文化・芸術

2025/05/07

【オディロン・ルドン―光の夢、影の輝き展】

art-10【オディロン・ルドン―光の夢、影の輝き展】

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オディロン・ルドン展に行って参りました。
岐阜県美術館の作品を中心として、黒の時代から色彩豊かな光の時代まで網羅した展覧会。

プロローグ:日本とルドン
日本にルドン作品をもたらしたのは児島虎次郎。梅原龍三郎、中川一政、岡鹿之助等がルドン作品を所有していたとのこと。
今回、竹内栖鳳が所有していた作品などが展示されていた。

第1章 画家の誕生と形成 1840-1884
ルドンはパリでジェロームに学び、その後はブレスダンからは銅版画を学ぶ。ということで二人の作品の展示もあった。ブレスダンの版画はなかなかに細かいですね。
ルドンの石版画集の紹介が続く。
「夢の中で」「起源」何度も見るうちに慣れてしまったのか、あまりグロテスクには感じなくなったけれど、奇妙なモチーフばかりで、不気味さはある。怖いわけではないし、時にはユーモラスでもあるけれど、結局これはなんなのだろうと考えてしまう絵も・・・
「気球」では、気球が数年前に発明された電球のような形をしていたりで、新しもの好きだったのかも??

第2章 忍び寄る世紀末:発表の場の広がり、別れと出会い 1885-1895
あいかわらずモノクローム作品を描いていたルドンではあるが、次第に、黒だけはなく光も描くようになっていく。「光の横顔」など明るさを感じる。
この時代の作品で好きなのは、「蜘蛛」。ユーモラスな作品だ。
「まなざし」は木炭だけでなくパステルも使用。
読書がテーマの2作品もよかった。

第3章 Modernist/Contemporarian・ルドン 新時代の幕開け 1896-1916
いよいよ、パステル画、油彩画の明るい時代へ。
「眼をとじて」リトグラフ2作のあとの油彩は、なんともいえない色合い。
スフフィンクス、オフィーリア、ヴィーナス、アンドロメダ・・・
こうしたテーマの絵もひたすら明るい。
素敵だったのは、花の絵7点が並んだ小部屋。花は妻が用意したり別荘の庭に咲いたものだったりしたそうだ。パステル画の美しさ全開。これが三菱一号館のグランブーケへとつながっていくのだなあと。
もう一つの「眼をとじて」は花も描かれていて、違った味わい。
ステンドグラスを描いた「窓」もいいなあ。

また岐阜県美術館にも行ってみたい。
是非どうぞ。

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2025/05/05

【西洋絵画、どこから見るか?展】

art-9 【西洋絵画、どこから見るか?展】 国立西洋美術館

 

アメリカ、カリフォルニア州のサンディエゴ美術館所蔵の作品と西洋美術館所蔵の作品を、作家ごとやテーマごとに比較しつつ展示する展覧会。
全作品、撮影可能。

第1章 ルネサンス
ⅰゴシックからルネサンスへ

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ジョットの「父なる神と天使」からスタート。三角形なのは祭壇画の一部だかららしい。

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フラ・アンジェリコ「聖母子と聖人たち」。フィレンツェのサン・マルコ美術館でフラ・アンジェリコの作品をたくさん見て以来、好きな画家で、見られてうれしい。
シニョレッリ「聖母戴冠」。色が鮮やか。

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ルイーニ「マグダラのマリアの回心」。マグダラのマリアにはいまいち見えないけれども、レオナルデスキと言われただけあって、ダヴィンチ風(ヨハネの絵に似ている気が)。
「聖母子」2枚。サンディエゴのクリヴェッリのマリアがちょっと不幸せそうに見える・・・

ⅱヴェネツィアの盛期ルネサンス

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カテーナの2作品。サンディエゴの「聖家族と聖アンナ」の方が好き。
ティントレット2作。いつも常設展示でみる「ダヴィデを装った若い男の肖像」の筆の細かさに感心するが、サンディエゴの「老人の肖像」の髪や髭の筆致もすごい!

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ヴェロネーゼの2作品では、西洋美術館の作品の方が美しいけれど、「アポロとダフネ」も劇的な場面が描かれていてなかなかだ。

ⅲ北方ルネサンス

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ヒエロニムス・ボス(の工房)「キリストの捕縛」。なんとも奇っ怪な絵。さすがボス(の工房)。真剣な場面なのに、笑ってしまうような・・・

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クレーフェ「三連祭壇画:キリスト磔刑」はいつもおなじみの作品。
ベルメホ「聖エングラティアの捕縛」。この聖人は知らなかった。

第2章 バロック
ⅰスペイン

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ファン・サンチェス・コターンの「マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物」。この人の実作を見るのは初めてだと思う。構図がいいですね。しかし、キャベツって吊すだろうか、そしてメロンってこんな切り方するだろうかなんてことが気になる。

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静物画だけじゃなくて宗教画を描いているんですね。今回きていたのは「聖セバスティアヌス」。矢の数少なし。

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スルバラン「神の仔羊」。宗教画だと思うのだが、静物画のようででもある。

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他、スルバランは4点。一番好きなのは「聖母子と聖ヨハネ」。色が鮮やかで。

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エル・グレコ「改悛する聖ペテロ」。ドラマティックだ。

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ムリーリョ「悔悛するマグダラのマリア」光と影の表現が素晴らしい。

ⅱイタリア、フランス
リベーラが3作品。うち1点は西洋美術館蔵だけど、あまり記憶になく・・・

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「スザンヌと長老たち」が、なんか妙に生々しく・・・カラヴァッジョ的な明暗の表現・・・なるほど。

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シモン・ブーエ2点。バロック絵画をフランスに伝えた画家。劇的な表現、体の動き。

ⅲフランドル、オランダ

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ルーベンス3点。「眠る二人の子ども」はいつみてもかわいいなあ。サンデイエゴの2点は小さな作品だが、構図はダイナミック。

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花の静物画のセーヘルスが共同制作した作品2点。それぞれ聖家族と聖母子が描かれる。当時こういうのがはやってたんだろうか。

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オランダ市民とその生活というテーマでサンディエゴの作品数点。意外と風俗画は好きだ。
ロイスダール2点。2つとも天候がこれからかわりそうな感じ?人物が小さい。

第3章 18世紀

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ベルナルド・ベロット「ヴェネツィア、サン・マルコ湾から望むモーロ岸壁」、フランチェスコ・グアルディ「南側から望むカナル・グランデとリアルト橋」はヴェネツィアを描いた作品。細かい筆致で描かれた風景画。ベロットはカナレットににているなと思ったら弟子なのでした。
現実でない風景、廃墟を描くのはロベール。

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ゴッビス「賭博場」はだたならぬ雰囲気が漂う。
よく見るカペの「自画像」は優美。

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ブノア「婦人の肖像」。カペとは違ってきっちり描くタイプ。この頃女流画家が少しずつ増えてきていたのですね。

第4章 19世紀

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ドーミエ2点。風刺版画ではなく油彩。まあちょっと風刺画的な要素はある。

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ブーグロー2点。サンディエゴの作品の方が好き。

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垣根がテーマの2点。ピサロとロビンソン。こういうくくりおもしろいな。

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ソローリャ3点。明るい日差しが印象的だ。
ドガとロートレックの並びもおもしろい。

追加出展として、常設展示の中に5点あった。

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この中で一番きになったのは、アングルの習作。へえこれがアングルなんだと思いました。

サンディエゴ美術館の作品だけでなく、西洋美術館のおなじみの作品も楽しめた展覧会。
是非どうぞ。

2025/04/29

【ミロ展】

art-8 【ミロ展】 東京都美術館

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スペインの画家ミロの大規模な回顧展。
バルセロナのミロ美術館でたくさん作品を見たけれど、この展覧会もなかなかの充実。

第1章 若きミロ 芸術への決意
「自画像」からスタート。色がまるでもたれる人で、キュビズムっぽい感じ。「スペインの踊り子」とともに、ピカソが生涯手元に置いていた作品だそう。
そのあとの風景画は、まずセザンヌ!そしてフォービズムの影響を受けている。
かと思えば「ヤシの木のある家」はナイーブアート的。でもこれがのちのミロにつながる・・・気もする。
静物画はマティスっぽい感じだ。

第2章 モンロッチ―パリ 田園地帯から前衛の都へ
ここからがよく知っているミロとなる。
青、白、赤、黒。
何を描いたものかついつい解明しようとしてしまうけれど、わかるものもあれば全然わからないものあり・・・題名を見ずにまず絵をみていると全然違うということも・・・まあ人それぞれの解釈でよいのだと思う。
「栗毛の彼女を愛する幸せ」背景は栗色だけれど、栗毛なの?
「セイレーン」頭に魚がついているけれど、これは?
などと疑問を呈しながら見ていくのも楽しい。
今回一番気に入ったのが「オランダの室内Ⅰ」。
ミロがオランダ、ベルギーを旅した際に購入したソルフ「リュートを弾く人」を元にした作品だけれど、だんだん変形して作品が形作られていく過程がおもしろい。マグネット購入。
「プロイセン王妃ルイーゼの肖像」これ、怒られたりしなかったんだろうか・・・

第3章 逃避と詩情 戦争の時代を背景に
スペイン内戦がおこってノルマンディーに移り住んだミロ。
この時期、コラージュやオブジェなど実験的な作品も多数。
まあでも、フツーの絵画の方がいいかな。
そして「絵画」というタイトルのシリーズ。線は明確にミロだ。
「絵画(カタツムリ、女、花、星)」は実はどこがカタツムリなのか花なのか考えてしまうのだけれど、色と形がいいですね。タペスリーの下絵と聞いて納得だ。
23点ある星座シリーズのうち3点が来日。戦禍を逃れつつ、星や音楽をテーマとしたシリーズである。
3点どれもいいのだが・・・
「明けの明星」はまさに夜明け。徐々に明るくなっていく様がわかる。明るくなって、得たいのしれない生き物が夜に戻っていくかのような。
「女と鳥」音符やト音記号のようなものが見える。夜にひっそり行われた演奏会のイメージ。
「カタツムリの燐光の跡に導かれた夜の人物たち」月夜で踊る人たちだろうか。

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結局発行はされなかった切手のデザイン「スペインを救え」もビビッドでよいのだが、ポスターなんかもいいですね。ミロのこの色が目に飛び込んでくるので・・・
孫に描いたという「絵画(エミリ・フェルナンデス・ミロのために)」は柔らかな印象を受ける。

第4章 夢のアトリエ 内省を重ねて新たな創造へ
第5章 絵画の本質へ向かって

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「白地の歌」踊ってる感じ。音楽のイメージなのか。

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「火花に引き寄せられる文字と数字」数字と文字が躍る。

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彫刻などはちょっと岡本太郎を連想する。

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「太陽の前の人物」これはまさに仙厓の○△□だ。

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「月明かりで飛ぶ鳥」オレンジと鉛筆に見えてしまったけれど、この色好きだな。

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「にぎやかな風景」この頃からインクを飛び散らせてみたり、手で描いてみたりしてるんですね。

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「焼かれたカンヴァス2」絵を描いた後カンヴァスを切ったり焼いたり・・・前衛的だけど、ここまでする必要あったのか?

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「絵画7」干物に見えるんだが、あるいは鮭??

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「花火」最晩年の作品だが、絵の具をどばっと置いてキャンバスを立てかけて絵の具を垂らすという手法。赤青黄色がなかったら、なにか前衛的な襖絵にも見えなくはない。年取ってパンクになるミロ・・・

若い頃から晩年の作品まで網羅され充実した展覧会。
是非どうぞ。
(一部撮影可です。)

 

 

 

2025/04/27

【春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵展】

art-7 【春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵展】 府中市美術館

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府中市美術館恒例、春の江戸絵画まつり、今年は洋風画の司馬江漢と亜欧堂田善の特集である。前期は行きそびれてしまったのが残念だったが、後期はなんとか行くことができた。
ここの美術館では、2001年に司馬江漢、2006年に亜欧堂田善の展覧会をやったそうだが、それほど人がこなかったらしい・・・おもしろいと思うけど、やはり地味なのかな?

まずは序章として江戸絵画入門からスタート。
ごくごく普通の日本絵画から。やまと絵の住吉派の住吉広行「三佳節之図」などとても雅だなあと思ったり。若冲や仙厓もあったりする中で、1点司馬江漢の絵が。掛け軸で、これが油絵とは!薄く塗っているのでそれほど違和感はない。
平賀源内が洋風画の源流にいたというのははじめて知った。源内が蘭書などから西洋の絵画の知識を得て、秋田藩の小田野尚武や藩主の佐竹曙山に伝授されたというのである。この二人の絵の展示があったが、陰影の付け方など洋風な感じだ。

司馬江漢
江漢は、鈴木春信の弟子として浮世絵師からスタート、南蘋派に入門して中国風の花鳥画を描いたのちに、洋風画を描くようになったのだそう。南蘋派の時代はごくごく普通な感じなのだけど、次第に洋風画へ。
風景画こそ司馬江漢!空が広く、遠くの風景を描く遠近法。ただ、向こうに見える景色が洋風だったりして、なんか不思議。波の表現とかもおもしろい。
七里ヶ浜は繰り返し描いた題材で、何点もあったが、司馬江漢というとこの絵のイメージなんですね。見比べると、富士山の位置や烏帽子岩の位置が違ったりしている。
今回見て気に入ったのは、風景図巻、三囲雪景図(雪景色きれい)、そして寒柳水禽図。浮世絵的な構図だけれど、遠近感がすごいし、奥の景色はどうみても日本ではない??不思議な絵だけれどなんかよいのだ。
「墨竹図」や「芭蕉蘇鉄図」などは水墨画のようだけれど、どこか違ったり。

亜欧堂田善
さらに不思議な絵なのが亜欧堂田善。
田善も七里ヶ浜を描いているんだけど、人物がかなり不思議なのと、ちょっとペタっとした塗りなのかな。「三囲雪景図」もなんとなく平坦な感じ。
人物が特徴的なのは、今回のメインビジュアルにもなっている「両国図」。これお相撲さんなんですねぇ。インパクト大だ。
「海浜アイヌ図」などもそうだけれど、田善は人物の立たせ方がおもしろいのだ。
田善は銅版画もたくさん手がけているが(独学だったらしい)、細かい!これはすごい。「新訂万国全図」、ずっと見ていても飽きないな。

かっこいい・・・というより不思議、おもしろい洋風画。
是非どうぞ。

 

2025/03/02

【少女たち展】

art-5 【少女たち展】 三鷹市美術ギャラリー

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京都の老舗画廊、星野画廊が発掘した画家たちの絵。しかも少女を切り口とした作品で構成された展覧会。

第1章 明治の少女たち
笠木次郎吉は府中市美術館でも見たことがあるが、まとまって見たのははじめてかも。庶民の子供たちを描いているけれど、きれいな絵に仕上がっている。これ水彩画なんですねぇ・・・

第2章 四季のうつろいの中で
北野恒富以外はほとんど知らない画家さんの絵が並ぶ。作者不詳のものも。
作者不詳(数馬)の作品「窓辺御簾美人」が特にお気に入り。描き表装というもので、絵の中から御簾をあげて美人が姿を現すという・・・おもしろい。
島成園の美人画もいい。
松村綾子「薫風」はシャガール的。

第3章 大正の個性派画家たち
今回のメインビジュアル岡本神草の「拳の舞妓」。不気味!目を引く作品ではあるけれど・・・
甲斐荘楠音もまたこの系統かな。
初期の秦テルヲは暗いというか、怖いというか・・・

第4章 夢見る少女たち
松村綾子の「少女・金魚鉢」。これはシュールな感じ。
幸田暁冶「双子」。なんとなくぞくっとくる作品だ。
「舞」はなんとジャネット・リンを描いているとか。

第5章 歴史画に見る少女たち
紫式部や楊貴妃など。

第6章 慈しむ母として
がらりと作風を変えた秦テルヲ。うってかわってあたたかみのある画風である。

第7章 モダンガール
谷出孝子「C嬢(モスリンの着物)」。これはセザンヌ!キュビズムのはしりという感じだ。
中西利雄「花の少女」。これこそモダン!
島崎鶏二「朝」。島崎藤村の次男だそう。なんかバランスが悪くて不思議な感じ。
里見勝蔵「顔」。ヴラマンクと交流があっただけあって、フォービズムだ。

第8章 日仏画家の競艶
コランなど日本人画家の師匠だった画家の作品もあり。
太田喜二郎「花摘み図」。ベルギーで学んだ画家とのことだが、点描っぽい印象派。これ、好きだな。
この章の作品はどれもよかったです。

知らない画家がほとんどでしたが、見応えあり。
是非どうぞ。

2025/02/14

【魂を込めた 円空仏―飛騨・千光寺を中心にして―展】

art-4 【魂を込めた 円空仏―飛騨・千光寺を中心にして―展】 三井記念美術館

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美濃生まれの江戸時代前期の僧、円空の作った円空仏を展示する展覧会。
高山市の千光寺が所蔵する円空仏を中心とした展示である。

円空は生涯に12万体の仏像を彫ったと推定され、現在まで約5300体以上が発見されているという。

展示室1
「地蔵菩薩立像」からスタート。ごくごくシンプルな作りだけれど、これぞ円空仏。
「迦楼羅(烏天狗)立像」「迦楼羅像」。特に後者はちょっとハシビロコウに似てるような・・・
「愛染明王坐像」。怒ってる表情なんだろうけれど、でもちょっと笑ってるみたい。
白山信仰の神の数々。「白山妙理大権現坐像」は装束が彩色されてるようだ。

展示室2
「柿本人麻呂座像」のみ展示。
柿本人麻呂は円空にとっての歌の神。まるで神のように彫っているのでしょう。服のひだが印象的だ。

展示室3

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「護法神立像」と「金剛神立像」。
高山市の千光寺と飯山寺に2体ずつ現存。同じ材木から彫ったとの伝承があるそうだけれど、同時期に作られたんでしょうね。似ている。

展示室4
「円空画像」。こんなお顔だったんですか。

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今回のメインビジュアル、「両面宿儺坐像」。
2つの頭に四本の手。どちらも怒っているようなでも微笑んでいるような・・・
「不動明王立像及び矜羯羅童子立像・制吒迦童子立像」がいくつか。不動明王も決してすごく怖くはないですね。

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三十三観音、大迫力。実際は31体だそうだけど、みな表情も違うし、大きさも違うし。個性豊かで見飽きない。
十一面観音菩薩は上にあるお顔、よく彫ってあるなあと。

展示室5
稲荷神の数々。
狐に見えるのもあるけれど、むしろ鹿?と思えるのもありますね。
狛犬はちょっとイメージしたのと違いました・・・
「阿弥陀如来坐像及び二十五菩薩立像」。この25の菩薩立像がワタクシのイメージしていた円空仏に近いかな。
なにせ、今回は大きい作品が多く、こんなに大きな作品も結構あったのねと言うのが驚きだった。

展示室7
千手観音が素晴らしい!
もちろん千あるわけではないけれど、かなりいい再現度だ。
となりにあるのが龍頭観音菩薩立像。龍が意外とおちゃめ。龍信仰が盛んだったのだろうか。
宇賀神はちょっと不気味・・・

今までに見たことがなかった円空仏が見られてよかったです。
是非どうぞ。

2025/01/13

国立西洋美術館 初展示&新収蔵作品

モネ展を見た後は常設展示へ。

初展示&新収蔵作品を紹介。

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ルドヴィーコ・カラッチ「ダリウスの家族」
アレクサンダー大王に滅ぼされたダリウス家の女性たちを描いた作品。

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ラヴィニア・フォンターナ「アントニエッタ・ゴンザレスの肖像」
多毛症の少女を描いた作品。この当時は病気とは認識されてなかったのかもしれない。

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ルイ=レオポルド・ボワイー「トロンプ・ルイユ:クリストフ=フィリップ・オベルカンフの肖像」
版画のように見えて油彩画。こういう手法がはやったのですね。

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ポール・ゴーガン「サン=トゥアン教会」
ゴーガンらしからぬ正統派な作品。

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ジョルジュ・ブラック「パイプのある静物」
パイプにもレモンにもグラスにも形がある!キュビズムじゃない作品。

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パブロ・ピカソ「小さな丸帽子を被って座る女性」
これはドラ・マールですね。

他に学士会館にあったシニャックの絵があったけれど、寄託作品のため撮影禁止でした。好きな絵です。

 

2025/01/12

【モネ 睡蓮のとき展】

art-3 【モネ 睡蓮のとき展】 国立西洋美術館

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大人気のモネ展に行って参りました。
予約して行ったのですが、入場するのにも時間がかかりました。

第1章 セーヌ河から睡蓮の池へ
モネがジヴェルニーに移住したあとのセーヌ川を描いた作品から。
西洋美術館にある「陽を浴びるポプラ並木」「舟遊び」。いつも常設展でみる作品だけれど、あらためて見ると、水面に映る風景がポイントなんですね。
マルモッタン美術館所蔵の作品も、綺麗だなあ。
一見睡蓮とは関係ないようなチャリング・クロス橋の連作。もやっとした橋と空と水蒸気だけでなく、川・・・水も描かれているというのが共通項。
睡蓮も8点。初期の睡蓮はかなりくっきり鮮やかに描かれている。

第2章 水と花々の装飾
モネが装飾画のために描かれた作品。
睡蓮以外の花も使うはずだったという(結局つかわれないものも)。
西洋美術館にもあるアイリスが4点。水面も描かれているのだけれど、視点が違うのかな。空に見えたり・・・
「藤」2点は横に長い大きな作品だけれど、藤にはないような色も使われている。目が見えにくくなった影響だろうか。でもなかなかよい。

第3章 大装飾画への道
オランジュリーの展示室の再現が素晴らしい。
混み混みで全体を見回すことができなかったのが残念だ。

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西洋美術館2点をのぞいてすべてマルモッタン美術館の作品で(マルモッタンは3回行っているのだけど、個々の作品はおぼえているはずもない)、バラエティに富んだ睡蓮だ。
睡蓮がもちろん主役だけれど、水面に映る柳も立派な主役。

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中でも一番気に入ったのが「睡蓮の池」。睡蓮の葉が黄色、花の赤との対比もあって、明るい絵だ。

第4章 交響する色彩
日本の橋(太鼓橋)の連作。
目が悪くなった晩年の作品だけに、強烈な色彩と粗い筆致で強烈な印象。ほぼ抽象画である。
それでもかなりわかる絵と、題名がなければ何を描いたのかわからない絵もある。でもこの連作、意外と好きだ。
枝垂れ柳も数点。幹を描いてる作品もあったんですね。
「ばらの庭から見た家」の連作もわかりづらい。ジヴェルニーで見ているのでなんとなくはわかるけれど。
この章はかなり強烈だ。

エピローグ さかさまの世界
最後は柳が主役の作品2点。
特に「枝垂れ柳と睡蓮の池」は柳の存在に圧倒される。

モネ尽くし。
充実した展覧会でした。
是非どうぞ。

2025/01/05

【総合文化展】

art-2【総合文化展】 東京国立博物館

博物館に初もうで展を見たあとは常設展示を見ます。
以下、気に入った作品を(同じのチョイスしちゃったりするんだけど・・・)。

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いつも踊る人々と猿がお出迎えしてくれるのだけど(埴輪展で見たばかり)、今回のスタートはハート形土偶。

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埴輪 太刀を佩く男子。

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富嶽図、古柏蒼鷹図、茄子図。めでたい!

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織部扇型向付。

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いつもなんか笑っちゃう立林何帠「松竹梅図屏風」。マッシュルームみたい。

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曾我蕭白「松鶴人物図屏風」。蕭白が描くとなんか普通と違う・・・

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色絵寿老置物。

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俵屋宗雪「龍虎図屏風」。虎がやっぱり猫。

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狩野山雪「山水図」「林和靖図」。三幅で雪月花に。

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宋紫石「日金山眺望富士山図」。手前のプリンみたいな山はなに?

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富士山の決定打はこれ。
仙厓義梵「富嶽図」。お城が兜みたい・・・シンプルさがいいですねぇ。

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酒井抱一「扇面雑画 蝶と猫」。

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増山雪園「四季花鳥画帖 梅花雪」の麒麟と鳳凰。

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歌川広重「東都名所雪の三景・隅田川のはつゆき」。ブルーがいいなあ。

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歌川広重「雪中椿に雀」。

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前田青邨「都(京名所)八題」。墨のいろいろな可能性を感じますね。

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平櫛田中「森の仙人」。これははじめて見たかも?

やはり時々みたい常設展でした。

 

 

2025/01/04

【博物館に初もうで展】

art-1 【博物館に初もうで展】 東京国立博物館

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去年は行きそびれたトーハクの博物館に初もうで。
今年は行って参りました。
蛇だと、不気味だったり怖かったりしないだろうかと思いつつ・・・

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キティちゃんは相変わらず大人気ですね。

第1章 シンボルとしてのヘビ

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ヘビ体把手。小さな土偶みたい。

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エジプトの冠断片。コブラだ・・・

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山本芳翠「エデンの園」。よくよく見ると暗い中にヘビが。

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ヴェレットリのアテナ。兜の上にとぐろを巻いたヘビ。

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祖霊像。アフリカのものかと思ったら台湾。プリミティブな感じ。

第2章 ヘビのかたち

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蛇型土偶。素朴。

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蛇型容器。お酒でもいれるのかな?それにしては小さい?

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色絵虫魚浮彫飾皿。ちょっと派手すぎるかな。これ、ドイツのものなんですね。

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南瓜蛇木彫根付。かぼちゃの方が存在感あり。

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蛇木彫根付。結構リアル。

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自在置物。この方がもっとリアル。

第3章 ヘビと祈り

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十二神将立像(巳神)。 凜々しい。上にちょこんとのったヘビ。

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水滴。亀の上に乗っている。

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弁財天座像。蛇、関係ある?と思ったら弁財天の上に宇賀神様が。鎌倉時代に同じ福徳の神と結びつくようになったらしい。

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渓斎英泉「胆松に白蛇」。白蛇って縁起がいいんですかね。

第4章 物語のなかのヘビ

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歌川豊国「素戔嗚尊」。八岐大蛇を退治したんでしたね。蛇というより龍に見えるけど・・・

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葛飾北斎「雉子と蛇」。てっきり蛇に雉子がやられるかと思いきや・・・

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葛飾北斎「百物語・さらやしき」。首が蛇・・・気持ち悪いといつも思う。

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土佐光信「清水寺縁起絵巻 巻下」。これも顔が龍だな。

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歌川国芳「真勇鏡・きよ姫」。これ、怖い話・・・焼き殺すって・・・

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環城楽図額。蛇がちっちゃくてかわいい!

へびといってもいろいろ。楽しめました。
是非どうぞ。

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