文化・芸術

2018/10/16

【フェルメール展】

art-30 【フェルメール展】 上野の森美術館

1810161
東京駅から上野へ移動、フェルメール展を見ました。

今回の展覧会は日時指定入場制。
数ヶ月前の発売日直後にネット購入。
2500円とちょっとお高いチケットだけど、ブックマークと音声ガイドがついている。
ワタクシが購入したのは3時から4時半までの入場チケットだったが、4時頃到着。さすがに入場に列はできていませんでした。中は混み混みだったけれど・・・
見終えて出るとちょうど5時で、5時からの人たちが長蛇の列が。少し遅めの時間に行くのがよいのかも?

第1章 オランダ人との出会い:肖像画
フェルメールと同時代のオランダの画家の絵がたくさんきている。フェルメールだけじゃあさすがに成立しませんもんね。
ますは肖像画から。
フランス・ハルスによる夫妻の絵。堂々としている。
ヤン・デ・ブライの「ハールレム聖ルカ組合の理事たち」はこの組合に架けられた絵なのだろう、立派に描かれている。

第2章 遠い昔の物語:神話画と宗教画
ベイレルト「マタイの召命」。この題材だとカラヴァッジョの絵を思い出すが・・・カラヴァッジョの方が正直なところ出来はいいと思うが・・・この作品もカラヴァッジョのような光と影を意識している気はする。
モレールセの「ヴィーナスと鳩」は女神というよりフツーの女性のような・・・
「洗礼者ヨハネの斬首」と「ユーディットとホロフェルネス」が並んでいるのはなんとも・・・ヨハネはもう斬られたあと、ユーディットはまだ今から。

第3章 戸外の画家たち:風景画
「トビアと天使のいる風景」はどちらかという宗教画、モレナールの「宿屋デ・クローンの外」はどちらかというと風俗画の範疇に入るような・・・
当時海景画はよく描かれたようだが、「捕鯨をするオランダ船」がちょっと変わっている。鯨の他、ホッキョクグマやセイウチもいるのだ。
教会の絵では「ユトレヒトの聖母教会の最西端」がいい。

第4章 命なきものの美:静物画
3点のみ。
「野ウサギと狩りの獲物」がちょっと生々しい。
よれよれになった書物が描かれているヘームの「書物のある静物」がいいなあ。

第5章 日々の生活:風俗画
レイステル「陽気な酒飲み」。楽しそう。
ダウ「本を読む老女」。老女の顔や手のしわがリアルでびっくりなのだが、老女が持つ聖書の文字が全部見えるという!
メツーのついになった「手紙を読む女」、「手紙を書く男」。なんとなくフェルメール風?この題材は当時よく描かれたのかもしれない。女性が来ている黄色の服はフェルメールがよく描いた服にそっくり。
ヤン・ステーン、ピーテル・デ・ホーホは好きな画家。

第6章 光と影:フェルメール
1階はフェルメールのみ。なんと8点!
「マルタとマリアの家のキリスト」。フェルメールのもっとも大きな作品。初期は宗教画も描いていたんですね。一見してフェルメールとはわからないのだけど・・
「ワイングラス」。いろいろな寓意が込められた作品。ステンドグラスまでも。
「リュートを調弦する女」。女性が何を思って何を見ているのか想像をかきたてられる絵。壁には地図が。
「真珠の首飾りの女」。左からさしこむ光、黄色いコート。フェルメールお得意の絵。
「手紙を書く女」。これまた黄色いコートの女性が、なぜかカメラ目線で(笑)手紙を書いている。なんかうれしそう。
「赤い帽子の娘」。初見。一瞬男性かと思ったが女性。帽子が目立つ。顔と服に光りがあたっているのが印象的。
「手紙を書く婦人と召使い」。いつもこの召使いが何か企んでいるように思えて仕方ない・・・
「牛乳を注ぐ女」。もちろん、女性もよく描かれているのだけど、テーブルの上のものや注がれる牛乳がなんとリアルなことか!

こんなに一度にフェルメールを見られる機会はないですね。
是非どうぞ!

2018/10/15

【横山華山展】

art-29 【横山華山展】 東京ステーションギャラリー

1810151
江戸後期、京都で活躍した人気絵師、横山華山。かつては有名だったのもかかわらず、今では忘れられてしまった絵師にスポットをあてた展覧会に行って参りました。
そんなに混んでないかなと思いきや・・・
先週の美の巨人たちで取り上げられたからか、かなりの混雑。
いやでも行ってよかった!と思った展覧会でした。

1 蕭白を学ぶ -華山の出発点-
華山は西陣織の横山家の分家の養子となっていて、横山家が曽我蕭白のパトロンだったこともあり、蕭白の大きな影響を受けている。
若い頃の絵は蕭白のような絵。
四季山水図はまさに蕭白に倣った絵であって、荒々しく、奇妙にデフォルメされた風景が描かれる。
「蝦蟇仙人図」は蕭白と華山が並んで展示されていて、一瞬間違い探しかと思ったが・・・やはり違うんですね。華山の方が少し柔らかかなと。

2 人物 -ユーモラスな表現-
「唐子図屏風」、「唐子遊戯図屏風」が楽しい。楽しく遊ぶ唐子たち。いたずらっこっぽい表情がいいですね。
張飛、関羽、鍾馗図などは迫力があるし、寿老人、大黒天、布袋などはとってもユーモラス。

3 花鳥 -多彩なアニマルランド-
動物の画もいい。
虎はやはり?というべきか、猫よりだけど(笑)、毛を描くタッチが結構リアル。
「松竹梅・鶴龍虎図」は松竹梅と鶴龍虎をあわせた画だが、おもしろい組み合わせだ。
「蝦蟇図」は酒の席でこわれてささっと描いたものだそうだが、ふくらんだおなかが楽しい。
一番気に入ったのは「雪中烏図」。白と黒のコントラスト、静かな風景がよい。

4 風俗 -人々の共感-
華山といえば風俗画だそうで・・・
部屋に入ってパッと目に入ってきたのが「紅花屏風」(14日までの展示でした)。
紅花の種まきから収穫、出荷までが描かれているのだけれど、実に220人あまりの人が描かれていて、みんな表情豊か。働く人、くつろぐ人、遊ぶ子供、喧嘩する人たち、おやつを食べる人・・・これは楽しい絵だ。
楽しそうな人たちといえば、「花見図」も。花そっちのけで飲み食いを楽しむ人たち。今も昔も同じですね。
華山の弟子、小澤華嶽の「ちょうちょう踊図屏風」がまたおもしろいこと。なぜかみんな仮装して踊っているんだけど、なんでこの仮装?と思ってしまう。昆虫やらかたつむりやら天狗や魚?かなりシュール。
「天明火災絵巻」は逃げ惑う人々の姿が真に迫る感じ。

5 描かれた祇園祭 -《祇園祭礼図巻》の世界-
上下巻30メートルにわたる祇園祭を描いた図巻。これをなんと全編公開!
よく描いたな~
なんと細かいことか。構図もよく考えられている。
背の高い山、車を大胆にカットしたり、斜め上から描いたり。
これは見る価値あり!

6 山水 -華山と旅する名所-
最後は山水画。
富士山を描いた2枚がよかったですね。
1枚は「清見潟富士図」。今は東海道線で分断されているお寺、清見寺の向こうに見える富士山。
もう1枚は「富士山図」。吉原から見た富士山だそうだが、ちょっと背が高すぎでほそいかな?いずれも、「紅花屏風」の取材のために東海道を旅した際に描かれたようだ。

こんな絵師がいたとは驚き・・・
そして、なぜ忘れられてしまったのか不思議・・・

是非どうぞ!

2018/10/12

【狩野芳崖と四天王展】

art-28 【狩野芳崖と四天王展】 泉屋博古館分館

1810121
久々に泉屋博古館分館に行って参りました。
開催されていたのは、狩野芳崖と四天王展。
狩野芳崖の弟子4人の画家のことは今までまったく知らず・・・
芳崖四天王と呼ばれたものの、師亡きあとは次第に表舞台から姿を消した・・・ということらしい。

第1章 狩野芳崖と狩野派の画家たち
展覧会は芳崖の「壽老人」からスタート。力強いタッチの絵だ。
「獅子図」は、実際に芳崖はライオンを見たそうなのだが、ちょっと不思議な獅子に?
「伏龍羅漢図」の龍はなんだかかわいらしい。老人もユーモラス。
橋本雅邦も何点か。
雅邦の「獅子図」の方がリアルですね。
雅邦の風景画は結構好きなのだけど、「西行法師頭」いいですね。もやがかかった様子、遠近感など日本画と西洋画がうまく融合している感じ。
木村立獄はやはり山水楼閣図だろうか。

第2章 芳崖四天王
そして、芳崖四天王。
まずは、岡倉秋水。岡倉天心の甥だそうだ。
なんとなく、芳崖の悲母観音に通ずるような?
なんといっても、「不動明王」がツボ。漫画チックで色鮮やかな不動明王。
「龍頭観音図、雨神之図、風神之図」もなんか楽しい風神雨神に。
2人目は岡不崩。のちに、本草学を研究したとあって、草花の絵がすばらしい。
「群蝶図」、「秋芳」。細かいですねぇ。師とは違う方向に進んだ人だ。
3人目は高屋肖哲。自らを仏画師と称し、市井の画家として生きた人。
浅草寺にあるという「武帝達磨謁見図」がなかなかよいが、「千児観音図下絵」、怖いよ~
1000人(もいるかな?)の子供の頭がずらーっと・・・
記録魔だったのか、『雑事抄録』という日記?が興味深い。
4人目は本多天城。
風景画を得意とした人だったようだ。
結構力強いタッチで描いているが、西洋画の要素が若干入っている感じ。

第3章 芳崖四天王の同窓生たち
朦朧体四天王の作品など。よく知られた画家たちの作品。
大好きな菱田春草が4点。
「四季山水」(初見)などはそれほどでもないけれど、「海浜朝暘」は朦朧体ですね~太陽が描かれていなければ、海の日の出とはわからない。もやもや度の高い作品。
横山大観の「杜鵑(ほととぎす)」 も、相当もやもやしている。
西郷孤月の「深山の夕」は、手前はくっきり描かれているのだが、奥は朦朧体で描かれていて、不思議な雰囲気の絵になっている。

忘れられていた芳崖四天王の絵を是非どうぞ。

2018/09/23

【モネ それからの100年展】

art-27 【モネ それからの100年展】 横浜美術館

1809231
横浜美術館で開催されている【モネ それからの100年展】に行って参りました。滑り込みセーフ!
ツイッター見てたら、チケットを買うのも行列ができているとのことだったので、あらかじめオンラインで購入(バーコードをスマートフォンで表示させる)。

幸い、入場待ちの列はなく、すんなり入れたが、中は結構な混み具合でした。もっと早い時間は入場待ち35分、午後は入場待ち1時間だったようで、ちょうどいいタイミングだった模様。

Ⅰ 新しい絵画へ -立ちあがる色彩と筆触
まずはモネの作品・・・初期の作品からスタート。
まだモネがモネになる前の作品もある。
と、モネの先にあったのは、現代アート。
ルイ・カーヌ。特にモネには似てない気はするのだが、色の置き方はそれっぽいかな?

日本初公開のモネ「ヴィレの風景」は白く塗り残した部分が多く、後期の作品かなと思いきやそうでもなかったですね。
その正面にあったのが中西夏之の作品で、全体としてモネ風ではないけれど、色味は似てる・・・それより、丸山直文の作品の方がこの作品には似てますね。

一瞬、写真かと思った湯浅克俊の作品は、なんと木版だったのだが、モネの作品を全部青色にすればこうなるのかも?という作品だった。

Ⅱ 形なきものへの眼差し -光、大気、水
この章におけるモネ作品は、これぞモネ!である。
「セーヌ河の日没、冬」は、印象日の出の日没版という感じだし、「霧の中の太陽」は日の出かな?印象・・・とかなり似通っている。
好きなのは、ロンドンのチャリング・クロス橋を描いた作品で、このもやもや感がいいんですね。
このもやもや感が共通するのは、ゲルハルト・リヒターの作品。日の出、日の入りが写る水面のイメージである。
そして、なぜかロスコーが!ロスコーは意外と好きだけれど、展示されていた2作品はどこかモネ?と思いましたね。モーリス・ルイスもしかり。

Ⅲ モネへのオマージュ -さまざまな「引用」のかたち
今回一番ツボだったのは、ロイ・リキテンスタイン。
元々ポップアート分野ではこの人が大好きなのだけど、「積みわら」シリーズがいいんですよ。季節、時間を違えたバージョンが並んでいて楽しい。
「日本の橋のある睡蓮」もいい。日本的でもあるんだけど、ポップで楽しい。
福田美蘭の「睡蓮」もおもしろいですね。

Ⅳ フレームを越えて -拡張するイメージと空間
モネの睡蓮が並ぶ。なんだかんだいって、睡蓮、見ててホッとする。
吉野石膏の「睡蓮」は結構好き。草木のみならず、水面に雲までも映り込む様子が美しい。
水草が印象的な「睡蓮、水草の反映」もいい。
「柳」はかなり前衛的な表現になっていて、これはお隣の松本陽子の作品がシンクロしていた。
初公開という「バラの小道の家」もかなり前衛的なのだが・・・これは目がほとんど見えなかったための表現なのかもしれない。
最後に福田美蘭の睡蓮の池2点。
え?どこに睡蓮?と思ったら窓に映り込むテーブルが睡蓮に見えるという趣向だった。確かにね。

おもしろい切り口のモネ展でした。
明日で展覧会は終了です。

1809232
常設展示のカラス。

2018/09/04

【生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです展】

art-26 【生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです展】 東京ステーションギャラリー

1809041
いわさきちひろの生誕100年を記念した展覧会。
年代をおって展示され、画業のすべてがわかる仕組み。

プロローグ
ちひろにまつわる品々の展示。
この帽子のイメージはありますね。

第Ⅰ章 私の娘時代はずっと戦争のなかでした
ちひろが影響を受けたり学んだりした画家の絵。岡田三郎助、中谷泰などの中で、マリー・ローランサンが一番ちひろの絵に近いような?
めずらしいちひろの油絵作品も。
まだまだちひろ的ではない。

第Ⅱ章 働いている人たちに共感してもらえる絵を描きたい
戦後、新聞記者として働き始めたちひろ。新聞記事には自前の絵をそえている。働く傍ら、丸木位里・俊夫妻に技法を学んでいるのだが、丸木夫妻のデッサンと並べてみるとかなり影響は受けている感じ。
雑誌の表紙、紙芝居(アンデルセンの『お母さんの話』がいいな)なども描いているが、まだまだ色はくっきりしてるんですね。
へえ、こんな広告の絵も手がけていたんだ!というのが、ヒゲタ醤油。子供のデッサンは後年の絵につながるものが。
油絵も子供の絵がかわいくて、「眼帯の少女」、これ好き。猫もポイント。

第Ⅲ章 私は、豹変しながらいろいろとあくせくします
1枚の絵が完成するまでの過程が展示されていた。
習作を何枚も何枚も描き、いろいろと試した末に完成する1枚の絵。興味深い。パーツが減ったり増えたり、時には反転したり。
この例として展示されていたのが絵本「となりにきたこ」で、これは昔読んだなあ。
へーと思ったのが、ベン・シャーンの絵との類似性。確かに線のタッチが似ているかも!
外国旅行に行った際のスケッチもなかなかよかった。

第Ⅳ章 童画は、けしてただの文の説明であってはならない
この章の作品たちが、やはりちひろといえば、の作品たちである。
柔らかく、明るく、美しい色彩の水彩画。
どれもいいのだけど・・・
犬が描かれている作品が特に好きかなあ。
「海辺を走る少女と子犬」、「子犬と雨の日の子どもたち」、「子犬を抱く少女と街並み」。

東京の方のちひろ美術館はまだ行ったことがないから、今度行ってみようかな。


2018/09/03

【「江戸名所図屏風」と都市の華やぎ展】

art-25 【「江戸名所図屏風」と都市の華やぎ展】 出光美術館

1809031
出光美術館で開催されている【「江戸名所図屏風」と都市の華やぎ展】に行って参りました。
江戸は地方都市のひとつにすぎなかったのが、家康の移封と開府をきっかけにめざましく発展し、多くの絵が描かれるようになったとのこと。
そんな江戸を題材とした絵画+αの展覧会。

第1章 江戸名所図の誕生―〈横から目線〉でとらえた都市の姿
まずは今回の一番の目玉、「江戸名所図屏風」から。
右隻は寛永寺、浅草、湯島、神田、元吉原、両国、日本橋など、左隻は江戸城天守閣、京橋、新橋、増上寺、芝浦など。この景色の中になんと2000人以上もの人が描きこまれているらしい(さすがに数えられませんね)。
踊る人、喧嘩する人、軽業の舞台、歌舞伎、相撲、潮干狩り、お風呂や、刀鍛冶などなどあらゆる人物が描かれていて、これは飽きませんねぇ。空を飛ぼうとしてる人たち(?)なども。
動物も、馬、犬、鳥(不忍池に白鳥まで)の他に、ワタクシは見つけられなかったが猫もいるらしい。
置く場所がないから買わなかったが、図録でじっくり見たいところだった。
「江戸名所遊楽図屏風」。細身美術館所蔵の作品で、やはりここにも歌舞伎が描かれる他、人形芝居?なども。浅草寺がちょっとせせこましい。
「江戸風俗図屏風」。ちょっと季節がよくわからないのだけど、隅田川の船遊びがあるかと思えば、獅子舞なんかも描かれていたりする。
英一蝶の「四季日待図巻」。流刑先の三宅島で描かれたものという。華やかな江戸の暮らしを思い出しながら描いたとのこと。日待ちとは、旧暦1,5,9月の特定日に夜を徹してこもり明かす行事で、季節感のある絵だ。

第2章 都市景観図の先例―洛中洛外図と花洛の歳時
出光の「洛中洛外図屏風」を見るのは何度目か。
右隻は伏見城、鴨川、東寺、清水寺、誓願時、上加茂神社など。
左隻は鞍馬寺、歌舞伎小屋、二条城、桂川、西本願寺など。 
江戸名所図に比べたら、人物が少ない!江戸住まいのワタクシとしてはなじみという点でも江戸名所図の方に軍配をあげるなあ。
「祇園祭礼図屏風」。祇園の山鉾行列がなかなか豪華だが、見物する人で賑わっていて活気がある。
「阿国歌舞伎図屏風」。歌舞伎の始まりといわれる北野天満宮での阿国歌舞伎が描かれる。
「歌舞伎・花鳥図屏風」は表が歌舞伎、裏が花鳥図。

第3章 〈悪所〉への近接―遊興空間の演出
広い範囲を眺望する絵画から、局所的な絵画へ。描かれる対象は「悪所」と言われた遊里と芝居町だったという。
菱川師宣「江戸風俗図巻」。海老屋という扇子やさんの店先からはじまって、花見、川遊び、輪踊り。楽しそう。
宮川長春「江戸風俗図巻」。隅田川の川遊びを描く。きらびやかな作品。
奥村政信「中村座歌舞伎芝居図屏風」。歌舞伎を楽しむ観客たちの姿が描かれているのだが、売り子さんが売っている四角いものはいったい何なのだろう?

第4章 都市のなかの美人
風景画と美人画が結びついた作品たち。浮世絵にはこのジャンル多いですよね。
鍬形蕙斎「隅田川眺望図」。意外と、筑波山が描かれていることが多いけれど、昔は江戸からよく見えたんでしょうね。
鳥文斎栄之「乗合舟図」。僧侶、武士、猿回し、遊女といろいろな人物が乗りあう船。ゆりかもめもいた!
蹄斎北馬「傾城舟遊図」。不忍池で船遊びする遊女たち。蓮が見える。遠くに見えるのが寛永寺。
歌川豊広「真崎稲荷参詣図」。ここにも筑波山が!女性たちの着物が美しい。
歌川国久「隅田川舟遊・雪見酒宴図屏風」。たくさんの人が描かれている中で、二階で本を読む女性が気になりました・・・

こうしたくくりの展覧会も楽しいですね。
是非どうぞ。 

2018/08/18

【暁斎一門が描く イキイキ生き物たち展】

art-24 【暁斎一門が描く イキイキ生き物たち展】 河鍋暁斎記念美術館

西川口駅近くで遅い昼食をとったあと向かったのは、河鍋暁斎記念美術館。
前々から行きたいとは思っていたのだけど、なかなか行く機会がなく・・・
ようやく行くことができた。

駅からは歩いて15分くらい。

1808181
通りの街路樹がかりんっぽい?でもちょっと小さいし、形違う?と思ったが、かりん通りと書いてあったので、やはりそうなんですね。

1808182
美術館は住宅街の中になる。
河鍋暁斎の曽孫の方の自宅を改装した、こじんまりとした美術館。
が、3200点も所蔵しているという。
一回に展示されるのは40点あまり。近くにあったら、しょっちゅう通っちゃうなあ。

ちょうどやっていた展覧会は、生き物の絵の展覧会。

第一展示室
まずは、虎、豹、象、獅子。
ライオンがちょっと変な気もするが、暁斎は実際にこれらの動物を見ているらしい。
虎もかなり変?と思ったが、タイトルは虎だけど、暁斎が見たのは豹だったとのこと。
象の戯画が楽しい。
猿の絵(「二匹の猿」)は毛並みも細かく、なかなかリアルだ。暁斎は猿を飼っていたので、じっくり観察できたんでしょうね。
猫(「猫に菊図」)も筆が細かい。
「暁斎楽画」が美しい。動物画の版画集なのだけど、これ全部見てみたいですね。なんでも、セーブルの絵皿の図案にも使われたという。
一番気に入ったのは、「竹に仔犬図」。なんてかわいらしい犬!
弟子、ジョサイア・コンドルの画もあった。暁斎の絵をお手本に描いた「鯉之図」。勢いのある鯉の絵。

第二展示室
暁斎の戯画が並ぶ。
「鳥獣合戦」は暁斎的鳥獣戯画かな。
楽しい絵あり、風刺画あり。おもしろい。
暁斎は蛙が大好きだったということで、蛙の絵がずらーっと並んでいた。
さすが、よく観察しているだけあって、リアルなのだけど、とにかくどの蛙も楽しそうだ。
擬人化された蛙が生き生きと動いている。
「蛙の開化六景」や「蛙の生活」といった蛙で描く風俗画が気に入った。

また是非訪ねたい美術館でした。


2018/08/13

【ルーヴル美術館展 肖像芸術】

art-23 【ルーヴル美術館展 肖像芸術】 国立新美術館

1808131
ルーヴル美術館展はしばしばやっているイメージで、かかさず行ってはいるのだが、肖像画はあまり得意でなく・・・
まあでも見たことのない作品もあるしと思い、出かけた。
いえでも、これは行ってよかったなと。こういう切り口の展覧会はおもしろいと思う。

プロローグ:マスク肖像の起源
エジプト新王国時代には死者が死後の世界を永遠に生きるために理想化された顔が棺に貼り付けられた。
その後時代は変わり、リアルな顔を描くようになったという。

1.記憶のための肖像
1a 自身の像を神に捧げるー信心の証としての肖像
メソポタミア、ギリシャなどの出土品。棺の中などに入れたのだろうか。

1b 古代の葬礼肖像―故人の在りし日の面影をとどめる
墓所にあった肖像彫刻の数々。ディアナ、ヘラクレス、エロスなど神話に出てくる神様などとして表している。
エンブレマ型杯も飾られていたものなのかな?ご先祖様を彫った杯で飲んだりはできないよね??これはヴェスヴィオス火山の噴火で埋まってしまったボスコアーレという街から出土したものとのことだが、きれいなまま残っている。

1c 近代の葬礼肖像―高貴さと英雄性
「ブルボン公爵夫人、次いでブーローニュおよびオーヴェルニュ伯爵夫人ジャンヌ・ド・ブルボン=ヴァンドーム(1465-1511)」が衝撃的だった。顔は骸骨のようになり、おなかの中から蛆がわいて腸が出ているという・・・
どんな高貴な人もこうなるのだ。とはいえ、あまり気持ちのいいものではないなあ。
「マラーの死」は去年も見たなと思ったのだが、これはレプリカの1つのようだ。劇的な作品。人気もあったんでしょうね。

2.権力の顔
2a 男性の権力者―伝統の力
「クドゥッル(境界石)」というのがおもしろい。土地の境界に建てられたもののようだが、彫刻がなんともいえずいいのだ。
ローマの皇帝たちの彫像はどれも威厳があるが、カラカラ帝は、癇癪持ちのような顔。
ルイ14世の絵はよくみるアレだったが、今回のはサイズが2分の1のもの。14歳の時の彫像はローマの皇帝風である。
部屋を移ると、ナポレオンづくし!どれも立派に描かれている・・・描かれすぎていると思うのだが・・・
グロの描いた「アルコレ橋のボナパルト」は若き日のナポレオンをかっこよく描いていて、ナポレオンもいたく気に入っていたという。
しかし、ダヴィッドにしろグロにしろ、ナポレオンが失脚してからは悲しい運命をたどったんだなあ。
アングルは決して好みの画家ではないのだけど、「ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル《フランス王太子、オルレアン公フェルディナン=フィリップ・ド・ブルボン=オルレアン(1810-1842)の肖像」はよいと思った。

2b 権威ある女性
カラカラ帝も怒ってるように見えたけれど、クレオパトラも。眉をひそめて何を見ているやら・・・意志の強い女性に見える彫像。

2c 精神の権威
アリストテレス、ヴォルテール、ジャン・ジャック・ルソーなど。
さすが、みな知的な彫像である。

3.コードとモード
3a 男性の権力者―伝統と刷新
ボッティチェリと工房の「赤い縁なし帽をかぶった若い男性の肖像」。はじめボッティチェリとはわからなかったけれど、顔の表現はそうかな?

3b 女性の権力者―伝統と刷新
今回の目玉、ヴェロネーゼの「《女性の肖像》、通称《美しきナーニ》」。
この女性が何者かはわかっていないそうだが、裕福な女性であることは間違いなさそう。ちょと憂いを帯びた表情がいいですね。
レンブラントの「ヴィ―ナスとキューピッド」。モデルは内縁の妻ヘンドリキェと娘のコルネリアとあって、神話画じゃなくて、家族画のよう。
マリー・アントワネットのお気に入り画家だったヴィジェ・ル・ブランの「エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人」はフランス革命で亡命したあとの作品。各国で多くの顧客を獲得したらしいが、それもわかりますね。女性を美しく描くことに関してはピカイチ!

3c 子供と家族
ゴヤの「第2代メングラーナ男爵、ルイス・マリア・デ・シストゥエ・イ・マルティネス(1788-1842)の肖像」。なんともかわらしい子供の肖像画だが、女の子ではなくて男の子である。きっと注文主には喜ばれただろうなあという出来で、さすがゴヤ!

3d 自己に向き合う芸術家‐啓蒙の世紀の3つの例
メッサーシュミット「性格表現の頭像」。うつ病を煩っていた作者が自分をモデルとした作品を創ることで病を克服しようとしたというが・・・なんてしかめ面!今回のすごい顔3名は、これとカラカラ帝とクレオパトラで決まり(笑)。
デュクルー「嘲笑の表情をした自画像」。これはおもしろい。

4.エピローグ:アルチンボルドー肖像の遊びと変容
昨年のアルチンボルド展でも見た、「春」と「秋」に再会。
何度見ても楽しいなあ。

意外にも楽しめた展覧会。是非どうぞ。

2018/08/12

【没後50年 藤田嗣治展】

art-22 【没後50年 藤田嗣治展】 東京都美術館

1808121
藤田嗣治展に行って参りました。
ちょくちょくやっているようですが・・・
一番大規模だったのは12年前、近代美術館でやった展覧会かな。
今回の展覧会は、学生時代から亡くなるまでの時系列で展示されており、非常にわかりやすい。12年前も同じような構成だったけれど。

Ⅰ 風景画ー家族と風景
藤田の父親は陸軍軍医だったそうで、「父の像」はなかなかに厳めしく描かれている。実際は、画家になりたいという藤田に理解を示し、資金援助もしてくれたそうである。
「朝鮮風景」。どちらかといえば、印象派風。
まだまったく藤田嗣治的ではない。

Ⅱ はじまりのパリー第一次世界大戦をはさんで
「キュビズム風静物」。藤田もキュビズムに挑戦していたんですね。もう1枚キュビズム風の絵もあったが、それでおしまい。
パリの風景を描いた作品群は、灰色でちょっと寂しい感じがする。
人物画は、この頃交流があったモディリアーニ風あり(細長い体、アーモンド型の目!)、ローランサン風あり(色使い)・・・
まあなかなか自分の作風が定まらなかったということでしょうね。

Ⅲ 1920年代の自画像と肖像ー「時代」をまとうひとの姿
自画像が4枚。やはり好きなのは、猫が邪魔?しようとしているやつかなあ。藤田といえば猫!
「エミリー・クレイン=シャドボーンの肖像」は見たのははじめてかと思うが、ゴージャス。銀箔が使用されている。猫もちゃんといる。
そのものずばり「猫」も大好きな作品。

Ⅳ 「乳白色の裸婦」の時代
これぞ藤田!のコーナー。
裸婦の絵でもやはり猫が描かれていてほしい(笑)
「タピスリーの裸婦」は、ゴヤのマハ風ポーズ。
「舞踏会の前」は仮面が描かれていて、アンソール風(交流はあったらしい)。
一番好きなのは、「五人の裸婦」かな。五感を表す五人の女性。犬が横にいる女性は嗅覚。というのはなるほどと思うが、では猫は??

Ⅴ 1930年代・旅する画家ー北米・中南米・アジア
ここで急に作風が変わる。
原色に近い色遣いで、熱気が伝わってくるよう。
かと思えば、日本に戻っての絵は、落ち着いた色遣い。

Ⅵ-1 「歴史」に直面するー二度の「大戦」との遭遇
めずらしく、「サーカスの人気者」は犬の絵。
「争闘(猫)」は何度となく見ているが、いわゆるかわいい猫ではない。戦争のさなかに描かれたと聞くとなるほどと思う。
「人魚」。これは不気味。

Ⅵ-2 「歴史」に直面するー作戦記録画へ
「アッツ島玉砕」、「サイパン島同胞臣節を全うす」などの戦争画は決して戦意高揚のための絵ではない。かなり悲惨な場面を描いていて、辛い。
これで戦争責任を問われるとは・・・

Ⅶ 戦後20年ー東京・ニューヨーク・パリ
追われるように日本を離れた藤田はその後、日本に帰ることはなく、フランスに帰化している。
有名な「カフェ」は乳白色の絵再びで、これは好き。
「ビストロ」もいい。
「私の夢」は裸婦と動物なのだけど、まるで涅槃図・・・
子どもをテーマにした作品もあったけれど、ちょっと怖い。
小さな職人たちのシリーズは結構好きだけど(今回はなし)。

Ⅷ カトリックへの道行き
晩年は洗礼を受けたこともあり、宗教色が濃くなる。
どうもこのあたりになってくると、ワタクシ的にはしっくりとこないのだが、日本的な宗教画ということになるかな。

藤田嗣治の生涯がわかる展覧会。
是非どうぞ。


2018/08/10

【縄文展】

art-21 【縄文展】 東京国立博物館 平成館

1808101
群馬で古墳と埴輪を見た翌日は、縄文展。
時代が遡った(笑)。

平日なのでそれほど混んでいないかと思いきや、かなりの混み具合。
特に前半、見るのが大変でした。

第1章 暮らしの美
スタートの縄文土器から、感心しまくり。
なんて美しいんでしょう。模様が細かくて芸術的。
木製のポシェットもよく出来てるなあ。クルミが入っていたそうで、木の実を拾って入れるのに使ってたんでしょうね。
鹿の角で出来た釣り針は、今でも使えそう。
耳飾りがいやに大きくてどうやって下げるんだろう?と思ったら、耳に大きな穴を開けて埋め込むという・・・絶対やだな(笑)。節目ごとに耳飾りを変えていったらしいが、だんだんと大きな耳飾りになるのだろうか。

第2章 美のうねり
美しい縄文土器の数々。
はじめは先がとがった器で・・・灰にさして使った模様・・・そのうち、底のある土器が出てくる。
この文様がきれいなんですね~
素朴だけれど、いろいろな技術を駆使して美しい文様を造っている。
まるで土瓶のような器があったのも驚き。こんなものまで造られていたとは・・・

第3章 美の競演
この時代の世界各国の土器の展示。
わりと、どこの国のも地味で、日本の土器の方がきれいだなあ。
インダス文明期の器は動物の絵などが描かれていて楽しいけれど。

第4章 縄文美の最たるもの
国宝6点の展示。土偶については、2010年の【国宝土偶展】で3点は見ている。縄文のビーナス、合掌土偶、中空土偶である。
そのときも合掌土偶がツボだったのだが、やっぱりこれいいなあ、かわいいなあ。
デザイン的にいいのは、縄文の女神と仮面の女神かな。仮面の女神は顔が三角で宇宙人的というか。
中空土偶は思ったより大きかった。
火焔型土器もいいですね。ついつい岡本太郎を連想してしまうのだけど、炎の部分は鶏のとさかのようで確かに爆発って感じはする(笑)。
十日町ではたくさん出土したらしく、今回もたくさん展示されていて圧倒されましたね。

第5章 祈りの美、祈りの形
土偶といってもいろいろなものがあるわけで・・・
いやはや、こんなにたくさんの土偶を見るのははじめて。
が、なんといっても遮光器土偶!この目がなんともユーモラス。
ハート形、みみずく、ポーズ、三角形、板状・・・バリエーションはかなり豊富である。
結構気に入ったのが、人形装飾付有孔鍔付土器。土器に人間が貼り付けてあるのだけど、漫画チック!なんか楽しい。
動物の土製品もたくさんあった。
キョトンとした猪、一瞬アリクイに見えるクマ、わりとリアルなサル、ちょっと怖い亀、蛇。巻き貝はとてもよくできてますね。

第6章 新たにつむがれる美
縄文文化に影響を受けた芸術家、作家の紹介。
岡本太郎を筆頭として、柳宗悦、芹沢銈介。
そういえば、芹沢銈介の美術館に行った際にあったなあ。
最後に撮影できるコーナーがありました。
1808102

1808103

この夏、イチオシの展覧会です。是非どうぞ。

より以前の記事一覧

twitter

google


  • Google

    WWW
    ブログ内

amzon