文化・芸術

2018/02/11

【熊谷守一展】

art-6 【熊谷守一展】 東京国立近代美術館

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近代美術館で開催されている熊谷守一-生きるよろこび展に行って参りました。

1:闇の守一:1900-10年代
ワタクシが知っている熊谷守一の絵は後年の作品。
若い頃の作品は見たことがなかったのだが・・・
東京美術学校で黒田清輝や藤島武二の指導を受け、同級生の青木繁とは仲がよかったという。
後年の作風が想像できない画風で、闇の中でのものの見え方を研究していたということもあってか、非常に暗い絵が多い。「蝋燭」など、ジョルジュ・ド・ラトゥールのよう。
ショッキングなのはやはり「轢死」。たまたま目撃していまった女性の飛び込み自殺を題材にしているのだが、いやはや怖い。絵が劣化して、よくよく見ないと何が描かれているのかわからないのが幸いというか、くっきり見えたら直視に耐えないかもしれない。

2:守一を探す守一:1920-50年代
「轢死」を描いて20年以上たってやはり横たわる女性の遺体を描いたが「夜」。よほど衝撃的な経験だったのだろう。
死というテーマは守一が取り組んだ一つのテーマでもあり、次男である陽が亡くなった姿を描いた「陽の死んだ日」、21歳でなくなった長女萬を描いた絵もある。
「陽の死んだ日」は殴り書きにも見える絵で、深い悲しみが見えるが、萬のお葬式から帰る家族の姿を描いた「ヤキバノカエリ」は色調は明るく(ドランの絵の影響が指摘される)、一瞬楽しげに見えるが、お骨を抱えて歩く姿はどこか不自然で、じわじわともの悲しさが伝わってくる。
守一はこの頃裸婦を多く描いているが、フォービズム風というか厚塗りだったり、だいぶ抽象化されて何が描かれているかわからなかったり・・・
そして、あの特徴的な赤の輪郭線が描かれはじめるのだが、その頃の風景画も赤の輪郭線がやはり描かれている。
守一は裸婦を見ていると風景に見えてきて、風景を見ていると裸婦に見えてくると言っていたそうだが、確かにシンクロする!山が裸婦に見えてくるから不思議だ。

3:守一になった守一:1950-70年代
いよいよ、ワタクシの知っている熊谷守一へ。
くっきりとした輪郭線、単純化された対象と、明るい色彩。
限りなく抽象画に近く、デザイン的でもある。
ナビ派やフォービズムの画家の絵に近しいものもあったり。
動きも感じられて、なんか楽しくなる絵である。
70歳を過ぎて体を悪くしてからは、自宅の敷地から一歩も出ずに生活。庭の生物や植物をじっと観察したり、飼い猫や野良猫を描いたり。
蟻、蝶、蜂、鶏などもいいが、やはり猫の絵!
ずらーっと猫の絵が並んでいる部屋があったが、いや~どれもいいなあ。平面的な猫なんだけれど、どれも生き生き。
動物ではないけれど、「雨滴」、「伸餅」、「たまご」などのデザイン的な絵も好きだなあ。

200点以上の展示で若い頃の作品から晩年の作品まで順を追って見ることができる展覧会。充実しています。是非どうぞ。

2018/01/23

【南方熊楠展】

art-5 【南方熊楠展】 国立科学博物館

【北斎とジャポニスム展】でかなり時間がかかってしまい、もう暗くなってしまったのだが、これなら時間はかからなさそうということで行ったのは科学博物館で開催されていた南方熊楠展。
常設展示のチケットで入ることができる、小規模な展示である。
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南方熊楠のワタクシ的イメージは・・・
変人
きのこ
菌類

で、当然研究者と思っていたのだが、むしろ資料を収集して提供しようとした情報提供者だったと書かれていた。

確かに、論文をたくさん書いたというわけでもなく、これはホントに知らなかったが、絵がかなり微妙・・・というかかなり下手(笑)。
せっかくきのこを収集しても絵が描けないという・・・

しかし、情報収集力はすごく、なんでも記録し、膨大な資料をなんとかまとめようとしていた努力はうかがえる。
現代に生きていたら、コンピュータ-であっという間にまとめ上げられただろうになあ。
副題のとおり、100年早かった智の人なんだろうな。

でもやはり変人ですよ、この人。

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地下でやっていた地衣類の展示も見学。
地味におもしろい(笑)

ついでがありましたら是非どうぞ。

2018/01/22

【北斎とジャポニスム展】

art-4 【北斎とジャポニスム展】 国立西洋美術館

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今度の日曜日でおわってしまう展覧会へ行って参りました。

美術館に着いてびっくり!チケット購入の列の長いけれど、入場まで20分待ち。
もうすぐ終わりだからかな~
そして、中に入っても、浮世絵の展示だとどうしても混むんですね。
いやはや、見るの大変でした。点数も多かったし。

この展覧会のコンセプト、西洋近代芸術の展開をジャポニスムという観点から編み直す・・・
ということで、おもしろい視点だなあと思ったものの・・・
ちょっと無理があるかな~という部分もあり・・・
ポスターにあるモネの踊り子とお相撲さん、カサットの「青い肘掛け椅子に座る少女」と布袋さんとかは、ポーズが同じだし、セザンヌのサント=ヴイクトワール山と富嶽三十六景の1枚は構図が似ているとか、モネのポプラと富嶽三十六景の保土ヶ谷の木のうねり方は同じとか、ふーんとは思うものの、北斎の影響を受けて描いたとまでは言えないんじゃないかなというのが素直な感想。
もちろん、構図、切り取り方とかポーズとか、影響を受けているのだろうなあと思わなくはないけれど、むしろ、そっくりさんをよくみつけてきたなと(笑)。
だんだん見ながら、これ似てる!いやこれは全然似てない!とか言うのが楽しくなってきました・・・

単純に、いい絵が来ていたので十分楽しめたのでいいんですけども。

ということで、気に入ったものをあげていこうと思う。

・アンリ・ゲラール「靴への襲撃」 これはおもしろい!
・ボナール「洗濯屋の少女」 犬がポイント。おもしろい構図。
・ゴーガン「三匹の子犬のいる静物」 うまへたな感じだけどかわいい。
・モネ「黄色いアイリス」 この美術館所蔵でよく見るけれど好き。
・モロー「ヘラクレスとレルネのヒュドラ」 妖しげなモローいいなあ。
・クローデル「波」 手のような波!
・リヴィエール「エッフェル塔三十六景」 これは確かに北斎の影響を受けているというか、富嶽三十六景をエッフェル塔におきかえて描いたもの。これも好きな作品。
今まで知らなかった北欧の画家たちの作品はどれもよかった。

これからますます混むかもしれませんね。
是非どうぞ。
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2018/01/08

【国宝雪松図と花鳥展】

art-3 【国宝雪松図と花鳥展】 三井記念美術館

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先日掛川花鳥園に行ってすっかり鳥づいたところで、鳥をテーマにした美術展に行って参りました。国宝雪松図と花鳥展(美術館でバードウォッチング)である。
三井家の当主は代々鳥好きが多かったらしく、鳥のコレクションが結構あるらしい。

茶碗などが並ぶ中、目を惹いたのは香合。
なんと、本物の卵・・・鵞鳥やらクジャクやらで出来ている。鶴の卵の杯もあった。
9代目当主は自宅に400羽以上も鳥を飼っていたというから、こうした卵もそうなのかも?

いよいよ花鳥画のコーナーへ。
まずは沈南蘋の花鳥動物図がすばらしい。
全部で11幅あるとのことだが、今回は鳥が描かれた6幅が展示されていた。
鳥と花の組み合わせが絶妙。
残りの5幅も是非見てみたいものだ。
向かいにあった渡辺始興「鳥類真写図巻」もすごい!17メートルにも及ぶ図巻が全部公開されているのだけれど、なんと細密な描写でしょう!観察力もすごいが、羽一枚にいたるまで細かく描写する描写力もすごい。
映像コーナーで、学芸員さんが撮った写真との対比もあったけれど(図巻にも添えられている)、見比べるのも楽しい。
正面に展示されていたのが、円山応挙の国宝「雪松図屏風」。
近づいて見ると結構ポップな印象だけれど、入り口から(遠くから)眺めると落ち着いた印象に変わるのが不思議。ダイナミックな松だ。

その他印象に残った作品は・・・
小林古径「木菟図」。かわいい!土佐光起の「鶉図」も。
円山応挙「蓬莱山・竹鶏図」、「双鶴図」、「梅花双鶴図小襖」。
ホントのことを言うと「雪松図屏風」よりこうした作品の方がすきだったりする・・・
呉春他15名で寄せ書きした「群鶏図屏風」も楽しかった。

7代目当主から続いた鳥好きだが、10代目当主などは大学で鳥の研究、共著で「家禽図鑑」(展示あり)を著すほどだったらしい。

是非是非美術館でバードウォッチングを!

2018/01/06

【パリ・グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展】

art-2 【パリ・グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展】 三菱一号館美術館

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上野から移動、続いて三菱一号館へ。
パリ・グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展という、全然覚えられないタイトル(笑)の展覧会を見て参りました。

三菱一号館はロートレックやヴァロットンといったコレクションが充実しており、プラスしてアムステルダムのファン・ゴッホ美術館が所蔵する19世紀末版画コレクションの一部を公開する展覧会。ゴッホ美術館、そういったコレクションもあったんですね。

はじめに:崇高(ハイ)から低俗(ロー)まで
19世紀末、版画の技術の向上とともに多くの芸術家たちが夢中となり、版画が芸術として認知されるようになると愛好家たちがコレクションするようになった。とともに、版画をはじめとしたグラフィックアートが街中のポスターや本の挿絵として使われ、広く大衆にも広まっていったのである。

第1章:庶民(ストリート)向けの版画
庶民(ストリート)向けの版画というと、宣伝の意味合いが大きいので、パッと目を惹く・・・目立つことが必要。ということで色鮮やかだったり、大胆な構図だったり、ともかく印象に残ることが重要となる。
そうした要素が全部つめこまれ、さらにそれがすばらしい芸術となっているのがロートレックの作品の数々。ミュシャと双璧ではないだろうか。
大胆な色使いと大胆な構図で、一度見ると忘れられないポスター。コレクションしたくなる気持ちがわかりますね。
一室のみ、撮影可だったのでバシバシ撮してしまいました。

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しかし、ロートレックの女性像は少し毒があるというか、若干悪意を感じるんですね。デフォルメしすぎというか・・・
描かれた女性たちはどう思ったのか・・・

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撮影可の作品はどれも有名だけれども、ワタクシが好きなのはブリュアンを描いたもの。

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ロートレックではないけれど、スタンランのシャ・ノワールのポスターも大好き。
そのほかでは、ボナールのシャンパンのポスターもよかった。
好きな画家ドニもいい。

第2章:知的階層(エリート)向けの版画
知的階層(エリート)向けの版画は、富裕層がプライベートで楽しむもの・・・
ということでサイズが小さいものが多いのだが、時には意味深な、エロティックなものもあったりした。
その代表がヴァロットンで、今回はアンティミテが数点展示されていた。これはどういう場面だろうと一瞬考えてしまったりするのだが、ヴァロットン、黒の使い方が抜群なんですね。
ちょっとヴァロットンと似た印象を持ったのが、ラブルール。ヴァロットンとともに同じ師の元で学んだということで、ユーモアのセンスも似ていると感じた。他にも見てみたいものだ。
エッフェル塔三十六景で知られるアンリ・リヴィエールの「星への歩み」のポストカードもすてきだった。淡い色彩の中にぼんやりと浮かぶ風景が美しい。
ナビ派関連では、ドニ>ボナール>ヴィヤールなのだけど、やはりポスターやリトグラフでもその順位はかわらず。ただ、ボナールも結構いいかもと今回思いましたね。構図・・・対象の切り取り方がもっとも浮世絵的かも。
ドニは作品に暖かみがあるのがよいです。
ゴッホ美術館の浮世絵コレクションもいくつか来ていたけれど、これゴッホが実際に持っていたものなんですね。とてもよい保存状態。つくづくゴッホは浮世絵が大好きで大きな影響を受けたのだなと。

ロートレックにとどまらない展覧会。あと数日ですが是非どうぞ。

2018/01/04

【博物館に初もうで展】

art-1 【博物館に初もうで展】 東京国立博物館

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今年も行って参りました!
博物館に初もうで展~犬と迎える新年~、毎年やっている展覧会だが、ワタクシが行くのは2回目。チラシの子犬がかわいらしくて、これは行かねばと。

階段を上がっていくと、カレンダー付きワークシートを配っていていただく(ただし、持って帰るのは大変だった・・・)。
これは昨日今日限定のプレゼントらしい。

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そのカレンダーの絵が、円山応挙「朝顔狗子図杉戸」。かわいいなあ。
この後、狗子図が続くが、みんな応挙の影響を受けているのですね。
と思うと、酒井抱一の「洋犬図絵馬」(撮影禁止)は、この時代いたんだろうか?という洋犬。凜々しい。

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こんな柄の犬もいたかな?というのが礒田湖龍斎「水仙に群狗」。百一匹わんちゃんみたい(笑)。

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意外なのが広重の「薔薇に狗子」。こんな画も描いていたんですねぇ。

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これはいいな、やっぱり。というのが竹内栖鳳の「土筆に犬」。栖鳳の動物の絵は大好き。

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水滴がたくさん並んでいたけれど、ん?豚?というのもあったり(笑)。

置物もいろいろあったけれど・・・

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緑釉犬のとぼけた雰囲気(魔物を追い払うとしてお墓に納められたものだが)、染付子犬形香炉のきょとんとした顔がいいですね。

中国の山水画部門に移ると・・・

んん?
どこに犬が?という画ばかり(笑)。
確かにちっちゃくどこかに犬がいるのだが・・・
フツーに山水画として鑑賞致しました。

そして、浮世絵部門。

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思いつくのはやはりこれ!
広重の江戸東京百景の中でも、好きな作品の一つ(ネコのも好き)。

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歌麿、春信、そして、最近展覧会を見てきた菊川英山もあった。

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常設展示も全部ではないけれどざざっと見て・・・
その中にあった犬張子がちょっと怖かった(笑)

来年も行こう!

2017/12/23

【菊川英山展(後期)】

art-49 【菊川英山展(後期)】 太田記念美術館

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ふと空き時間が出来たので、終了前日に見に行ったのが、菊川英山展。

菊川英山。
あまり聞いたことのない名前だが(見たことがないわけではないけれど)、歌麿と溪斎英泉(英山の弟子)や歌川国貞の間に活躍した美人画の絵師である。
今回、没後150年を記念して、東京では実に32年ぶりの回顧展。
ということで、約200点を前後期に分け、地下も使っての展示だった。

構成は次のとおり。
第1章 肉筆画の世界
第2章 英山登場/歌麿を継ぐ絵師
第3章 花開く英山美人/雅と俗のはざま
第4章 花開く英山美人/青楼の女たち
第5章 新たな女性像と次代へのかけはし

まずは肉筆画で、これがきれいなんですね。ここで一気に引き込まれる。
続いて、若い頃の作品だが、正直なところ、歌麿のあとを継ぐ・・・と言ったら聞こえがいいけれど、かなり歌麿風で、一瞬見分けがつかないような?
気に入ったのが、江戸名所美人八景という背景に小さく名所が、手前に美人が描かれているシリーズ。基本、美人画の絵師なんでしょうけれど、風景画もフツーにいいのである。
その一枚に富岡八幡宮が・・・
定番の両国橋の風景(「両国夕涼み」という作品もあったけれど)などいいですね。
役者絵も結構描いているけれど、やっぱり美人画の方がいいかなあ。
めずらしや、「虎図」なんてのもあった。

歌麿の影響を脱し、徐々に自分の世界を確立していった英山。
歌麿が8頭身美人だったのに対し、英山は六頭身美人。黒目がちの目でかわいらしい美人画へ変化する。
とともに、とてもカラフルに。色がきれいなんですね。保存状態のよさもあるのだろうけれど、鮮やか。
こうなると着物の柄を見るのも楽しくて、細部までじっくりと・・・見たかったところだけれど、時間の制約があってそうそうゆっくり見られなかったのが残念である。

晩年はさらに作風が変化しているが(表情が硬くなる)、やはり最盛期の作品の方がいいかなあ。
晩年の英山は、国貞などの台頭で不遇だったという・・・

予想以上によくて、前期にいけなかったのが残念でした。
(すでに展覧会は20日で終了しています。)

2017/11/29

【運慶展】

art-48 【運慶展】 東京国立博物館(平成館)

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最終日前日の夕方に見てきました。
大変な混雑と聞いていてだめかなとあきらめかけたのだけど、ツイッターを見たらチケット待ち10分、入場待ちなしと出ていたので行くことに。実際は入場も10分弱待ちました。
中はかなりの混雑で、いやはや見るのが大変でした・・・

第1章 運慶を生んだ系譜‐康慶から運慶へ
運慶のデビュー作、「大日如来座像」からスタート。
運慶の父、康慶の「法相六祖座像」と「四天王立像」(いずれも興福寺)が並ぶ。
六祖座像は、いろいろなお顔の僧侶たち。結構リアルである。
四天王は炎の流れるような感じが迫力あり。踏まれている邪鬼がなんかユーモラスだ。
同じ興福寺の運慶作「仏頭」もきていた。螺髪がだいぶとれてなくなってしまっているが、意志の強いお顔だ。

第2章 運慶の彫刻‐その独創性
まずは、「阿弥陀如来座像および両脇侍立像」、そして「不動明王立像」と「毘沙門天立像」。阿弥陀如来と観音菩薩、勢至菩薩は優美、不動明王と毘沙門天は力強い。
そして、私が一番見たかったのが「八大童子立像」の6躯。
それぞれ個性的だが、一番目立っているのは赤い制多伽童子でしょうかね。
でも私が一番好きなのは、恵喜童子なんである。今はなくなってしまった300円切手の図柄になっていた童子なのだけど、本物が見られるとはうれしい限り。
どれも顔に力はいってるな~(笑)
作者不詳(運慶作かもしれないとする説あり)の四天王像に囲まれた「無著菩薩立像・世親菩薩立像」がまたすばらしい。無著菩薩立像は特に穏やかなやさしげな表情をしていて落ち着く。
「大威徳明王坐像」は小さいながらとても迫力があるが、残念ながら手足がだいぶかけてしまっている。

第3章 運慶風の展開‐運慶の息子と周辺の仏師
運慶作かどうかは明らかになっていないが「重源上人座像」はリアルで、きっと結んだ口が頑固そうな?性格だなと思う。
運慶の長男湛慶の作品である三十三間堂の「千手観音菩薩坐像光背三十三身像のうち 迦楼羅・夜叉・執金剛神」はいいなと思ったが、湛慶作かどうかわかっていないらしい「子犬」がツボ。応挙の子犬のように丸々しい。
「天燈鬼立像 龍燈鬼立像(こちらのい三男康弁作)」は楽しい。よいしょと灯籠をかつぐ鬼たち。
また最期の部屋で「十二神将立像」がすべてそろっていたのはうれしい(国立博物館のもの5、静嘉堂文庫のもの7)。ついつい自分の干支のをじっくり見てしまった。

残念ながらすでに展覧会は終了しています。

2017/11/28

【ゴッホ展 巡りゆく日本の夢】

art-47 【ゴッホ展 巡りゆく日本の夢】 東京都美術館

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勤務日だった土曜日。
食事をしたあとに向かったのは上野。
十中八九というか10割だめだと思っていた、怖い絵展の長蛇の列を横目に向かったのは都美術館。
ゴッホ展である。
ゴッホというとしょっちゅうやっているイメージがあるが、今回は日本との関わりにスポットを当てた展覧会である。

1 パリ 浮世絵との出逢い
オープニングはパリで描いた自画像。
その後、パリで出会った浮世絵と印象派の融合とでも言うべき作品が並ぶ。
今回の一つの目玉、「花魁(渓斉英泉による)」。
この絵は渓斉英泉の「雲龍打掛の花魁」が元ネタで、さらにこの浮世絵を反転させたイリュストレ誌の表紙絵のゴッホなりの絵である。その周囲に絵が描かれているのは何かなあと思っていたが、龍明鬙谷「芸者と富士」、二代歌川芳丸「新板虫尽」などのモチーフがとられているのだった。黄色い色が強烈である。
「カフェ・ル・タンブランのアゴスティーナ・セガトーリ」の背景にもよくよく見ると浮世絵が描かれていた。
浮世絵的な構図ということで、マネ、ロートレック、ベルナールの展示もあった。

2 アルル 日本の夢
ゴッホがアルルの地にきて、日本的だといったのはよくわからない部分もあるのだが、一つの理想が日本で、アルルもゴッホにとっては理想郷だったので結びついたんでしょうか。
この章の絵はひたすら明るいですね。
「雪景色」は本邦初公開。水平線が遠く、前の景色を強調している点は浮世絵的。
水平線が上すぎるという点では「サント=マリーの海」もそう。
「種まく人」は題材的にはミレーだけれど、手前に梅の木が大きく描かれていて、これはまさに広重の「江戸名所百景 亀戸梅屋敷」である。
広重といえば東海道五十三次だが、濱松とゴッホの「木の幹」の木のイメージがそっくりなのにはびっくりした。
糸杉やアーモンドもいいですね。
アルルにおいて、ゴッホは跳ね橋をいくつか描いているが、あの有名なのではなくて、なぜっか一部分しか残っていない絵がある。「水夫と恋人」であるが、スケッチを元にこの絵の全体を復元するというおもしろい試みがされていた。なぜこの一部分だけが残ったんでしょうね。

3 深まるジャポニズム
しばしば見る「寝室」がまたきていた。このゆがんだ部屋がおもしろい。
「タラスコンの乗合馬車」は初公開とのこと。
これは、ロティの小説『お菊さん』の影響を受けての絵らしい。
顕著な輪郭線(確かに馬車は縁取られている)、平坦な色面(べたっと塗ってる)、鮮やかな色彩(その前からも結構鮮やかでしたが)が特徴とのことだが、構図も浮世絵っぽいですね。
この頃の肖像画(今回の展示は「アルルの女(ジヌー夫人)」、「男の肖像」)は浮世絵の大首絵の影響だそう。確かに写楽の絵の影響とかはありそうですね。
日本的なモチーフとして描かれたのは夾竹桃だそうで。
初公開の「夾竹桃と本のある静物」はそのものずばりだけれど、違う絵の背景にも夾竹桃は描かれていた。
「オリーヴ園」は前々から好きな作品の一つだが、この頃から絵が大きくうねりはじめている。

4 自然の中へ 遠ざかる日本の夢
パリ時代の三枚の風景画も好き。
特に「アニエールの公園」、「蝶の舞う庭の片隅」。明るく美しい風景だけれど、言われてみて気づくのは地面がしめる割合が多いということ。これも浮世絵の構図の影響なんでしょうね。
サン=レミ時代の幹を描いた2枚、特に「草むらの中の幹」は強烈な印象。普通はなかなか置かない色である。うねってるし。
「ポプラ林の中の二人」(初公開)はちょっとシュールですね。手前は明るい色彩なのだけど、奥は暗く、闇が見えるようだ。
「蝶とけし」、「ヤママユガ」のクローズアップ画面も強烈。
これまた浮世絵の花鳥画の影響があるのかもしれませんね。

5 日本人のファン・ゴッホ巡礼
日本人はゴッホ好きと言われるけれど、そのルーツは大正~昭和初期の時代にあったらしい。
こぞってオーヴェル・シュル・オワーズに詣でたという。
ゴッホの最期を看取ったガシェ医師の息子がゴッホの絵画20点あまりを持っていて、それを見たりお墓を訪ねたりした。
芳名録やガシェ氏との書簡の展示があった。

こういう切り口のゴッホ展はなかったのかもしれませんね。
日本初公開作品もあって見逃せない展覧会かと。
是非どうぞ。

2017/11/26

【オットー・ネーベル展】

art-46 【オットー・ネーベル展】 Bunkamuraザ・ミュージアム

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山種美術館~昼食を経て、渋谷に移動、オットー・ネーベル展を見てきました。
オットー・ネーベル?はじめて聞く名前のように思えるけれど、過去に見たことはあるんですね。ベルンの美術館とか。

プロローグ:オットー・ネーベル―「シュトゥルム」と「バウハウス」時代の芸術家
ベルリン生まれのネーベルはバウハウスでカンディンスキーやクレーと出会い、影響を受けるとともに友情をはぐくむ。奥さんもバウハウスで教鞭をとっていた人のアシスタントだった人なんですね。
バウハウスの校長室が再現されていたが、実際に見るとおもしろいだろうなあ。
家具なども斬新で。

1. 初期作品
まずシャガールの影響を大きく受けていると思われる作品からスタート(シャガールの作品も4点展示)。色使いがまさにシャガールだ。「山村」、「アスコーナ・ロンコ」で一気にネーベルが気に入る。この色いいなあ。
「避難民」。ネーベルはナチスの迫害から逃れてスイスへと移住しているが、その頃描かれたもの。その後も生活はかなり苦しかったとのことだが、この絵自体は決して暗くはない。むしろ希望が感じられる。

2. 建築的景観
ネーベルは若い頃建築家を志していたという。
というところはなんとなくわかる感じで、設計図的な絵もあったり、かなり抽象画に近づいているのもあったり。

3. 大聖堂とカテドラル
おもしろい大聖堂の絵。
こういう切り取り方はあまりしないなあという。デザイン的。

4. イタリアの色彩
ネーベルの一つの転換期が3ヶ月に渡るイタリア旅行だったようだ。
ここから一気に抽象画へとなっていく。
各街を描いた「イタリアのカラーアトラス」。カラフルなたくさんの四角で描かれているのだが、まるでカラー見本のよう。
いや、でもこれ好きだな~
なんか、ああこの街ねというのがわかるのである。

5. 千の眺めの町 ムサルターヤ
まさに中近東的な風景なのだけど、カラーアトラスの延長のような、でももうちょっと形があるような・・・

6. 「音楽的」作品
こうなると、カンディンスキー的ですね。
音符や記号的な図柄が描かれているのもあるけれど、なんか音楽が聞こえてきそうな、はずむような・・・
楽しい作品群。

7.抽象/非対象
こちらもカンディンスキーに近いものはあるけれど、次第にカンディンスキーから離れていっている。
題名を見てああそうねと思えるものもあるけれど、首をひねるものもあったり。

8.ルーン文字の言葉と絵画
ルーン文字(古いゲルマン文字)に興味をもったネーベルはこの文字を取り入れたたくさんの絵を描いている。
これはクレーっぽいですね~
クレーの作品もあわせて展示があったけれど、ネーベルの方が明るい色彩ですかね。
なんか楽しい。

9.近東シリーズ
2,5につながる作品群。

10.演劇と仮面
生活のために、ネーベルは俳優として働いていたこともあったとか。

11.リノカットとコラージュ-ネーベルの技法の多様性
リノカットは初期の頃にも見られるが、後期にはコラージュ作品も。
正直、コラージュは今ひとつだったような・・・

知られざる画家、オットー・ネーベル。
とても気に入りました。
是非どうぞ。

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