文化・芸術

2017/10/09

【生誕120年東郷青児展】

art-42 【生誕120年東郷青児展】 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館

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朝倉彫塑館に行ったのち、損保ジャパンで東郷青児展を見て参りました。

実は、ワタクシ、東郷青児はあまり得意ではなく・・・
しかし、この展覧会は初期~晩年まで見られるし、先日の日曜美術館でもやっていて、ちょっとだけ興味を持ったので行ってみることに。

第1章 内的生の燃焼 1915~1928年  Flame of the Inner Life
この第1章が一番興味深かったですね。
東郷青児が作風を確立する前に修業時代。
ヨーロッパに渡って、キュビズム、未来派などの影響を大きく受けての作品。
これが意外といいんですね。
作風は全然定まっていないのだけど、ワタクシ、こういう作品の方が好き。
キュビズム風あり、もうちょっと後のピカソ風あり、カンディンスキー風あり・・・
それでもこの時代からちょっぴり東郷青児風な作品も見受けられた。

第2章 恋とモダニズム 1928~1930年代前半  Love and Modernism
時代が進むとモダニズム・・・というかシュールな絵に。
この美術館のロゴマークにもなっている「超現実派の散歩」。この題名もよくわからないけれど、まさにシュルレアリズム。古賀春江などと親和性があるような・・・
どうでもいいことだけれど、この作品も片方の手だけ手袋をし、片方だけ靴を履いているのだが、他の作品でも片方だけソックスだかストッキングをはいていて・・・これってどういう意味なんだろう?
そして、この展覧会で一番気にいったのが、「月に吠える」。単純化されたシュールな犬と月。これ、マグネットがあったら買ったんだけどなあ。

第3章 泰西名画と美人画 1930年代後半~1944年 Western Style Masterpieces and Portraits of Beauties
ほぼ東郷青児の完成形である絵が並ぶ。
その中で興味深かったのは、藤田嗣治との競作。
京都の丸物百貨店というデパートの壁画だったのだが、それぞれ非常によく特徴が出ているのである。
フジタのを見ればああやっぱりフジタと思うし、東郷青児はその特徴が現れつつあるし。
ちなみに「海山の幸」という作品では、フジタの手も入っているらしいのだが、やはり海のものをフジタが描いたんでしょうね。壁画もフジタは「海の幸」、東郷は「山の幸」だったので。

第4章 復興の華 1945~1950年代  Flower of the Recovery
東郷青児ワールド全開!
白い髪、ベタッとした塗り、様式化された女性。
これがちょっと苦手なんですね。マリー・ローランサンがあまり得意でないのと同じ意味で。
でも、雑誌や本の装丁なんかにはあうのかなとは思いましたね。
デザイン的なのであうと思う。
この章で一番よいと思ったのは、晩年の作品「若い日の思い出」。柔らかな雰囲気がよいです。

東郷青児の作風の変遷がよくわかる展覧会。
是非どうぞ。

2017/10/08

【猫百態―朝倉彫塑館の猫たち―展】

art-41 【猫百態―朝倉彫塑館の猫たち―展】 朝倉彫塑館

前々から行ってみたいと思っていた朝倉彫塑館に、やっと行くことができました!
猫の展覧会をやってると聞いたからにはいかざるをえません・・・

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日暮里駅から約5分。
玄関はコンクリート造のアトリエ棟の方にあり、靴はぬいでビニールに入れて持って歩く。

入ってすぐに猫がお出迎え。
「餌はむ猫」。食べてるのは魚?煮干し?
ぐるっとアトリエを見渡すと猫、猫、猫・・・
なのだが、ん?この大きいのは大隈重信像?
早稲田にあるのと同じように見えるけど・・・
どうやら、3つ作ったらしく、こちらにあるのは2番目に作ったものらしい。
早稲田で見ると立て看だらけで(今はどうなのか?)そうそう近づいて見られなかったものだけど、近くで見てみると実に大きく堂々としている。

アトリエは天井が高く、三方から光も入って開放感があるが、なんでも地下には電動昇降台の装置があるらしい。これで高さを変えて、かがんだり無理な姿勢をしなくても作ることができたということのようだ。

眠る猫、獲物の捕らえる猫、子猫たち、のびをする猫、歩く猫、じっと何かを狙う猫、首の後ろをつままれた猫・・・
いろいろな姿の猫が、アトリエだけでなく、住居棟の方にも展示されている。
アトリエで一体、散歩中とあってどこにいるのかなあと思ったら、二階の和室でくーくーと眠ってました!

どの猫たちもよく特徴をとらえていて、リアル。
多いときで15,6匹の猫を飼っており、よくよく観察した結果、まるでホントに生きているかのような猫たちができたのだろう。
いや~かわいい!彫刻好きの方だけでなく、猫好きな方も必見!

1964年、東京でのオリンピック開催が決まった時、オリンピックにあわせて猫百態展を企画したものの、その年の4月に急逝、この願いは叶わなかったという。猫100匹、見てみたかったですねぇ。

アトリエの最後に、代表作の1つ、「墓守」があり、その後住居棟へと入る。
まずは書斎。
画家であり舞台美術家である娘、朝倉摂(昔、ヤマトタケルを見たな~)のスケッチ(これまた猫がかわいい)、書簡なども展示されていた(前期のみ)。
蔵書がすごい数だが、恩師の先生の蔵書を借金までして買い戻したものだとか。

中庭も素敵。どこから見ても絵になります。
建物内部と中庭は撮影NGなのが残念ですねぇ。昔はOKだったらしいのだけど。

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天王寺玄関からは外に出ることができる。これまた趣がありますね。

居間、茶室、寝室、ピアノの間を中庭を囲むようにぐるりと見学したあとは2階へ。素心の間からの中庭の眺めも美しい。

3階に上がったところにあるのが要人をもてなすために使用したという朝陽の間。部屋の中は赤い瑪瑙壁、外の壁は貝を混ぜたという白い壁でコントラストが素晴らしい。

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そこから屋上に上がることができる。是非とも晴れた日にいくべきですね。
朝倉文夫は、菜園として使用していたそうだが、今は庭園となっている。
大きなオリーブの木があり、「砲丸」(これは玄関からもちらっと見えている)と「ウォーナー博士像」という作品もある。
この当時、屋上に菜園があるというのは画期的だったんでしょうね。

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下って、アトリエ棟の2階にある蘭の間へ。
かつて蘭の栽培室(蘭の栽培が趣味だったという)として使用されたという。建物の中ではここだけ撮影OKだった。
ここに、AKN(朝倉の猫!)総選挙投票場所があって3つまで投票できるということでワタクシも投票。
迷ったのだけど、「吊された猫」、「のび」、あと題名は忘れてしまったが寝ている猫にした。次点、「餌ばむ猫」。

これで終了。

彫刻も素晴らしいけれど、邸宅も素敵です。
是非一度!

2017/09/18

【藤島武二展】

art-40 【藤島武二展】 練馬区立美術館

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練馬区立美術館で開催された生誕150周年記念藤島武二展に行って参りました。
ホントは日曜日に行くつもりが台風で延期(行けなくはなかったけれど)。最終日に行くことになった。
最終日だからか、多少混雑あり。

序章として、「婦人と朝顔」からスタート。ちょっとけだるい雰囲気の絵。

Ⅰ-1 修業
藤島武二の師たちの絵画が数点。
この中で気にいったのは、曾山幸彦「上野東照宮」(平山東岳「松下虎図」も猫のような虎がお茶目)だが、一番その影響を感じるのは黒田清輝。
「池畔納涼」など、非常に黒田清輝的である。「湖畔」のイメージ。
「桜の美人」は顔が緑色で、ルノワールを連想するけれど、黒田清輝の「アトリエ」もそうなんですね。

Ⅰ-2 飛躍
藤島武二は装丁も多く手がけているが、アール・ヌーヴォーのような、ミュシャ的というか。
与謝野晶子の『みだれ髪』もそうだったんですねぇ。
その他の与謝野夫妻の作品も多く手がけており、雑誌の表紙などもたくさん展示されていたが、グラフィカルでおしゃれ。へえ、こういイメージなかったな。
この時代、絵葉書がブームになったそうで、藤島の作品もたくさんあったが、ヌーヴォー的だったり、ラファエル前派的だったり、なかなかよいのである。
ラファエル前派といえば、「夢想」もそう。ロセッティの影響を受けたとあったが、確かに雰囲気はそうかもしれない。

Ⅱ-1 留学
フランス、イタリアに留学したことが転機となった藤島。
残念ながら、イタリアへ移動する際に、パリで書きためた作品の多くが盗難にあってしまい現存しないとのことだが、「ヴェルサイユ風景」は現地で描いた絵の一つ。
この風景画はわりとオーソドックスだったが、イタリアで描いた「糸杉」などは、かなり抽象化された作品である。
やはり、人物画の方が印象に残りますね。
「チョチャラ」、「イタリア婦人像」、「老人像」いずれもいい。

Ⅱ-2 模索
帰国後、東京美術学校の教授となり、文展に出品するも不本意な結果が続く。
模索の時代であったようだが、確かにそれまでとは違った作風の作品もちらほらと登場している。
人物画の「うつつ」は細かい描写が減って大胆になり、静物画「アルチショ」はゴッホのよう。やや線の細いフォービズム的作品もあったり、「カンピドリオのあたり」は壁画のよう。色はドニのよう。
以前見たことがある(ブリヂストンでの「描かれたチャイナドレス展」)「匂い」もきていた。日本人が油彩でチャイナドレスを描いたはじめての作品とのことだが、これまたちょっとけだるい雰囲気。

Ⅱ-3 転換
ルネサンス期には横向きの女性像が一般的で、そこから発想を得て、藤島も多くの横向きの女性像を描いている。
今回は「鉸剪眉」、「東洋振り」など。
モデルは日本人?のようだけれど、ドレスがチャイナドレスということもあって、アジアンな雰囲気。
「東洋振り」は女性の顔が優しげで素敵だ。

Ⅲ-1 追求
宮中学問所からの依頼を受け、日の出を描こうと考えた藤島は、各地を旅する。日本のみならず台湾やモンゴルなども。
というわけで日の出の絵はたくさんあったのだが、次第に単純化されていって、日の出だけに集中しているかのよう。船などはあまりしっかり描かれていない。
モネの「印象、日の出」の雰囲気を目指したのだろうか。
この時期、風景画を多く描いているが、それほど色鮮やかでないフォービズムといった感じ。

Ⅲ-2 到達
日の出の絵の一つだが、内蒙古で描いたという「蒙古の日の出」、これはいいですね。
らくだはささっとしか描かれておらず、砂漠も曖昧な感じなのだけど、日の出の色が美しい。風景画ではこれが一番のお気に入り。
絶筆もやはり日の出を描いたもので「港の朝陽」。さらに曖昧さは増していて、すべてが溶け合うかのような絵であった。
そして、最後に飾られた絵は、「耕到天」。セザンヌのような、ポン=タヴァン派のような。平面的な風景画。大きな作品で迫力があった。

藤島武二の画風の変遷がよくわかる展覧会でした。
見たことのない作品も多く、充実しています。

残念ながら、本日で展覧会は終了です。 

2017/08/29

【レオナルド×ミケランジェロ展】

art-39 【レオナルド×ミケランジェロ展】 三菱一号館美術館

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渋谷から移動、この日の3つめの展覧会は、レオナルド・ダ・ビヴィンチとミケランジェロの展覧会。それも素描に焦点を当てた展覧会である。

序章:レオナルドとミケランジェローそして素描の力
レオナルドの自画像(ファクシミリ版)とミケランジェロの肖像画からスタート。2人ともとっても気むずかしそう(笑)
そして、いきなり、今回のハイライトが。
ダ・ヴィンチの「少女の頭部/岩窟の聖母の天使のための習作」とミケランジェロの「レダと白鳥の頭部のための習作」。
両者とも、習作とは思えない完成度で、甲乙つけがたいが、ミケランジェロの方が完成度が高い気がする。
レダの方はモデルが男性とのことで、確かに言われてみると男性的な骨格のようだ。
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Ⅰ:顔貌表現
さすがレオナルド!きっちり比率を計算して正確に描写した素描があった。
「老人の頭部」、これもそうなのかな。頑固そうな老人。
ミケランジェロの素描は、斜め上や斜め下から描いたものが多かった。おおっ、システィーナ礼拝堂天井画のための素描ですね。

Ⅱ:絵画と彫刻:パラゴーネ
レオナルドは絵画、ミケランジェロは彫刻。
レオナルドは絵画の優位性を主張したが、ミケランジェロはどちらがすぐれているかの議論はやめようと言ったという。
とはいえ、ミケランジェロは彫刻家的な視点から絵を描くこともあったのだろう。
「背を向けた男性裸体像」の習作は筋肉の描き方が彫刻的だ。

Ⅲ:人体表現
2人とも実際に解剖して人体の構造を研究している。
筋肉、骨格など、さすが!なのである。
しかし、ミケランジェロはさらにマニエリスムの方向へと向かっていき、最後の審判など、体のねじれはすごい。

Ⅳ:馬と建築
馬に関心が高かったというレオナルドはたくさんの馬の素描を残している。
筋肉を描くということに関心があったのかもしれない。

Ⅴ:レダと白鳥
共にオリジナル作品は現存していない「レダと白鳥」だが、今回は追随者による作品が残されている。
どちらが好みかというとミケランジェロかなあ。
レオナルドの作品は、白鳥が黒鳥のように黒かったり、2つの卵から双子が2組産まれたところも描かれていたりして、ちょっと不気味だ。

Ⅵ:手稿と手紙
レオナルドの手稿、たくさん残されているが、これ、見るの楽しみですね~
アイディアの宝庫。レオナルドのあふれ出るアイディアは、実現不可能なものもあるけれど、今ならできそうなものもあったり。やはり天才だ。
ミケランジェロの書簡は、詩もあったりとか、繊細な一面も垣間見える。

終章:肖像画
レオナルドの「月桂樹の冠をかぶった男性の横顔」はややデフォルメした感じもある。

最後、1階に降りると、ミケランジェロの未完の作品(後年別の彫刻家の手で完成された)「十字架を持つキリスト」の展示があった(撮影可)。どこまでミケランジェロの手によるものかわからないが、よく持ってきたなあと。
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2人の違いを是非とも!

2017/08/28

【ベルギー奇想の系譜展】

art-38 【ベルギー奇想の系譜展】 Bunkamuraザ・ミュージアム

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吉田博展を見て、昼食後渋谷に移動。
お次は、ベルギー奇想の系譜(ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで)展である。

15世紀から21世紀まで、ベルギーの奇想絵画を紹介する展覧会。
こうした切り口もおもしろい。

Ⅰ 15-17世紀のフランドル美術
副題にボスから・・・とあるので、ボスも来てるの?と思ったら、ボス工房とかボス派とか、模倣者とかだった。そうだよね、ボスって作品数少ないですから。
それでも、ボス工房の「トゥヌグダルスの幻視」は、ボスが存命中に描かれていたものだとのこと。もしかすると、ボスもごく一部分描いてる?
いずれにせよ、非常にボス的。
七つの大罪と罰が描かれているのだけれど、奇っ怪な生きものもいるし、気持ちの悪い光景も。でもなんかユーモラス。細かく見ていくときりがない。
聖アントニウス、聖クリストフォロスはよく描かれるが、奇妙な光景として描きやすい題材なんでしょうね。
ブリューゲルの版画もたくさん。
何度か見ている作品も多かったけれど(最近では、【ブリューゲル バベルの塔展】でも見ている)、面白いですね。
「大きな魚は小さな魚を食う」。おお!これはタラ夫(バベルの塔のマスコットキャラクター)の絵じゃないですか。
「七つの大罪」「七つの徳目」も見たばかりではあったけれど、奇妙で楽しい(というのも変だが)。
ボス、ブリューゲルの後に、テニールスやルーベンスを見ると、あまりにフツーに見えてくる。
ルーベンスの「ライオン狩り」「カバとワニ狩り」は迫力あり!

Ⅱ 19世紀末から20世紀初頭のベルギー象徴派、表現主義
まずはロップス。
ロップスは少々退廃的な雰囲気で、好きな画家とは言いがたいのだが、奇妙な絵画ではある。そして、画家の冷めた目線が少々怖い。
クノップフの作品も冷たい雰囲気が漂う。
この2人よりもワタクシの好みとしては、アンソールなのだけど、今回の絵は骸骨がモチーフのがあまりなかったのが残念。どれも色遣いはまさにアンソールなのだけど。非常にカラフル、でもどこか不気味なアンソールである。
今まで知らなかった画家ではヌンクの「運河」が気にいった。幻想的な風景画。

Ⅲ 20世紀のシュルレアリスムから現代まで
デルヴォーも好きな画家。
冷たく、無表情な女性たち。動きのない画面。実にシュールで、幻想的。
そして、ルネ・マグリット。あの「大家族」もきている。今回きている作品はほぼ日本の美術館所蔵のものだが、意外と持ってるんですね。
この章のお気に入りは、はじめて知ったブロータールスの作品。
「マウスが「ラット」と書く」、「猫へのインタビュー」(サウンド作品)。この人、猫好きだよね、きっと。
そして、トマス・ルルイの「生き残るには脳が足りない」。頭でっかちな人間への皮肉?諷刺画ならぬ諷刺彫刻のようだ。
ヤン・ファーブルの「フランダースの戦士」は素材として昆虫が使われているのだが、なんとこの人、ファーブル(昆虫記の)のひ孫とのこと。どうりで・・・

ベルギーになぜ奇想の芸術が現在まで引き継がれてきたのか?
国民性なのか風土なのか・・・
いずれにせよ、不思議な芸術を堪能できる展覧会です。
是非どうぞ。

2017/08/26

【吉田博展 後期】

art-37 【吉田博展 後期】 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館

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初日に行った吉田博展の後期に行って参りました。
先週土曜日の午前中に行ったのですが、混み混み!この美術館でこんなに人がいたのははじめてかも・・・
さすが人気ですねぇ。

前後期で66点入れ替えで、それらを中心に鑑賞。
詳しい説明等は省略、軽く感想を。


第一章 不同舎の時代
やはり、人物画などより風景画がいいですね。デッサンも水彩画も。
飯能、御岳、養沢など。
静かな風景にホッとする。

第二章 外遊の時代
季節、時間にこだわって描いてた吉田博。
今回も、「朝」、「農村の夜明け」、「昨夜の雨」など素敵な作品があったが、
一番のお気に入りは「雪かき」。
「フロリダの熱帯植物園」、「ロイヤル・ポインシアナ・ホテル」はエキゾチックな雰囲気で、ちょっと異質か。
「池の鯉」を見て連想したのは、水前寺公園で陸に上がってきた鯉たち。怖い(笑)。

第三章 画壇の頂へ
この章はあまり入れ替えなし。
前期も見た「槍ヶ岳と東鎌尾根」、「バラ」がやっぱり素晴らしいのだが・・・
今回のお気に入りは、水彩画の「檜原下川のつなさんの馬」と「富士登山図」。後者は日本画で、こんな絵も描いていたんですね。

第四章 木版画という新世界
欧州シリーズ、日本アルプス十二題が前後期で入れ替え。
「ユングフラウ」、「ヴェニスの運河」。また行きたいなあ。
日本アルプスもいいんだけど、これ!「雷鳥とこま草」。雷鳥はこどもだろうか。かわいい。
風景として好きなのは、ちょっとガスってる「鎗ヶ岳」。神秘的な槍だ。
どちらのシリーズも全部並べて見たかったところ。
東京拾二題の隅田川の変化も美しい。
まあでも、やっぱり山の版画がいいかなあ。

第五章 新たな画題を求めて
前期でも気に行った「カンチェンジェンガ」だが、後期にも別バージョンが。
今回は午後のカンチェンジェンガ。やはり、並べて見たい!
だんだん暗くなる様子が美しい。

第六章 戦中と戦後
入れ替えは「蘇州」のみ。
戦時中の画だが、明るい。

残念ながら、展覧会は明日で終わりですが、是非どうぞ。

2017/08/14

【アルチンボルド展】

art-36 【アルチンボルド展】 国立西洋美術館

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ボストン美術館の至宝展を見て、昼食をはさんで西洋美術館へ。
アルチンボルド展である。

アルチンボルドといえば、だまし絵、寄せ絵。
しょっちゅう見る気もするけれど、アルチンボルド単体の展覧会というのははじめてらしい。

Ⅰ アルチンボルドとミラノ
まずは「四季」。晩年の作品。四季折々の植物からなる像だが、老婆?に見える。
続いて下の階におりて、自画像。
1枚目はフツーの自画像だったが、2枚目の「紙の自画像(紙の男)」は、なんと紙でできた肖像画。自画像まで!遠くから見るとフツーに肖像画なんだけど・・・
ダ・ヴィンチの素描が2枚。アルチンボルドはダ・ヴィンチの影響を受けているようだ。イギリス王室のコレクションなんですね。

Ⅱ ハプスブルク宮廷
ミラノに生まれたアルチンボルドはハプスプルク宮廷の宮廷画家となり、装飾、舞台美術の仕事などもしていたとのことで、装飾デザイン集の展示があった。
そして、いよいよ、四季の連作及び四大元素の連作。
これらがすべて揃うとは!
春と大気、夏と火、秋と大地、冬と水が対になっており、それぞれ向かい合って展示されている。
四季は若者から老人へとなっていたんですね。
好みからいうと、夏(野菜)と秋(果物とワイン樽)だろうか。
四大元素の方は、鳥、海の生きもの、動物が集められているが、よくこんないろいろな生物を描けたなと。宮廷画家だったので、あらゆるものを観察する機会があった、ということらしいのだが。
しかし、大気(鳥)、大地(動物)は近くでよくよく見るとちょっと不気味(笑)。
いやしかし、今後こんな展示はないだろうなあ。

Ⅲ 自然描写
この時期、自然を描くということがはじまっており、博物学的な画が多く残されている。アルチンボルドもそうした図譜の制作に関わったらしい。
今回展示されていた作品はアルチンボルドではなかったが、動植物が好きだったら楽しめますね。

Ⅳ 自然の奇跡
多毛症の家族を描いた絵。
これも観察の対象?
怖い物みたさではやったのかも?

Ⅴ 寄せ絵
アルチンボルドの追随者による寄せ絵。
でもやっぱりアルチンボルドの絵の方が出来がいいような?

Ⅵ 職業絵とカリカチュアの誕生
「ソムリエ」は、ワインに関するもの、「司書」は本で構成される。
「法律家」はむしられた鳥や魚などで顔が作られているがなぜ?どうやらモデルになった人にそっくりということで、ディスられてる模様。
ソムリエや司書もディスってるのかも?
この3枚、おもしろい。

Ⅶ 上下絵から静物画へ
「庭師/野菜」と「コック/肉」。逆さまにすると違って見える・・・というのは、国芳なんかでもありますね。
「庭師/野菜」の方が出来がいいかなあ。「コック/肉」は少々無理があるような?
まあしかし、よく思いつくよ・・・
フィジーノの「金属製の皿に載ったモモとブドウの葉」はイタリアで最も古く描かれた静物画とか。
アルチンボルドの影響を受けてるってことでしょうか。

これはおもしろい展覧会です。
是非どうぞ。

2017/08/12

【ボストン美術館の至宝展】

art-35 【ボストン美術館の至宝展】 東京都美術館

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夏休みお出かけ3日目は上野の美術館×2。
まずは都美術館で開催されているボストン美術館の至宝展へ。

ボストン美術館展はしばしばやっている気がするが、何度行っても違う作品が見られる!何せ50万点以上も所蔵しているんですから。
今回は、
Ⅰ異国を旅したボストニアンたちとして、1、2、3
Ⅱ「グランド・ツアー」ヨーロッパ美術を集めたボストニアンたちとして4
Ⅲアメリカン・ドリーム 自国野美術を収集するボストニアンたちとして5
Ⅳ同時代の美術へ 未来に向かう美術館として6、7
という構成。

1 古代エジプト美術
ボストン美術館はハーバード大と共同で発掘調査を行って、たくさんの発掘品を持ち帰っている。その数4万点以上とか。
印象に残ったのは、「高官クウエンラーの書記像」。あの書記座像を連想する。
「メロン形ビーズの装飾品」は、細長いメロンの形でメロン色。大ぶりなネックレス。
「ツタンカーメン王頭部」はよく見るツタンカーメンより年をとってるような?

2 中国美術
なんといっても、陳容の「九龍図巻」がすばらしい。ダイナミックな9匹の龍。躍動感が溢れる。
皇帝徽宗の「五色鸚鵡図巻」。鮮やかな色の鸚鵡が美しい。

3 日本美術
フェノロサやビゲローが集めた日本美術コレクションもなかなかのもの。その数1万点以上とか。
まずは尾形乾山(画は兄光琳)のお皿が渋くてよい。
そして、今回の目玉の一つ、英一蝶の「涅槃図」が楽しい。実に51種類の動物が描かれているとのことで、ちょっと変な動物もいたりするが、いやはやよく描いたなあ。かなり小さい動物もいる。すずめとか蝙蝠とか蝶々とか。
曽我蕭白もまた楽しい。少々漫画チックなところもあるが、大胆な筆致。「風仙図屏風」は強い風が吹いている。
歌麿の「三味線を弾く美人画」は繊細。
司馬江漢「秋景芦雁図」は不思議な遠近感。
あのモースが寄贈したという「銹絵鳰形香合」、かわいい!

4 フランス絵画
ミレーが4点。
中には、たった3点しかないという静物画の一つが。
しかし、好みなのは「編み物の稽古」。
ブーダンはヴェネツィアを描いた絵だったが、さす空のブーダン、広い空が広がる。
モネも4点。
「くぼ地のヒナゲシ畑、ジヴェルニー近郊」はあの有名なオルセーの「アルジャントゥイユのひなげし」から人物をのぞいた絵という感じ。
「ルーアンの大聖堂、正面」もきていた。これは昼間かな。是非全部並べて見ていたいものだ。
「睡蓮」はまだ崩れていない睡蓮。
静物画が5点並ぶ。
クールベやラトゥール、シスレーの静物画はかなり正統派だが、やっぱりセザンヌかなあ。
ゴッホはルーラン夫妻を描いた絵が2枚。2枚並ぶと結構強烈。ごつごつした感じ、奥さんの絵の背景など。

5 アメリカ絵画
知らない画家も多いのだが、サージェントの人物画はよい。
案外気にいったのはオキーフの花の絵。
オキーフといえば動物の骨だけれど、画面いっぱいの花もよく描いていて、迫力。

6 版画・写真
ホッパーとホーマーの版画、なかなかいい。
ホッパーの荒削りな線。
ホーマーはどちらかというと水彩画の方が有名かと思うが、海の風景を描いた版画、暗いけれどドラマチック。

7 現代美術
ウォーホルはまあ見たことあるような作品だったが、強烈なのはホックニー「ギャロビー・ヒル」。このすごい色彩はなんでしょう!
一番おもしろかったのは映像作品、サム・テイラー=ジョンソンの「静物」。
野菜や果物が腐っていく様子を撮っているのだが、これはセザンヌの静物画の実践?

広範囲にわたって見られる展覧会。
是非どうぞ。

2017/07/24

【大江戸クルージング展】

art-34 【大江戸クルージング展】 太田記念美術館

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ジャコメッティのあと、移動し、太田記念美術館で大江戸クルージング展を見て参りました。

江戸は、海に面しているのもそうだけれど、堀や水路が縦横にはり巡らされていて、水の都であったという。
そんな水をテーマにした展覧会。
こういう切り口もあるんですね。

名所江戸百景から何点も。
一番有名なのは「大はしあたけの夕立」だろうか。
「京ばし竹がし」も好きな作品。ホイッスラーの作品もついでに思い出したりするけれど、おぼろな月と水の藍色がきれい。
あんまり記憶になかった「鎧の渡し小網町」も白壁の蔵が連なっていてインパクトありますね。
今回の展覧会、学芸員の方が、現在の風景を写真におさめ、並べて展示しているのもおもしろい。まだ面影を残している場所もあるけれど、ほとんどがよくわからない。

水といえば、花火。
一大娯楽だったのだろうか、花火の絵はたくさんあるのだけど、どれも人がぎゅうぎゅうで(笑)
両国橋の密集度がはんぱない!こんなに人が乗って大丈夫なのか・・・
一番ツボだったのは歌川芳艶の「両国大花火の図」。花火を楽しむ女性たちの図なのだけれど、皆さん酔っ払い?枝豆を房ごと食べてる人もいたり。
国貞の「極暑あそび」もおもしろい。なんだか変な泳ぎをしてる役者たち。こんなんで泳げるの?という・・・

雪の風景だったらば、名所江戸百景の「日本橋雪晴」。これ美しいなあ。
北斎の「雪月花 隅田」もきれいな雪景色。

そして、さらにツボだったのが、品川付近の名所江戸百景。
最近、東海道歩きで通ったところなので。
「芝うらの風景」はゆりかもめがかわいすぎ?
「南品川鮫洲海岸」は浜川砲台のところだ!あの運河の昔の風景ですね。
「はねたのわたし弁天の社」はすみません。船頭さんのすね毛うで毛にどうしても目がいっちゃいます(笑)

江戸以外の水の風景も。
歌麿「江之島岩屋」は江ノ島がデフォルメされすぎのような?

最後のパートでは船の種類が紹介されていて勉強になった。
屋形船、屋根船、煮売船、弁財船、高瀬船など。
中でもはじめて知ったのが、猪牙舟。舳先が尖った舟で、細身なので狭い川や運河でも動きやすかったらしい。やっぱり尖ったところが猪の牙みたいだからこの名前なんでしょうか?

夏にぴったりの展覧会でした。
残念ながら昨日で終了しています。

2017/07/22

【ジャコメッティ展】

art-33 【ジャコメッティ展】 国立新美術館

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国立新美術館で開催されているジャコメッティ展に行って参りました。
ジャコメッティの彫刻はよく見るけれど、ジャコメッティだけの展覧会は行くのははじめてである。

1.初期・キュビズム・シュルレアリスム
ジャコメッティといえば、細長い彫刻・・・のイメージだけれど、初期の頃はキュビズムやシュルレアリスムの作品を残している。
キュビズム的な彫刻もおもしろかったけれど、一番おもしろかったのは、「女=スプーン」。アフリカのスプーンからインスピレーションを得たとのことだが、遠くからみたら女性と思ったのが、近づくとスプーン!
「キューブ」はん?これキューブかなという形だったけれど、意外と気に行った。
思わず笑ってしまうのは「鼻」。ピノキオのような鼻の人物でとってもユーモラス。

2.小像
シュルレアリスムから離れたジャコメッティは彫像の制作をし始めるが、台座が大きくなっていくのと反比例して像はどんどん小さくなっていく。
なんとマッチ箱に入るサイズのもあって、逆によくこんな小さいのを作ったなあと。

3.女性立像
戦後、高さのある彫刻を作り始めるが、今度は徐々に細長くなっていく。
これが、ジャコメッティといえば、の彫刻である。
なぜ、細長くなるんでしょうねぇ。

4.群像
これまた楽しい。
3人の男から7人、9人まで!
遠くから見ると、木のようだ。

5.書物のための下絵
ジャコメッティはリトグラフも手がけており、その下絵。
線が多いなあ。

6.モデルを前にした制作
弟ディエゴや妻アネットを題材とした作品も多い。
無数の線で描いた鉛筆画の他、塑像も。台座はしっかりしているけれど、顔はやっぱり細いんだなあ。

7.マーグ家との交流
ジャコメッティの作品をはじめて購入したのが、パリの画廊マーグ画廊。
ということで、マーグ夫妻を描いた絵があった。

8.矢内原伊作
日本の哲学者である、矢内原伊作は何度となくジャコメッティのモデルとなっている。
矢内原さんの写真を見たら、なるほど!これはこの人をモデルにしたいと思った気持ちもわかる!矢内原さん、顔が長くてモデルにぴったりだったのでは??
矢内原さんが持ち帰ったという、ペーパーナプキンや新聞への落書きが楽しい。

9.パリの街とアトリエ
アトリエやその周辺を描いた鉛筆画や油彩、リトグラフなど。
ジャコメッティのリトグラフと鉛筆画の区別がつかない!
ジャコメッティといえば彫刻と思っていたけれど、リトグラフやデッサンもいいですね。新しい発見。
アレジア通り、昔、泊まったなあ。

10.犬と猫
この彫刻たち、好き好き!
猫もちゃんと細い。
犬は中国犬というけど、そうなのか?ちょっとみすぼらしい感じの犬だけれど、かわいいなあ。マグネット購入。
9にあったスケッチはこの犬と猫を描いてるんですね。

11.スタンパ
ジャコメッティの故郷スタンパの家や景色のリトグラフ。

12・静物
セザンヌを尊敬していたというジャコメッティのリスペクト作品。
林檎を描いたりとか。

13.ヴェネツィアの女
女性9人の立像。
圧巻!
よくよく見るといろいろ。

14・チェース・マンハッタン銀行のプロジェクト
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ここの部屋のみ撮影OK。
どれも大きな作品だが、一番気にいったのは「歩く男」。ちょっと前のめりに歩く、というか一歩踏み出した像。なんか、せかせかした人に見えますね。

15.ジャコメッティと同時代の詩人たち
16.終わりなきパリ
エッチング、リトグラフ。
「終わりなきパリ」は150点からなるリトグラフ作品集だが、これいいですねぇ。線で表現されるパリの街並み。人物のデッサンとなると、無数の線で表現されるけれど、これはわりとシンプル。全部の作品を見てみたい。

彫刻だけでないジャコメッティの魅力満載。
是非どうぞ。

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