだが、なんと細かいこと。細かすぎてわからない(笑)。虫眼鏡が必要だよ。

〈寺社〉
広重の「相州江之嶋弁財天開帳詣本宮岩屋の図」。すごいデフォルメ!こんなじゃないよ、江ノ島(笑)。人が海に落ちそう・・・
「五十三次名所図会 関」はブルーが美しい。東海道五拾三次の関とはずいぶん違うなあ。

風景画好きのワタクシとしてはうれしい展覧会でした。
後期も行こう!

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