文化・芸術

2017/05/11

【スケーエン デンマークの芸術家村展】

art-27 【スケーエン デンマークの芸術家村展】 国立西洋美術館

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シャセリオー展を見て、昼食をはさんで再び西洋美術館に戻り、新館展示室にて開催されているスケーエン展へ(シャセリオー展のチケットで鑑賞可)。

スケーエン?
それはデンマーク最北の海辺の村。
鉄道も港もない小さな漁村だったのが、やがて芸術家の村となり、今や年間200万人が訪れる人気のリゾート地になっているという。

この展覧会はこの地に出来たスケーエン美術館からの作品59点を展示するもの。
正直、知らない画家ばかりだったけれど、なかなかよかったですね。

スケーエン派の中心人物の一人、ミカエル・アンカー。
地元の漁師を描いた作品を多く描いたということで、重厚な作品が多かった。
だけでなくて、海辺の明るい風景を描いた作品も多く、そちらの方が好みかな~
空も海も美しいんですよ。
中でも最も美しいのが「海辺の散歩」。キラキラ耀く女性たちの散歩。

ミカエルの奥さん、アンナ・アンカーもまた画家。
屋内の絵が多い中、「戸外の説教」は例外。説教がつまらないのか、寝ている人がちらほら(笑)。
縫い物をしたり、鶏の羽をむしったり、羊の毛を刈ったり・・・これがちょっとワイルドな毛刈りだったりするのだが、この画家、顔を描くのが苦手だっだのか、はっきり描いた絵がないという・・・

そして、これまた中心人物だったP.S.クロヤー。
代表作といわれる「ばら」。これがこの展覧会で一番好きになった作品。
ばらが咲き誇る向こうに奥さんと犬。なんとも心穏やかな風景。
この奥さんもまた画家で、一枚展示があった。
P.S.クロヤーのもう一枚というと「室内で漁網を直すクリストファー」。これも好き。

第2会場は素描版画室。
わざわざここをつぶしたのね、と思ったら、ちゃんと素描作品を展示してました。これまた味わいがある。
油彩だが、ミカエルの「妻アンナと娘ヘルガのいる自画像」では、アンナの顔が全然描かれていない!アンナ、顔NG??自分だけちゃんと顔を描いてるって?(笑)

はじめて見たスケーエン派。
結構好きだなあ。

シャセリオー展に行ったらこちらも是非どうぞ。

2017/05/09

【シャセリオー展】

art-26 【シャセリオー展】 国立西洋美術館

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連休3日目は西洋美術館へ。
まずはシャセリオー展。

シャセリオー、といっても知らない人も多いかも?
ワタクシも何かの展覧会に数枚展示されている画家・・・くらいの認識。イメージとしてはエキゾチックな絵を描いた人、というくらい。

日本ではじめてのシャセリオーの展覧会。
フランスでも数回しか回顧展が行われていないというが、なぜ忘れられた画家になってしまったのでしょう・・・

1:アングルのアトリエからイタリア旅行まで
自画像からスタート。
カリブ海の島に、フランス人の父とクレオールの母との間に生まれたシャセリオー。自分の容姿を嫌っていたとのことで、自画像は貴重。
シャセリオーは大変早熟で、なんと!11歳の時にアングルの弟子となり、この子はきっと絵画のナポレオンになると言われたそう。
16歳でサロンに入選。その作品が「放蕩息子の帰還」。すでに、師匠のアングルとは違う方向に向かう予兆あり。右下の黒犬はいったい・・・
「アクタイオンの驚くディアナ」にしても、すでにロマン主義の雰囲気を漂わせている。

2:ロマン主義へ 文学と演劇
ドラクロワなどロマン主義の画家の影響を受け、アングルと訣別したシャセリオーは独自の道を歩みはじめる。この頃、多く題材にとったのは古典文学の世界。
「アポロンとダフネ」はアポロンを嫌って、父に頼んで木になってしまったダフネの物語を描くが、なかなかにドラマティック。ダフネって足元から木になったんだっけ??
モローの「アポロンとダフネ」が隣に飾られていたが、シャセリオーの影響が見てとれる。こういう感じのシャセリオーの作品いいなあと思ったら、ワタクシ、モローが好きだったからなのか・・・
ルドンも影響を受けているとのことだったが、それはどうだろう?ちょっと違うような・・・
ドラクロワの版画連作ハムレットとともに、シャセリオーの連作「オセロ」が展示されていたが、ロマン主義の作風と、シェイクスピアの悲劇はよくあう。
「マクベスと3人の魔女」がまたとてもドラマティック。髪が逆立つ3人の魔女が怖い・・・
「泉のほとりで眠るニンフ」はモデルが当時の恋人だったということもあるが、ちょっと生々しい。

3:画家を取り巻く人々
師のアングルと同じく肖像画をたくさん残しているシャセリオー。
肖像画の描き方を見る限り、アングルの弟子だなあという感じなのだけど。
ポスターになっている「カバリュス嬢の肖像」。当時パリで最も美しい女性とされた女性らしいのだけれど、確かにねぇ。しかし、シャセリオーが描いているのでちょっとエキゾチックな感じも。
意外と気に行ったのが、「アレクシ・ド・トクヴィル」。歴史学者トクヴィルは、シャセリオーと家族ぐるみのつきあいをしており、会計検査院の壁画の発注を後押しした人物らしい。

4:東方の光
シャセリオーといえば、ワタクシ的にはこのイメージ。
アルジェリアを旅したシャセリオーは、異国情緒あふれた作品を生み出す。
アラブの馬、主張、女性たち。
「コンスタンティーヌのユダヤの娘」がいい雰囲気。
ドラクロワ、ルノワールなどのオリエンタリスム絵画もあった。

5:建築装飾 寓意と宗教主題
シャセリオーは、オルセー美術館がある場所に以前あった会計検査院の壁画を制作しているが、パリコミューンでほぼ消失してしまったという。
その後、モロー、シャヴァンヌらが協力し、壁画の救出運動が行われ、その際の記録写真が残されている。これがそのまま残っていたら、シャセリオーの名前もひょっとしたもっと残ったかも??
シャヴァンヌもシャセリオーを影響を受けたとされるが、作風はかなり違うと思われ・・・ただ、構図とか壁画の題材などは共通性があるかもしれない。そして、シャセリオーの最後の恋人(今回も展示されていた「東方三博士の礼拝」の聖母のモデルと言われる)は、シャセリオーの死後、シャヴァンヌの伴侶となっているのである。
モローの「若者と死」は、シャセリオーの死を追悼して描いた絵とのことで、モローがもっともシャセリオーの影響を受けた画家だったのかもしれない。

貴重な展覧会です。
是非どうぞ。

2017/05/08

【ミュシャ展】

art-25 【ミュシャ展】 国立新美術館

1705081
六本木ヒルズから移動して、この日2つめの展覧会はミュシャ展。
チケット売り場で30分並ぶことに。
草間彌生展と同じチケット売り場だからかしら?と思ったのだけど、ミュシャ展も結構な混雑。いくら大きな絵とはいっても、これだけ人がいると解説を読むのが大変。

スラブ叙事詩
入り口を入るといきなりスラブ叙事詩!!
2012年まで本国でもめったに見られなかったこの作品群がすべて来日。この大きな作品をみんな持ってくるって大変だったでしょうねぇ。
いやはや、度肝を抜かれます・・・
ミュシャというと、ポスター的イメージなんでしょうけれど、実際、チェコに行ってみたら、そうではない作品がたくさんあるということを知って、へえと思ったことを思い出した。
祖国愛が強い画家、ミュシャ・・・この場合、ムハと言った方がいいような気もする。
20点全部を書き記せないので、印象に残ったものを抜粋で。
(1)原故郷のスラヴ民族
3~6世紀。他民族の侵略から身を隠すスラヴ民族の祖先。不安な眼差し、でも力強い眼差し。祭司が浮いてる??
(2)ルヤーナ島でのスヴァントヴィート祭
楽しいお祭りが描かれているかと思いきや・・・上には瀕死のスラヴ兵士やとらわれた兵士、そして、侵攻してくるノルマン人の姿が。これまた浮いてるんですけど(笑)
(3)スラヴ式典礼の導入
聖書をスラヴ語に翻訳し、正教会へと傾倒することでローマ教皇、皇帝からの独立を果たすスラヴ民族(統治者たちがまたもや浮いてる・・・)。手に輪を持った若者が実に力強い。団結の象徴とか。
(4)ブルガリア皇帝シメオン1世
スラヴ文学の創始者である皇帝を描く。
自国の言葉、そして文学は重要である。
(7)クロムニェジージュのヤン・ミリーチ
ヤン・フス改革の先駆者であるミリーチは売春宿を修道院へと改築した。悔い改めた女性たちは白い衣服を身にまとっている(ただし一番前に白いマスクのようなものをした女性がおり、この女性は異質)。この神学者のことは知らなかったですね。
(8)グルンヴァルトの戦いの後
ドイツ騎士団に打ち勝ったポーランドとボヘミアの連合軍の戦いを描く。といっても流血の場面を描くのが嫌いだったミュシャは戦いが済んだあとを描いている。そうはいっても、前面には死体が並んでいて、悲惨な感じはするのだけど。
(9)ベツレヘム礼拝堂で説教をするヤン・フス師
(10)クジーシュキでの集会
のちに火刑に書されたヤン・フス。大きく身を乗り出して熱弁をふるう様子が描かれている(9)より、その後の指導者となったコランダ司祭が説教する場面を描いた(10)の方が力強い。といっても言葉より武器という図になってるわけだが。
(11)ヴィートコフ山の戦いの後
(12)ヴォドニャヌイ近郊のペトル・ヘルチツキー
フス戦争を描いた画だが、戦争のむなしさが漂う。
(14)ニコラ・シュビッチ・ズリンスキーによるシゲットの対トルコ防衛
オスマントルコとの戦いを描くが、指揮官の妻が火薬塔に火を放ち、黒煙が上がる様子が画面を2分する黒い筋で表している。このことにより、多くの市民が犠牲になったことの暗示。
(15)イヴァンチツェの兄弟団学校
ミュシャの故郷モラビアの学校の庭で母国語の聖書を読んでいる人々の喜び。手前、盲目の老人に読み聞かせている少年は自分の若い頃をモデルという。この連作の中では最も明るい作品だと思う。これが一番好き。
(16)ヤン・アーモス・コメンスキーのナールデンでの最後の日々
亡命を余儀なくされたプロテスタント教徒たち。青白い画面が寒々しく悲しい。
(18)スラヴ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い
民族主義的な団体オムラジナ会を描いたものだが、この作品のみ未完成で、お披露目の際にもこれだけが除かれたそう。なんでもハイエールヒトラーのポーズっぽい姿があるのと鍵十字っぽいものが描かれているとか。本人はそういうつもりじゃなかったと思うが・・・
(20)スラヴ民族の賛歌
スラヴの歴史をすべて盛り込み(初期~フス戦争~オーストリアハンガリー帝国の終焉)、スラヴへの賛歌を高らかに歌う。力強さと明るさに満ちた集大成とも言うべき絵。

15、17~20のみ撮影可能でした。
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16年もかけて制作したこの連作も完成時には、保守的と言われ、作品を展示する美術館の建設計画も中止となり、戦後はずっと故郷の近くの城に寄託され、プラハに戻ったのは5年前。

いや~、つくづくよく持ってきたよな~と感心。
ともかく、この20枚、圧倒されます。必見!民族の歴史を勉強していればなおよし、です。

1:ミュシャとアール・ヌーヴォー
スラヴ叙事詩があまりに大きいので、その他の展示はせせこましくてみるのが大変・・・
本来ならば、このあたりの絵がまさにミュシャ、なのだけれど、スラヴ叙事詩を見たあととなっては、まあそうねって感じ(笑)
ジスモンダ、芸術、花・・・よく見る絵ですね。
ただ、ベルナールのポスターでも、シェイクスピアのとかトスカとかははじめて見た、と思う。

2:世紀末の祝祭
プラハ市民会館の装飾を任されたミュシャ。
民族的なテーマの絵も多く含まれており、スラヴ叙事詩につながるものと言える。

3:独立のための闘い
ミュシャ、切手や紙幣のデザインも手がけていたんですね。
小さい中にも、確かにミュシャ的デザインが!
祭典のポスターは、商業的なデザインと民族的な要素が融合したものとなっている。
母国に戻ったあとは、女性の描き方も変化・・・というのは奥さんの顔がモデルとなったからとか。ふっくらした顔立ちに。

4:習作と出版物
スラヴ叙事詩のための習作が見られる。

スラヴ叙事詩が揃って来日することはもうないかも?
是非どうぞ。

2017/05/06

【大エルミタージュ美術館展】

art-24 【大エルミタージュ美術館展】 森アーツセンターギャラリー

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連休2日目は六本木へ。
まずは、大エルミタージュ美術館展へ。
エルミタージュ、しょっちゅうやってるイメージだけれど、何せ所蔵点数は300万点以上(!)というから、何回行っても全部は見られないですねぇ・・・
今回は、16世紀から18世紀までのいわゆるオールドマスター・・・ルネサンス、バロック、ロココの巨匠たちに絞っての展覧会。
構成もわかりやすく、思ったより楽しめました。

プロローグ
エルミタージュの基礎を作ったエカテリーナ2世の肖像画からスタート。
さすがの貫禄!
それより、マント?についているたくさんの動物のしっぽはなーに?テン??

第1章:イタリア:ルネサンスからバロックへ
ティツィアーノの「羽根飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像」。なぜか右をはだけているという・・・モデルは画家の愛人とも言われているが、ちょっとなまめかしい。
ドルチの「聖チェチリア」が美しい。この聖人知らなかったのだが、音楽の守護聖人らしい。
バトーニの「聖家族」は、めずらしく室内の聖家族。モデルになった家族がいたのだろうか。
ストロッツィの「トビトの治癒」。息子トビトに大きな魚の内臓で治療してもらうトビアス。旧約聖書の物語ですね。魚が怖いのですが・・・
カナレットなど大好きな風景画もたくさんあった。
バニーニの作品はまるで廃墟の画家ロベールのよう。
一番気にいったのは、ベロットの「ドレスデンのツヴィンガー宮殿」。今も変わらないツヴィンガー宮殿が詳細に描かれている。

第2章:オランダ:市民絵画の黄金時代
風俗画、風景画、肖像画、静物画など新ジャンルが台頭したオランダ絵画。
ホントホルストの「陽気なリュート弾き」、「陽気なヴァイオリン弾き」が楽しい。ヴァイオリン弾きが飲んでるのはビールだろうか。
レンブラントは「運命を悟るハマン」は旧約聖書のエステル記からの絵。レンブラントらしい光と影はあるものの、若干弱いか。
ピーテル・デ・ホーホの「女主人とバケツを持つ女中」は風俗画ではあるが、遠景も細かく描かれていて、そこも見どころ。
デ・ヘームの「果物と花」は単純な静物画ではないようだが(寓意が表されている)、蛇とかとかげとか蟻その他の虫もたくさん描かれていてじっくりと見てしまう。

第3章:フランドル:バロック的豊穣の時代
まずはブリューゲル。
ピテール・ブリューゲル2世作と思われる「スケートをする人たちと鳥罠のある冬景色」はブリューゲル的に細かい。
氷の手前、穴あいてるよね!罠、鳥とれるの?
ヤンの「魚の市場」は真ん中あたりにキリストがいる?
ルーベンスの2作品はそれほど特徴的ではなくて、工房の「田園風景」の方がらしい。
一瞬、ルーベンスかと思ったのはヨルダーンスの「クレオパトラの饗宴」。クレオパトラがルーベンス的で。
テニールスも好きな画家だが、「厨房」が賑やかしく楽しい。奥に描かれているのは画家自身だそうだが、ちょっと偉そう?(笑)
「厨房の猿」も擬人化されていておもしろい。
ブールの「猫の頭部の4つの習作」はちょっと怖いな。猫がリアルすぎる。
スネイデルスの「鳥のコンサート」はこれでもかと鳥がいる中で、なぜか蝙蝠まで!指揮者はフクロウなのだけど、見事にまとまらないオケだ。

第4章:スペイン:神と聖人の世紀
スルバランの「聖母マリアの少女時代」。ピュアなマリアだけれど、ちょっとマリアには見えないんだよなあ。自身の子供がモデルだったんだろうか。
そして、ムリーリョがやっぱりいいですね。
「受胎告知」、「幼子イエスと洗礼者聖ヨハネ」。見ていると心が落ち着く。

第5章:フランス:古典主義的バロックからロココへ
華やかなパート。
プッサンの「エジプトの聖家族」はエキゾチックな感じなのだけど、ブーシェの「エジプト逃避途上の休息」は・・・あまりにゴージャスすぎませんか??マリアが裕福な女性みたい。
ランクレ、ヴァトーはロココですね。優美。
ランクレの「春」、「夏」は明るくていいなあ。
シャルダンも1枚。「食前の祈り」。シャルダンというと静物画のイメージだけれど、風俗画も描いており・・・この題材の作品は前にも見た・・・と思ったら、三菱一号館でのシャルダン展で見たんですね。
フラゴナールと弟子ジェラールの「盗まれた接吻」。ジェラール(女性)は服の表現に特徴がということだったが、すっごいリアルなんですね。ホントに着られそうな。
ロランは「トビアと天使のいる風景」。風景画のようで、聖書の物語。これ好きだなあ。魚がやっぱり怖いけど。
この章のラストはロベール=廃墟の画家。ロベール大好きです。

第6章:ドイツ・イギリス:美術大国の狭間で
この章でパッと目に入るのはクラーナハ「林檎の木の下の聖母子」。マグネット購入。聖母が冷たい感じ。クラーナハは特徴的ですね。やっぱり。
ゲインズバラの「青い服を着た婦人の肖像」は服より、盛り髪が気になったりしたが(笑)、ドレスはキレイです。
ウェストの「蜂に刺されたキューピッドを慰めるヴィーナス」のキューピッドはとってもキュートでした。

すごい有名な作品がきているわけではないですが、よい作品が多く見応えあり。
是非どうぞ。

2017/05/05

【雪村-奇想の誕生展】

art-23 【雪村-奇想の誕生展】 東京藝術大学大学美術館

1705051
ランス美術館展を見て昼食後、上野に移動。
鶯谷から歩いて藝大美術館へ。
2つめの展覧会は雪村展。

雪村は、名前に雪が入っているので雪舟と関係があるのでは?と思われがちだけれど、何ら関係のない戦国時代の絵師。常陸佐竹氏の出ながら家を継ぐことができず、寺に入って絵を描くようになり、関東から会津、三春へ、そして郡山で80代でなくなったと言われている。

第1章 常陸時代 画僧として生きる
まずは、「欠伸布袋・紅白梅図」。欠伸をする布袋さまがなんともユーモラスで、ついつい微笑んでしまうが、なぜか左右に紅白梅が。この組み合わせが不思議。
これが、尾形光琳(光琳は雪村をリスペクトしていたらしい)のあの紅白梅図屏風の元になったとか?うーん、それはちょっと違う気もするけれど、構図は似てますかね。
この作品だけでなく、光琳は確かに雪村の大きな影響を受けていることは間違いないですね。
「薔薇、葦に猫図」。この組み合わせもおもしろいが、猫がちょっと不思議?
「叭叭鳥」、かわいい。
「風濤図」は風の強さがこれでもかというくらいに表現されている。木が折れそう・・・

第2章 小田原・鎌倉滞在-独創的表現の確立
この展覧会で最も印象に残った作品の1つがこれ。「琴高仙人・群仙図」。琴高仙人は鯉を乗りこなしたという仙人だが、鯉の髭をつかんで乗る姿、馬に乗ってるみたい?まるでロデオ。
「七竹七賢酔舞図」。フツーの七賢図とは違って、みんな酔っ払っていて陽気だ。
この章の「鍾馗図」はちょっとやさしげ。
「百馬図帖」。いいですねぇ。禅画に通ずる単純な線で描かれた馬。

第3章 奥州滞在-雪村芸術の絶頂期
残念ながら重要文化財の「呂洞賓図」は前期の展示だったので見られなかったけれど、同じ題材の作品が2点。やはり首がぐっと曲がり、持った小瓶からは小さな龍が登っていき・・・斬新!
「宮女図屏風」はオーソドックスかと思いきや、波が手のようだし、細部を見ると何か変。
「四季山水図屏風」もいい。滝があったり、丸太?の橋があったり。よくよく見るとちっちゃく人がいっぱい描かれていたり。
「楼閣山水図」の楼閣はどこ?と思ったら左端にちっちゃく。構図がおもしろいですね。
そして、今回最も印象に残った作品2つめが「龍虎図屏風」。虎が猫なのはご愛敬だが、波がすごいな~妖怪の手みたい、生きた手みたい。そして、なぜそこから割れるんだ?竹!おもしろすぎる絵。

第4章 身近なものへの眼差し
雪村、豪快な絵ばかりかと思いきや、植物や動物を描いた小品も結構あり、それがまたよい。
「猿猴図」の猿がかわいい!
「葡萄図」。オーソドックスな作品。

第5章 三春時代 筆力衰えぬ晩年
こちらにも「猿猴図」が。たくさんの遊ぶ猿。楽しそう。一匹だけ白い猿がいる。
「花鳥図屏風」。右側が混みあっているのは本来は2倍あった画面を縮めたからだという。確かにごちゃごちゃっとなっているけれど・・・左とのバランスが(笑)。まあいろんなものが描かれてます。
「金山寺図屏風」。まるで定規を使って描いたかのように直線で構成されているが、なんといっても人がちっちゃくたくさん描かれているのが楽しい。単眼鏡を持っていけばよかったな。
雪村がよく描いたという「布袋図」がここにも。この布袋さん、とてもかわいいのでマグネットを購入しました。
「雪景山水図」は雪なのに人々があまり寒そうでないという・・・

第6章 雪村を継ぐ者たち
弟子たちの作品は、あくまで雪村風という以外の何ものでもなかったが・・・
狩野芳崖と橋本雅邦の作品が見られたのがうれしい。芳崖が結構雪村をリスペクトしてたんじゃないだろうか。
「牧馬図」や「枯木猿猴図」など、雪村の後継者という感じがした。

まさに奇想!
是非どうぞ。

1705052
帰りに藝大プロジェクトで作成された約150分の1のサイズという、バベルの塔の模型を見ました。
バベルの塔展は今月末に行く予定です。


2017/05/03

【ランス美術館展】

art-22 【ランス美術館展】 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館

1705031
連休スタート!
1つの目の展覧会は、ランス美術館展。

ランスは滞在時間があまりなかったので、この美術館は行っていないし、フジタ礼拝堂も中には入っていないのが心残り・・・

第1章 国王たちの時代
カラヴァジェスキ、フランドル絵画からバロック、ロココまで。
スタートのストンメ「レモンのある静物」はオーソドックスな静物画。ロンブー(と思われる)「コンサート」はカラヴァジェスキ。
ヴィニョン(に基づく)「ダヴィデ」は、当時の服装をした少年でダヴィデっぽくないが誰かモデルがいたのだろうか。
肖像画の中では「ソフィー夫人(またの名を小さな王妃)の肖像」が素敵だった。ロココ様式。ドレスが豪華!

第2章 近代の幕開けを告げる革命の中から
革命により王政が終わりをつげ、絵画は新古典主義、ロマン主義、写実主義へ。
ダヴィッドおよび工房作の「マラーの死」は、ブリュッセル王立美術館にあるものの再制作とのこと。フランス革命で活躍したマラーの暗殺事件は人気のある題材でたくさん絵があるらしい。劇的な作品。
ドラクロワの「ポロニウスの亡骸を前にするハムレット」もまたドラマチックな作品である。
そして、シャセリオーが2枚。シャセリオー展は近日中に行く予定だが、この2枚はシャセリオーと聞いてイメージするような作品。エキゾチックで。
デュビュッフの「ルイ・ポメリー夫人」は美しい女性だが、なんか聞いたことあるなあと思ったら、そうか!シャンパンのポメリー創業者の長男夫人なんですね。
このあたりから好みの作品が続く。
コロー(ラ・ペーニャよりコローの方が好き!)、ミレー、ブーダン。
今回一番気にいったのはブーダンの「ダンケルク周辺の農家の一角」。広がった空が素晴らしい。

第3章 モデルニテをめぐって
引き続き好みの作品がちらほら。
シスレーの「カーディフの停泊地」。明るい風景画。
ピサロは「オペラ座通り、テアトル・フランセ広場」。ピサロは晩年、パリを題材としたシリーズものを制作したらしく、その1枚。遠く向こうにオペラ座が見える。まとめてパリを描いた作品を見てみたいなあ。
アンティミスト、ヴィヤールの「試着」はらしい作品だが、そのお隣にあったジェルヴェックス(知らない画家)の「期待はずれ」がなんだか可笑しい。ものすごく不満げな女性が描かれいて、なんか笑ってしまう。
ゴーギャン「バラと彫像」は色がいいですね。ゴーギャンらしい。描かれた彫像は宿代がわりになったとのこと。
色といえば、大好きなドニ「魅せられた人々」は少々やりすぎ(笑)。こんなオレンジやピンクの人、強烈すぎる。

第4章 フジタ、ランスの特別コレクション
さすがランス!フジタのコレクションが充実している。
近年、アトリエに残されていた2000点以上の作品がランス美術館に寄贈されたという。
やっぱり!好きなのは「猫」ですね。ちょっと怖い顔の猫もいたりするが、中心にいる、牙がちらっと見えてる猫がいいなあ。
好きな作品ではないけれど、「授乳の聖母」と「奇跡の聖母」にはびっくり。聖母?普通の女性のような。こんな聖母像は見たことがない。
「マドンナ」も変わっている。モデルになったのは、映画「黒いオルフェ」の女優さんだとか。周囲の天使もアフリカ系だ。
「十字架降下」、「ヴァイオリンを持つこども」は和と洋の両方の要素を持つ絵。ひろしま美術館に「十字架降下」とともに「受胎告知」と「三王礼拝」があるそうで、すべて見てみたいなあ。
テンペラ画3枚もなかなかよかった。
最後は、平和と聖母礼拝堂内部のフレスコ画とステンドグラスのパネル展示と、これらの作品のための素描。素描でも迫力があるけれど、やはり、礼拝堂自体を見たかったと、つくづく思いました。

フジタのみならず、いろいろな作品が見られますので是非どうぞ。

2017/04/16

【帰ってきた!浮世絵動物園展(前期)】

art-21 【帰ってきた!浮世絵動物園展(前期)】 太田記念美術館

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今年度、太田記念美術館の年間パスポートを買いました~
ということでどしどし行かないと。
今月、来月は浮世絵動物園。7年前に開催されて好評だった展覧会がバージョンアップしてのお目見え。

畳に上がると、おや?美人画?
かと思ったら、足元にちっちゃな狆がいましたね。

動物百変化
いろいろな動物。中にはこれってなんだ?という動物もあったり。
虎は実在するけれど、見たことがないまま描くとなんだか虎というより猫のようなちょっとかわいいものだったり。
象も貴重な動物だったらしいが、河鍋暁斎はしっかり観察して描いていて、皺があって皮膚が硬そうな感じがよく出ていた。
擬人化された動物も。遊女を描くことができなかった時期に、雀で描いたのが歌川国芳の「里すずめねぐらの仮宿」。蛙で長州征伐を描いたのが河鍋暁斎の「風流大合戦之図」。蛙とはいえ、結構リアルな戦争の場面を描いている。
服部雪斎が描く、ウチハフグなどは非常によく観察されていて博物学的な絵である。これは博覧会で展示されたものらしい。

暮らしのなかの動物-愛されアニマル・働きアニマル-
暮らしの中の動物というと、猫、犬。
猫はかわいいのもあれば、ちょっと怖いのもある。
鶏でなかなかだったのは、最近ちょっと注目している昇斎一景の「東京名所四十八景 浅草観世音雪中」。鶏が大きく描かれすぎ・・・
広重の鶏はよかった。今回、広重のあまり見たことがない絵が何枚かあったのが収穫。
馬といえば・・・広重の「東海道五拾三次之内 池鯉鮒(ちりゅうふ)首夏馬市」ですね。風景画としてではなく動物画としてとらえた今回の展示である。
小林清親の軍人と馬の絵もあった。

祈りと動物-鶴・亀・干支(えと)・エトセトラ-
おめでたい動物が並ぶ中、疱瘡絵(天然痘除け)もあった。
みみずくや春駒、鍾馗などがモチーフとなるらしい。プラス赤色で描かれるんですね。

江戸流アニマルファッション
確かに、よくよく見ると動物が描かれた着物はいろいろとあるもので・・・
一番インパクトがあったのは、蛸かな~
歌川国貞の「江戸名所百人美女 薬げんぼり」である。
昨年、少しまとめて見たけれど、このシリーズ全部並べて見てみたいなあ。美女と小さく描かれた江戸名所のコラボ。ちなみに東本願寺は金魚の柄だった・・・

後期も行こう!

2017/04/15

【草間彌生 わが永遠の魂展】

art-20 【草間彌生 わが永遠の魂展】 国立新美術館

草間彌生展に行って参りました。
国立新美術館に到着したのは10時5分前。チケット売り場にはすでに列ができはじめており(見終わって出てきたら、かなりの列に)、入場するまでも少々待ちました。

現代アートはあまり得意な分野ではないのだが・・・
あのカボチャはなんかみたくなるというか。
始めて草間彌生を認識したのは、今から15年以上前に沖縄の佐喜眞美術館でのこと。丸木夫妻の絵を見に行ったらちょうど草間彌生の展示もしていて、あのカボチャに遭遇したのだった。

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まず会場に入る前にオブリタレーションルームに入ってみる。シールをもらい、好きなところに貼ることができる。参加型のインスタレーション。なんか楽しい。

1:21世紀の草間彌生(1)
会場に入るとまず圧倒される。

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連作「わが永遠の魂」が130枚ほども展示されている。
このシリーズは2009年から今も書き続けられているシリーズですでに500点を超えるという。
はじめにざざっと見て、ぐるりと周囲を見終わってから、最後にまた題名を一つずつ確認しつつ見た。
いやもう、スゴイとしか言いようがないですね。

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モチーフは、顔、アメーバ?、目、ドット、植物?などいろいろで、ありとあらゆるパターン、カラフルな色で描かれている。よくよく見ると、ちょっと怖い作品もあったり、毒々しいものもあったり、暗いものもあったりするが、トータルでは突き抜けた明るさを感じた。

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真ん中に展示されている真夜中の花がまた超ポップで楽しい。
なんとなく、ニキ・ド・サンファルを連想してしまいましたね。
どれが一番お気に入りかなあとぐるぐる回ってみたが、なかなか決められない。
あえて選ぶとしたら、これ。でも、また別の日に見たら変わることだろう。
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2:初期作品
少女時代から幻聴や幻覚に悩んだというが、ごく初期の作品から、シュール。
画家の初期作品はおとなしい作品が多かったりするものだが、全然。なんか悪夢を見ているような雰囲気の絵もあるし。
しかし、すでにこの頃もうドットが現れているんですね(「太陽」)。これがのちにかぼちゃに・・・

3:ニューヨーク時代 1957-73
ニューヨークに移ってはじめて認められたのは、小さな網目状のストロークで埋め尽くしたモノクロームのネット・ペインティング。あ、これは結構好きかも。
突起物をびっしり貼り付けたソフト・スカルプチュアは、はじめはおもしろいかもと思ったが、たくさん見ているとちょっと辟易してくるなあ。
ハプニング(パフォーマンス)アートは、苦手な分野。

4:21世紀の草間彌生(2)
そしてかぼちゃ!
ドットのかぼちゃを見ると、ある意味安心しますね(笑)
2011年の作品という鏡の中を通っていく「生命の輝きに満ちて」も好き。キラキラとキレイ。

5:帰国後の作品 1970-2000
帰国後1970年代の作品はコラージュ作品が多いが、これはなかなかおもしろい。組み合わせが。
その頃の心情を表したのか、ちょっと暗いテーマの絵も多かったが・・・
その後は色がどぎつすぎるくらいのもあったりするが、いやはや圧倒される。
「黄樹」もインパクトあるが、特にリビングルームの方。自分の部屋がこれだったら落ち着かないけれど(笑)、スゴイよ、これ。

1704157
外に展示されていた南瓜。

ともかく圧倒される展覧会です。
是非どうぞ。

2017/04/04

【オルセーのナビ派展】

art-19 【オルセーのナビ派展】 三菱一号館美術館

1704041
上野から東京駅に移動、次に向かったのは三菱一号館美術館。
ナビ派の展覧会である。
ナビ派の中でもドニは大好きな画家なので、逃すわけにはいきませんね。

1 ゴーガンの革命
セリュジェがゴーガンの教えを受けたことから誕生したナビ派。
ということでゴーガンの2枚から。
特に「《黄色いキリスト》のある自画像」を見て、セリュジェの「タリスマン(護符)、愛の森を流れるアヴェン川」を見るとその影響がよくわかる。
セリュジェのこの作品は、ほぼ抽象画のようで、ゴーガンの教えのとおり、見えたように色を塗った絵になっている。
同じくセリュジェの「にわか雨」は浮世絵風である。
一方、ゴーガンの「扇のある静物」とエミール・ベルナールの「炻器瓶とりんご」は親和性がある。

2 庭の女性たち
ドニやボナールは庭の女性というテーマの絵を多く描いている。
ドニの色遣いが大好きなのだが、中でも「鳩のいる屏風」は素敵。「若い娘の寝室装飾のためのパネル」のシリーズも結婚祝いとしてはうれしいだろうなあという作品。今回は9月と10月だったが、他の季節のも見てみたい。
ボナールの「庭の女性たち」の4枚組はポスター的というか装飾的。幸せな空気に満ちた作品。
彫刻家としてしか知らなかったマイヨールの絵もあった。

3 親密さの詩情
アンティミストであるボナール、ヴァロットン、ヴュイヤール。
ボナールの「ベッドでまどろむ女」は「庭の女性たち」とはまったく違う方向性。けだるいというかちょっと退廃的な匂いするする作品である。
近年注目を浴びているヴァロットンも揃っていた。
ヴァロットンの場合、親密といっても、何か一線を画すような、よそよそしさがあるのが特徴で、決して大好きなわけではないのに、ついつい見てしまうタイプの絵なのである。
版画集、アンティミテは白黒であるが故に、よりいっそう感情がないような・・・ちょっと怖い。いや、おもしろいのだけど、胸がざわざわするというか。
ヴュイヤールの「エッセル家旧蔵の昼食」もまた緊張感を強いられる作品。夫婦に会話がなさそうな・・・

4 心のうちの言葉
肖像画、自画像の数々。
なんといっても、ヴュイヤールの「八角形の自画像」がファンキー!髪は黄色、髭はオレンジ。インパクトがスゴイぞ。
ボナールの「格子柄のブラウス」は猫がいいんですね。のぺっとした平面的な絵だし、画面いっぱいに描かれているところなど、日本的と言えようか。
ドニは、いろいろな作品の女性が、妻マルトにそっくりなのだけど、ずばり「婚約者マルト」という作品もあった。幸せいっぱいの様子である。

5 子ども時代
ドニはまた自分の家族を多く書いていて、これまた幸せそう。バラ色がよくマッチしている。
一方、ヴァロットンの(何度も見ているが)「ボール」は不安を感じさせる絵である。ボールを追いかける女の子の背後に迫る木々の影、遠くに見える2人の女性があまりに遠く・・・このあと何かが起こりそうな気のする絵である。
ヴュイヤールの連作「公園」。今回の展示の中で一番気にいった作品である。穏やかな公園の風景。この絵がダイニングやリビングに飾ってあったら素敵だろうなあと思う(もちろん大きな邸宅でですけど)。

6 裏側の世界
ドニはプシュケの物語のシリーズもいいのだが(明るい色がいい)、やはり「ミューズたち」。手前にいるのはやはり奥さんマルトがモデル。ミューズというよりは現実の女性の姿に見えるのだが。
ヴュイヤールの「ベッドにて」は自画像とはうってかわって、白を基調とした絵でこれまた印象に残る絵なのだが、お隣にはこの展覧会一の衝撃が!
彫刻家のナビことラコンブの彫刻、「イシス」である。
そもそも見た目的にイシスには見えないところもなんだが、なぜ胸から赤いものが流れてるのか・・・髪は木になってるし・・・

ナビ派の作品がまとめて見られるいいチャンスです。
是非どうぞ。

2017/04/03

【ティツィアーノとヴェネツィア派展】

art-18 【ティツィアーノとヴェネツィア派展】 東京都美術館

1704031
おとといの土曜日、ティツィアーノとヴェネツィア派展に行って参りました。
翌日で終了ということで混雑が予想されましたが・・・確かに人はたくさんいたものの、ゆったりとした展示だったので、思ったほどストレスなく見ることができました。

まずは、ヴェネツィアの鳥瞰図からスタート。俯瞰図、鳥瞰図は大好き。ついつい長い時間見てしまう。1500年頃の版画だが、この当時からぎっしりと建物があったのだなあということがわかる。

Ⅰ 1460-1515 もうひとつのルネサンス、ヴェネツィア
ヴェネツィア派は、ヴィネツィアとその周辺地域の美術の流派であるが、特徴としては油彩画(湿気が多いのでフレスコ画が難しい)が多く、色彩を重視する。
フレスコ画が多くデッサン重視のフィレンツェ派とは別の路線である。
このパートでは聖母子像が多かったが、まず目を惹くのはベッリーニの「聖母子(フリッツォーニの聖母)」。ティツィアーノの師である。
真っ青な空を背景に描かれる鮮やかな聖母子像。手すりの向こうに聖母子を配する構図はベッリーニが多く描いているという。
その他印象に残った聖母子像は「聖母子と聖ロクス、聖セバスティアヌス」。なぜこの2人が?と思ったが、ペストに関する守護聖人なのですね。よく見るとロクスは足の傷を指し示している。セバスティアヌスが矢がささっても全然平気そうだ。
早速ティツィアーノが1枚。
「復活のキリスト」。ん?しかし、これずんぐりむっくりで全然キリストに見えない(笑)。復活の旗を持ってはいるけれど、勝利を祝う人みたいな?

Ⅱ 1515-1550 ティツィアーノの時代
さて、いきなりの真打ち登場!
「フローラ」である。ウフィツィでも見ているのだが、肌の美しさ!髪の美しさ!マグネットを買おうと思っていたのだが、売り切れ・・・残念。
フローラに感激したところで、衝撃を受ける絵が。
ヴェッキオの「ユディト」である。こんなふくよかな(控え目な表現)なユディト、他に見たことないよ~ちょっと力強すぎないか(笑)
フランチェスコ・ヴェチェッリオの絵が1枚。この人、ティツィアーノの兄だという。へえ、お兄さんがいたのか。はじめて聞いた。衣服がとてもリアルに細かく描かれている、という印象のみ。
そして、初来日というティツィアーノの「ダナエ」。金の雨・・・だけでなく金貨も降り注ぐ。ちょっと艶めかしいダナエだが、体のねじれがちょっと不思議。
ミケランジェロはこの絵の色彩は素晴らしいけれど、デッサン力が足りないと言ったとか・・・
お隣にはティントレットの「レダと白鳥」が。ユピテルつながりで。
ティントレットは、ティツィアーノとともにヴェネツィアでたくさん作品を見たのだが、ティントレットの方がダイナミックだろうか。
「ダナエ」と「レダと白鳥」どちらが好きかと言われたら、うーん、難しいけれど「ダナエ」かな。

Ⅲ 1550-1581 ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼー巨匠たちの競合
ティツィアーノの「教皇パウルス3世の肖像」は、ビロードの衣装の質感がスゴイのだが、若干すり切れているようにも見え、教皇自身もなんとなくくたびれて描かれていて、これって大丈夫だったのかしら?と思ったのだった。
「マグダラのマリア」は後期の作品で、服を着たバージョン。髪が長くて、髑髏、香油壺が描かれているのでマグダラのマリアだなとわかるけれど、わりとおとなしめ。
ヴェロネーゼと助手の「最後の晩餐」は、イエスと同じ皿に手を伸ばしているのでこれがユダかと思ったが、金貨の入った袋がわかりづらかった。
ヴェロネーゼの「聖家族と聖バルバラ、幼い洗礼者聖ヨハネ」は女性の金髪と金の衣装が美しい。
「カナの婚礼」、またルーヴルで見たいなあ。

点数は少なかったけれど、充実した展覧会でした。
(すでにこの展覧会は昨日で終了しています。)

この日の上野公園の桜。
1704032

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